2023年 12分野、計50項目に渡るDX/ITソリューションの導入実態における変化

ノークリサーチは中堅・中小企業における12分野、計50項目に渡るDX/ITソリューションの導入実態にける変化に関する調査を実施し、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2023-06-05 12:30

<定量データを踏まえて、今後も市場が伸びる分野とそうでない分野を把握しておくことが大切> ■12分野の導入済み/導入予定の比較ランキングは上昇5分野、下降5分野、横ばい2分野 ■生成AIは「助手として上手く活用するが、先生として頼るのは避ける」といった提案が堅実 ■組立製造業は自動化やシステム連携の手段で「ノーコード/ローコード」を選ぶ割合が高い ■初年度合計費用の平均値は「3Dプリンタの活用」が701万円、「ロボットの活用
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年6月5日

2023年 12分野、計50項目に渡るDX/ITソリューションの導入実態における変化

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における12分野、計50項目に渡るDX/ITソリューションの導入実態にける変化に関する調査を実施し、その結果を発表した。 本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<定量データを踏まえて、今後も市場が伸びる分野とそうでない分野を把握しておくことが大切>
■12分野の導入済み/導入予定の比較ランキングは上昇5分野、下降5分野、横ばい2分野
■生成AIは「助手として上手く活用するが、先生として頼るのは避ける」といった提案が堅実
■組立製造業は自動化やシステム連携の手段で「ノーコード/ローコード」を選ぶ割合が高い
■初年度合計費用の平均値は「3Dプリンタの活用」が701万円、「ロボットの活用」が527万円

調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2023年4月~5月
※詳細は本リリースの10ページを参照


■12分野の導入済み/導入予定の比較ランキングは上昇5分野、下降5分野、横ばい2分野
本リリースの元となる調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」では有効回答700社のユーザ企業に対して、12分野、計50項目に渡るDX/ITソリューションの導入実態(導入済みの割合、導入予定の割合、導入時に要した費用など)を尋ねた結果を分析している。(DX/ITソリューションの一覧は本リリースの5~9ページを参照)
以下のグラフは計50項目のDX/ITソリューションを12の分野別にまとめた時の導入済み割合(左表)、導入予定割合(右表)の順位を並べたものだ。導入済みと比較して導入予定における順位が上がった項目は赤矢印、下がった項目は青矢印、変化がないものは緑矢印を記載している。
順位の変化が示すように、<<コミュニケーション改善/データ共有>>や<<ペーパレス化>>は引き続き有望な分野だが、今後はWeb会議の利用や紙面の電子化に留まらず、それらを業務改善にも活かす<<自動化/システム連携/開発ツール>> が重要な役割を果たす。また、昨今注目を集めている<<ジェネレーティブAI(生成AI)>>は黎明期であるにも関わらず導入済みで7位、導入予定では6位に位置している。さらに<<ロボットの活用>>や<<3Dプリンタの活用>>といった新たなデバイスの活用も徐々に進むと予想される。次項以降では調査レポートのこうした分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介する。


