2022年 運用形態や課題の変化が予想される中堅・中小向け生産管理システム

ノークリサーチは中堅・中小企業向けの生産管理システムにおける運用形態や課題の変換に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2022-10-24 12:30

<システム=独自開発、運用形態=社内設置、課題=原価管理といった定番の傾向が変わりつつある> ■独自開発が依然として2割弱存在する中、主要ベンダが注力する年商規模の違いに注目 ■パッケージのデータセンタ設置だけでなく、SaaSという選択の存在を啓蒙することが重要 ■重点課題は原価管理から、スマート工場、共同受注による調達コスト低減、IoTへと多様化
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年10月24日

2022年 運用形態や課題の変化が予想される中堅・中小向け生産管理システム

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業向けの生産管理システムにおける運用形態や課題の変換に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内の生産管理に関するサンプル/ダイジェストである。

<システム=独自開発、運用形態=社内設置、課題=原価管理といった定番の傾向が変わりつつある>
■独自開発が依然として2割弱存在する中、主要ベンダが注力する年商規模の違いに注目
■パッケージのデータセンタ設置だけでなく、SaaSという選択の存在を啓蒙することが重要
■重点課題は原価管理から、スマート工場、共同受注による調達コスト低減、IoTへと多様化


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■独自開発が依然として2割弱存在する中、主要ベンダが注力する年商規模の違いに注目
本リリースの元となる最新調査レポート「2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では10分野に渡る業務アプリケーションの社数シェアやユーザ企業による評価を集計/分析している。以下のグラフはその中から導入済みの「生産管理」製品/サービスの社数シェア(複数回答可)を年商500億円未満の中堅・中小企業全体で集計したものだ。(調査レポートには年商、従業員数、地域、IT管理/運用の人員体制などの様々な企業属性別の集計データが収録されている)
独自開発システムが2割弱に達しており、パッケージ化を訴求する余地が依然として少なくないことが分かる。社数シェア上位のベンダを見ると、富士通は「GLOVIA iZ生産(GLOVIA iZ 生産 PRONES GXi)」によって年商100億円以上の企業層で実績を積んでいる一方、OSK(大塚商会)は「生産革新シリーズ」で年商100億円未満の企業層で強みを発揮している。NECは年商規模の小さな企業層向けは「Factory‐ONE電脳工場」、中規模以上の企業層向けには「EXPLANNER/J, Z」といった使い分けをしている。生産管理システムを開発/販売するベンダや販社/SIerとしては、社数シェア上位のベンダが注力する年商規模の違いを意識しながら、独自開発システムからの移行を訴求していくことになる。次頁以降では、そうした取り組みに際して留意すべき運用形態と課題の傾向について述べていく。

■パッケージのデータセンタ設置だけでなく、SaaSという選択の存在を啓蒙することが重要
本リリースの元となる調査レポートでは導入済み/導入予定(新規予定)の最も主要な「生産管理」製品/サービスの運用形態(オンプレミス/クラウド)についても集計/分析を行っている。以下のグラフはその結果を導入済みと導入予定で比べたものだ。 前頁で述べたように、導入済みの「生産管理」製品/サービスの社数シェアでは「独自開発」が2割弱に達している。だが、上記のグラフにおいて「導入予定」(橙帯)と「導入済み」(青帯)の値を比較すると、「独自開発システム」に該当する項目の多くは減少しており、特に「独自開発システム(社内設置)」は-7.9ポイントと減少幅が大きい。そのため、今後はパッケージへの移行が進むと予想される。
その主な移行先となるのは「導入済み」と比べた時の「導入予定」の増加幅が+6.3ポイントと比較的大きな「パッケージ(データセンタ設置)」である。次頁で述べるように、今後は「スマート工場」に向けた取り組みが重要となってくる。その際には工場から生産管理システムにデータを集積することになり、安全/安定したネットワーク接続が必要となる。上記の結果にはこうした背景が関連していると考えられる。
また、データの入力側となる製造現場ではSaaS利用によって導入/運用の負担を軽減する取り組みも大切だ。さらに、生産管理システムを活用する初期段階での導入負担を軽減するという観点からもSaaS利用は有効な選択肢となってくる。しかし、上記のグラフが示すように「SaaS利用」の値は1割弱に留まっており、「導入済み」と比較した時の「導入予定」の値もほぼ横ばいの状態となっている。 会計管理などと比べると、生産管理はSaaSの提供がまだ少なく、ユーザ企業側がSaaSという選択肢があることを知らないことも多い。その結果、「SaaS利用」の伸びも横ばい状態に留まっていると考えられる。実際に「独自開発から移行し、スマート工場の取り組みも視野に入れてデータセンタ設置を選びたい。だが、パッケージをデータセンタに設置するのはコスト負担が大きい」といった障壁に直面しているケースも少なくないと考えられる。個別要件がそれほど多くなければ、こうしたユーザ企業にとっては「SaaS利用」が現実的な選択肢の1つとなってくる。
そのため、生産管理システムを開発/販売するベンダや販社/SIerとしては製品/サービスにおけるSaaS形態の拡充と啓蒙を進め、運用形態におけるユーザ企業の選択肢を広げていくことが重要となってくる。次頁では生産管理システムにおける現状の課題について見ていくことにする。


