2021年 中堅・中小企業が考える業務アプリケーションの導入/更新における基本方針

ノークリサーチは中堅・中小企業における業務アプリケーションの導入/更新における基本方針を尋ねた調査を行い、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2021-11-24 12:30

<中堅・中小企業が業務アプリケーション全体に対して何を求めているか?を把握することも大切> ■機能面では「在宅勤務対応」と「自動化」を重視、個別カスタマイズの回避手段にも要注目 ■従量制や成果報酬の課金体系はまだ黎明期、「サブスク ≠ 費用按分」である点にも注意 ■ユーザ企業が考える全体方針は業務アプリケーション分野毎のベンダ動向も反映している
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2021年11月24日

2021年 中堅・中小企業が考える業務アプリケーションの導入/更新における基本方針

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における業務アプリケーションの導入/更新における基本方針を尋ねた調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2021年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」から上記に関する部分を抜粋したサンプル/ダイジェストである。


<中堅・中小企業が業務アプリケーション全体に対して何を求めているか?を把握することも大切>
■機能面では「在宅勤務対応」と「自動化」を重視、個別カスタマイズの回避手段にも要注目
■従量制や成果報酬の課金体系はまだ黎明期、「サブスク ≠ 費用按分」である点にも注意
■ユーザ企業が考える全体方針は業務アプリケーション分野毎のベンダ動向も反映している


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■機能面では「在宅勤務対応」と「自動化」を重視、個別カスタマイズの回避手段にも要注目
本リリースの元となる調査レポート「2021年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」ではERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービスといった10分野に及ぶ業務アプリケーションの社数シェアとユーザ評価を分析している。また、同レポートでは業務アプリケーションを導入/更新する際に何を重視するか?の全体的な方針についても尋ねている。以下のグラフはその中から、「機能」に関連する項目の回答結果を中堅・中小企業全体で集計したものだ。
グラフ内に赤帯で示したように、機能面では「在宅勤務対応」と「自動化」が重視されていることがわかる。前者は感染の再拡大に向けた備えも必要となるコロナ禍への対処、後者はDXに向けた業務改善に関連した項目といえる。だが、在宅勤務によって場所を選ばない働き方を推進することはDXの観点からも重要であり、自動化を進めることはオフィスへの出社を減らすことにもつながる。このように業務アプリケーションの機能を訴求する際にはコロナ禍とDXの双方をカバーした視点を持つことが大切だ。さらに、「個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する」の回答割合も比較的高い点にも注意する必要がある。個別の機能要件を満たす手段としてはノーコード/ローコード開発ツールやRPAによる自動化など、業務アプリケーションのカスタマイズ以外にも様々な手段が登場している。既存の枠組みにとらわれず、幅広い視点から業務アプリケーションの動向を俯瞰することが重要となってくる。

■従量制や成果報酬の課金体系はまだ黎明期、「サブスク ≠ 費用按分」である点にも注意
本リリースの元となる調査レポートでは以下のような選択肢を列挙して、中堅・中小企業が業務アプリケーションの導入/更新に 関してどのような点を重視するのか?の基本方針を尋ねている。
<<機能に関連する項目>>
・在宅勤務への対応が容易なアプリケーションを優先する
例) ビデオ会議が包含されており、いつでも対話できる
・個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する
例) 個別カスタマイズがあると現地保守が必要になる
・ブラウザのみで利用できるアプリケーションを優先する
例) ブラウザのみで利用できれば社外に持ち出しやすい
・自動化によって業務効率を改善できるか?を重視する
例) オフィス滞在時間の短縮や残業の抑制に役立てる
・契約書や証憑の紙面を電子化できるか?を重視する
例) ペーパレス化を進めて、文書の検索を容易にする
・印鑑を電子化し、証跡を与えられるか?を重視する
例) 第三者の証跡を与えて、契約の有効性を確保する
・データ分析による高度な判断が行えるか?を重視する
例) 新型コロナの感染状況に応じて、稼動を調整する
・従業員の働きやすさに貢献できるか?を重視する
例) 従業員同士が交流できる社内SNSを開設する
・必要な情報を対話的に探せるか?を重視する
例) チャットを用いて在庫の照会を対話的に行える
・顧客との対話を自動化できるか?を重視する
例) チャットを用いて問い合わせ応対を自動化する
・顧客と遠隔で会話/商談できるか?を重視する
例) ビデオ会議サービスを利用してリモート営業を行う
<<運用に関連する項目>>
・ソフトウェアを所有して、データセンタに預けて運用する
・月額/年額で利用するASP/SaaS形態の導入を増やす
・サポート終了後も保守事業者を活用して利用を続ける
・開発元や販売元となるベンダを可能な限り集約する
<<価格に関連する項目>>
・初期費用と保守費用に分けられた課金体系を選ぶ
・初期費用を抑えて利用費用に按分した課金体系を選ぶ
・データ量や利用者人数に応じた従量制の課金体系を選ぶ
・売上への貢献度などの成果報酬に基づく課金体系を選ぶ
以下のグラフは上記に列挙した中から、価格に関する項目を年商別に集計した結果を抜粋したものだ。
左のグラフが示すように、いずれの年商帯でも「初期費用と保守費用に分けられた課金体系を選ぶ」の回答割合が「初期費用を抑えて利用費用に按分した課金体系を選ぶ」を上回っている。中堅・中小企業はIT予算が限られるため、IT企業の施策では初期費用の負担を軽減することに重点が置かれやすい。だが、中堅・中小企業もコスト意識が高くなっており、初期費用を単に按分した価格体系では受け入れられない場合もある。また、様々なビジネス領域で「サブスクリプション」が話題となっているが、これも単に「サブスク=費用按分」というわけではなく、サービス内容を柔軟/手軽に変更/選択できるなど、何らかの付加価値が求められる点に注意が必要だ。 一方、右のグラフが示すように従量制や成果報酬による課金体系のニーズは全般的に低い。年商規模が大きくなるにつれて 回答割合が高くなっていることから、こうした新しい課金体系は大企業を含めた規模の大きな企業から中堅・中小の裾野へと 時間をかけて徐々に受け入れられていくと予想される。