■生成AIは「助手として上手く活用するが、先生として頼るのは避ける」といった提案が堅実
本リリースの元となる調査レポートでは、前頁の12分野の粒度だけでなく、更に細分化した計50項目に渡る具体的なDX/ITソリューションを具体例と共に列挙し、それらの導入実態についても集計/分析を行っている。 例えば、<<ジェネレーティブAI(生成AI)>> の分野に該当するDX/ITソリューションは以下の4項目である。(計50項目に渡るDX/ITソリューションの詳細は本リリースの5~9ページを参照)
<<ジェネレーティブAI(生成AI)>>
・チャットボットによる知識共有やQ&A対応 自然な対話を行えるAIチャットボットを活用して、社内や顧客のQ&A対応を自動化する 例)ユーザーローカル「サポートチャットボット」
・構想や設計における試行の自動化 元のテキストや画像から様々なバリエーションを自動生成し、構想や設計に役立てる例)mign「studiffuse(スタディフューズ)」
・チャット指示による業務の効率化 チャットで与えた指示に従って文書要約、データ分析、プレゼン作成などを自動で行う例)Microsoft「Microsoft 365 Copilot」、グーグル「Google Workspace」のAI関連機能強化
・文書やデザインの自動作成 AIを活用して、キャッチコピーやロゴデザインの素案などを自動的に生成する
例)Midjourney「Midjourney」、Stability AI「Stable Diffusion」
以下のグラフは中堅・中小企業全体における上記4項目の導入済み割合(青帯)と導入予定割合(橙帯)を示したものだ。
<<ジェネレーティブAI(生成AI)>>は一般のニュース報道などでも日々取り上げられているが、上記のグラフが示すように中堅・中小企業における活用という観点ではまだ一部に留まる。だが、IT企業としては今後に備えて動向を注視しておくことが大切だ。
ChatGPTが話題の先鞭となったことも影響し、導入済みでは「チャットボットによる知識共有やQ&A対応」(※1)が若干ながらも相対的に高い値を示している。だが、こうしたLLM(大規模言語モデル、Large Language Model)を基盤とするAIチャットボットは同一製品のバージョンを混同したり、業種/業態に固有の知識が不足している場合もある。(その点に関する詳細は以下の関連リリースを参照) そうした状況も反映し、今後はグラフが示すように「構想や設計における試行の自動化」(※2)や「チャット指示による業務の効率化」(※3)と※1の差が小さくなると予想される。※1では正しい内容の応答が求められるが、※2や※3は大量のデータを元に結果を自動生成し、その選択/評価は利用者が行う。誤りを許容する前提で人手の作業を効率化できれば十分という考え方であれば、現段階のLLMのレベルとも適合しやすい。また、「文書やデザインの自動生成」は著作権保護との兼ね合いが整備されれば、「多数のバリエーションを自動生成し、その中から選択する」という作成方法が広く普及する可能性もある。いずれにしても、現段階は『助手として上手く活用するが、先生として頼るのは避ける』という方針での提案が堅実と考えられる。
【関連リリース】 2023年 ChatGPTなどの大規模言語モデルをIT市場分析に活用する際の留意点と対策
(リンク »)
次頁では業種別の動向などについて述べる。


■組立製造業は自動化やシステム連携の手段で「ノーコード/ローコード」を選ぶ割合が高い
本リリースの元となる調査レポートでは、中堅・中小企業全体における分析結果だけでなく、以下に列挙した年商や業種などの様々な企業属性別の集計/分析も行っている。
以下のグラフは12分野の1つである<<自動化/システム連携/開発ツール>>の導入済み割合と導入予定割合の数値を中堅・中小企業全体と組立製造業で比較したものだ。導入済みと導入予定のいずれにおいても、組立製造業は全体と比べて高い出典:2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート(ノークリサーチ)値を示している。つまり、現状のみならず今後においても、組立製造業に対しては自動化やシステム連携の提案が有効ということになる。 そこで、<<自動化/システム連携/開発ツール>>の分野に該当する以下のDX/ITソリューションの導入予定割合を中堅・中小企業全体と組立製造業で比較したものが以下のグラフである。
・RPAによる手作業の自動化
・APIによるシステムの連携
・ノーコード/ローコード開発
具体例も含めた上記のDX/ITソリューション項目の詳細については本リリース5~9ページを参照
自動化やシステム連携を実現する手段にはRPA(ヒトによる手作業の自動化)、API(システム間の連携)、ノーコード/ローコード開発(個別に実装が必要な自動化やシステム連携をプログラミングを最小限に抑えて実施する)といった様々な選択肢がある。上記のグラフを見ると、組立製造業は中堅・中小企業全体と比べて「ノーコード/ローコード開発」の導入予定割合が高いことがわかる。したがって、IT企業がノーコード/ローコード開発を訴求したい場合には組立製造業が有望な業種となってくる。ここでは組立製造業に関する分析結果の一部を抜粋したが、本リリースの元となる調査レポートでは年商別(5区分)や業種別(8区分)の詳しい集計/分析を行っている。次頁ではDX/ITソリューション導入に要した費用について触れている。