■重点課題は原価管理から、スマート工場、共同受注による調達コスト低減、IoTへと多様化
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは生産管理システムに関する「現状の課題」、「評価/満足している機能や特徴」、「今後持つべきと考える機能や特徴(今後のニーズ)」についても詳しい分析を行っている。以下は現状の課題を尋ねた設問の選択肢である。(課題/ニーズに関連した設問の選択肢一覧は本リリース4頁を参照)

生産管理システムにおける「現状の課題」の選択肢

<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>
製造現場の指標やデータをまとめて視覚化できない
センサなどを活用した製造工程の改善ができない
複数の工場を連携させた運用が行えない
共同受注をしたいが手続きや調整が難しい
部品や資材の調達/見積が煩雑で負担である
ARなどを活用した作業の効率化ができない
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できない
パッケージをIaaS/ホスティングで利用できない
クラウドサービスと連携することができない
<<原価管理に関連する項目>>
原価管理の精度を上げることができない
部署間での原価按分がうまくできない
廃棄やロスを原価管理に反映できない
原価管理のサイクルを短縮できない
<<生産計画に関連する項目>>
需要変動に応じた生産計画を立てることができない
生産計画の策定や管理が適切に行えていない
<<調達に関連する項目>>
企業間や拠点間で部品や原材料を管理できない
手配した部品がBOM/マスタと一致しない
製品に必要な部品が迅速に手配できない
原材料や部品の品質管理ができていない
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングしないと項目や画面を作成できない
プログラミングしないとデータ連携を実現できない
公開されたテンプレートが十分に提供されていない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)

以下のグラフは上記に列挙した課題の中から、「DXやスマートファクトリーに関する項目」および「原価管理に関連する項目」の回答割合を年商500億円未満の中堅・中小企業全体で集計したものだ。 従来、中堅・中小企業の生産管理システムでは「原価管理」が最重要課題であった。だが、上記のグラフが示す通り、現在は
「製造現場の指標やデータをまとめて視覚化できない」 (20.1%)※1
「共同受注をしたいが手続きや調整が難しい」 (17.8%)※2
「複数の工場を連携させた運用が行えない」 (16.9%)※3
「センサなどを活用した製造工程の改善ができない」 (16.3%)※4
といった項目の値が相対的に高くなっていることがわかる。※1と※3は「スマート工場」に向けた取り組みに関連する課題、※2は長期化が予想される円安や不安定な国際情勢などに起因する原材料/エネルギー高騰に対処する手段としての「共同受注」、※4は「IoT」に関連する課題である。※4は「センサを導入/設置できない」ではなく、「製造工程の改善ができない」となっている点にも注意が必要だ。IoTのツールを揃えるだけでなく、製造工程の改善までサポートすることが求められているといえる。このように中堅・中小向け生産管理システムの課題は多様化しつつある。調査レポートではこうした課題に加えて、今後のニーズも踏まえた更なる分析と提言を述べている。


補記:「課題/ニーズに関する設問項目」と「製品/サービスの選択肢一覧」
本リリースの元となる調査レポートの課題/ニーズに関する選択肢は製品/サービスに対するニーズを尋ねた以下の2つの設問P2-6A.最も主要な製品/サービスに関して評価/満足している機能や特徴(複数回答可)
P2-6C.最も主要な製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(複数回答可)
の選択肢(上段の一覧)と製品/サービスにおける課題を尋ねた以下の設問
P2-6B.現時点で抱えている課題(複数回答可)
の選択肢(下段の一覧)の2通りがあり、課題とニーズの双方の観点から今後注力すべき「生産管理」製品/サービスの機能に関する提言を述べている。

ニーズを尋ねた設問(P2-6A、P2-6C)の選択肢:

<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>
製造現場の指標やデータをまとめて視覚化できる
センサなどを活用して製造工程を効率化できる
複数の工場を連携し、一体化して運用できる
共同受注を仲介/調整する付加サービスがある
部品や資材の調達/見積サービスを利用できる
スマートグラスを用いたAR活用で作業を効率化できる
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できる
パッケージをIaaS/ホスティングで利用できる
様々なクラウドサービスと連携できる
<<原価管理に関連する項目>>
原価が超過した場合の原因特定と改善提示ができる
共用の資産/人材を適切に按分した原価管理が行える
廃棄やロスの発生を考慮に入れた原価管理が行える
予測やシミュレーションを用いた原価管理が行える
<<生産計画に関連する項目>>
需要変動を生産計画に迅速に反映させることができる
生産計画の策定から管理までを一貫して行える
<<調達に関連する項目>>
企業や拠点を跨いだ部品/原材料の管理が行える
手配した部品情報をBOM/マスタに確実に反映できる
製品の手配を部品単位の手配に自動的に分解できる
原材料や部品のトレーサビリティを確保できる
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングをせずに項目や画面を作成できる
プログラミングをせずにデータ連携を実現できる
公開されたテンプレートを取捨選択できる
<<その他>>
その他:
評価/満足している機能や特徴は全くない(排他)
※は「P2-A」における選択肢、「P2-6C」では「欲しいと考える機能や特徴は全くない(排他)」となる

課題を尋ねた設問(P2-6B)の選択肢:

<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>
製造現場の指標やデータをまとめて視覚化できない
センサなどを活用した製造工程の改善ができない
複数の工場を連携させた運用が行えない
共同受注をしたいが手続きや調整が難しい
部品や資材の調達/見積が煩雑で負担である
ARなどを活用した作業の効率化ができない
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できない
パッケージをIaaS/ホスティングで利用できない
クラウドサービスと連携することができない
<<原価管理に関連する項目>>
原価管理の精度を上げることができない
部署間での原価按分がうまくできない
廃棄やロスを原価管理に反映できない
原価管理のサイクルを短縮できない
<<生産計画に関連する項目>>
需要変動に応じた生産計画を立てることができない
生産計画の策定や管理が適切に行えていない
<<調達に関連する項目>>
企業間や拠点間で部品や原材料を管理できない
手配した部品がBOM/マスタと一致しない
製品に必要な部品が迅速に手配できない
原材料や部品の品質管理ができていない
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングしないと項目や画面を作成できない
プログラミングしないとデータ連携を実現できない
公開されたテンプレートが十分に提供されていない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)

調査レポートにおいて選択肢として列挙される「生産管理」の製品/サービスは以下の通りである。掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を元に選定し、前年調査の自由回答で多く挙げられたものは選択肢として新たに追加し、一定期間以上シェア数値がないものは割愛して毎年調整を行っている。製品/サービス毎のユーザ評価といった詳細な集計は回答件数が一定以上の条件(件数が少ない場合は参考値扱いとなることもある)を満たす(※)のみが対象となる。
製品/サービス名 開発元
生産革新シリーズ(Fu-jin/Raijin/Ryu-jin/Wun-jinなど)(※) OSK(大塚商会)
OSK(大塚商会)製のその他の生産管理システム(※) OSK(大塚商会)
Factory-ONE電脳工場(※) エクス、NEC
EXPLANNER/J,Z(※) NEC
FlexProcess(※) NEC
NEC製のその他の生産管理システム(※) NEC
GLOVIA iZ生産/smart製造(PRONES/MES/PROFOURS)(※) 富士通
富士通製のその他の生産管理システム(※) 富士通
glovia G2(glovia.comを含む)(※) グロービアインターナショナル
ビズインテグラル(SCAWを含む)(※) NTTデータビジネスシステムズ
mcframeシリーズ(※) ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)
OBIC7生産情報システム(※) オービック
FutureStage(TENSUITE for Fabrication)(※) 日立システムズ
CORE Plus NEOシリーズ 日本事務器
DS-mart ERP 生産販売システム 電算システム
GEMPLANET(※) 日立製作所
R-PiCS JBアドバンスト・テクノロジー(リードレックス)
MAPS システム技研
TPiCS ティーピクス研究所
TECHS テクノア
ATOMS QUBE クオリカ
rBOM 大興電子通信
UNIMEX Ⅱ ニュートラル(日本ユニテック)
AMMIC アミック
WorkGear モリックス
ASPAC-生産管理 アスコット
FLEXSCHE フレクシェ
Asprova アスプローバ
最適ワークス スカイディスク
iSeries Site(GUI-PACK)(※) 日本IBM
日本IBM製のその他の生産管理システム(※) 日本IBM
その他の製品/サービス:
ERP/基幹系システムの一機能として利用
販売管理システムを利用
独自開発システム

本リリースの元となる調査レポート

『2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)の導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズを網羅した必携書
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【発刊日】 2022年10月17日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
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Web: www.norkresearch.co.jp
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