■ユーザ企業が考える全体方針は業務アプリケーション分野毎のベンダ動向も反映している
さらに、本リリースの元となる調査レポートではERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービスの計10分野に渡る業務アプリケーションのシェアや評価の動向と、前頁に列挙した全体的な方針との関連についても分析している。
以下のグラフはその中から、会計管理の導入済み社数シェア(複数回答可)を年商500億円未満の中堅・中小企業全体で集計した結果(左側グラフ)、および導入済み社数シェアの上位5社の製品/サービス(単一回答)を導入しているユーザ企業に対し、前頁に列挙した全体方針のうちで右下に記載した3項目を尋ねた結果を集計したもの(右側グラフ)である。 右側グラフの集計対象となっている業務アプリ ケーションの導入/更新における全体的な方針
・個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する
・契約書や証憑の紙面を電子化できるか?を重視する
・月額/年額で利用するASP/SaaS形態の導入を増やす
OBCは近年ではASP/SaaS形態の「奉行クラウド」に注力している。右側のグラフでは「月額/年額で利用するASP/SaaS形態の導入を増やす」の回答割合が全体平均と比べて高くなっており、同社の取り組みと符合していることがわかる。
また、「個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する」の回答割合はOSK(大塚商会)の「SMILEシリーズ」と富士通の「GLOVIAシリーズ」で高い。前者はプログラミングを行わずに個別要件に対応可能な「Custom AP Builder」という仕組みを備えている。後者では「GLOVIA iZ」において 「未承認件数などの指標値をクリックすることで関連する業務を直接呼び出す」などの動作設定を個人単位で行える「ファーストビュー」機能が備わっている。
さらにオービックの「OBIC7」は2017年の早期から電子帳簿保存法におけるスキャナ保存などの対応に注力しており、そうした取り組みが「契約書や証憑の紙面を電子化できるか?を重視する」の回答割合の高さにつながっている可能性がある。
このように「ユーザ企業が考える業務アプリケーションの導入/更新における全体的な方針」と「各ベンダが注力する取り組み」を突き合わせると、今後の戦略立案のヒントが見えてくる。ここでは会計管理における分析結果を紹介したが、調査レポートでは10分野の業務アプリケーションについて同様の分析を行っている。

本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野の業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)のシェアとユーザ評価を網羅
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの概要】
各分野について、以下の章構成からなる分析サマリ(各20ページ前後)で重要ポイントと今後に向けた提言を詳説
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」と「製品/サービスの導入社数シェア」を確認した後、最も主要な製品/サービスの「導入年」と「評価概況」についても分析を行っている。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」について分析を行っている
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。さらに、業務アプリケーションの導入/更新に関する全体的な方針を尋ねた設問「P0」と各分野の製品/サービスとの関連についても分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。 【レポート案内(設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【発刊日】 2021年10月18日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
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