■初年度合計費用の平均値は「3Dプリンタの活用」が701万円、「ロボットの活用」が527万円 さらに、本リリースの元となる調査レポートでは、導入済みのDX/ITソリューション毎に実際に拠出した初年度合計費用(万円)を尋ねた結果も集計/分析している。ここでの「初年度合計費用」とは、各々のDX/ITソリューション導入時に必要となったハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス、コンサルティング、システムインテグレーションといった支出の初年合計額を指す。
以下のグラフは本リリースの冒頭で列挙した12分野の中から、<<3Dプリンタの活用>>および<<ロボットの活用>>の2分野に該当するDX/ITソリューションの初年度合計費用の分布を箱ひげ図で表したものだ。
<<3Dプリンタの活用>>
・3Dプリンタを用いた新たな製造手法の確立 組立や調理を伴わず製品/建物/食品などを一体成形で製造する
例) Polyuse「国内初の建築許可を得た3Dプリント建築倉庫」
・3Dプリンタを用いた新たなサービスの創出 個人の依頼も含めた立体造形作成を請け負うサービスを展開する
例) DMM.com「DMM.make 3Dプリント造形サービス」
<<ロボットの活用>>
・自走ロボットや自動運転による業務の自動化 倉庫でのピッキング/梱包や店舗での棚出しなどを自動化する
例) トラスコ中山「プラネット埼玉」(パレットやコンテナの収納/搬送を自動化)
・ロボットとヒトの協働作業による業務の効率化 アーム型ロボットがヒトと手分けをして組立や詰込の作業を行う
例) カワダロボティクス「NEXTAGE」(カメラと2本のアームを持ち、ヒトと協働して作業を行うロボット)
・ロボットやバーチャルヒューマンによる接客 音声や映像を認識するロボットがヒトと対話し、案内や接客を行う
例) 日立製作所「EMIEW」(自律走行も可能なコミュニケーションロボット)
本リリースの冒頭で述べたように、 <<3Dプリンタの活用>>と<<ロボットの活用>>はいずれも導入済みと比べた時の導入予定における順位が上がっている分野である。だが、いずれも中堅・中小企業における取り組みはまだ一部に留まるため、導入時にユーザ企業が拠出した初年度合計費用にばらつきが見られる点に注意する必要がある。平均値は<<3Dプリンタの活用>>が701万円、<<ロボットの活用>>が527万円で前者の金額の方が大きい。ただし、第三四分位と第一四分位の差(この範囲内に全体の50%が含まれる)は <<3Dプリンタの活用>>は825万円(=1000 - 175)、 <<ロボットの活用>>は568万円(=708 - 140)となっている。つまり、 <<3Dプリンタの活用>> は<<ロボットの活用>>よりも平均値が高いが、その反面ばらつきも大きいため、ソリューション提案の価格設定にも注意を要する。ここでは上記2分野の結果のみを抜粋したが、調査レポートでは12分野全てについて同様の分析を行っている。

本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート』
50項目に渡る具体的なソリューションの導入状況、ユーザ企業が抱える課題とニーズ、訴求手段(メディア、SNS、セミナー、展示会など)の選択までを網羅したIT活用提案における必携書。
【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 /100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /
500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの章構成】
第1章.中堅・中小企業を取り巻くビジネス環境
2023年における経常利益の見通しと増減の要因(エネルギー/原材料の不足や価格上昇、国際情勢、ESGやSDGs、インバウンドの復調、長期化する円安、人材不足など、計10項目)を踏まえた上で、2023年のIT支出の増減見通しと増減の要因(キャッシュレス化、ペーパレス化、業務の自動化、人材のリスキリング、マルウェアの脅威、生活様式の変化、クラウドネイティブ、法改正など、計23項目)について分析。
第2章.DX/ITソリューションの導入状況(概況)
自動化/システム連携/開発ツール、コミュニケーション改善/データ共有、ペーパレス化、販売/マーケティングの改善や刷新、ジェネレーティブAI(生成AI)、センサ+AIによるデータ分析、クラウド活用/レガシー移行、既存の業務システムにおけるDX(xTech)、ドローンの活用、VR/AR/デジタルサイネージ、3Dプリンタの活用、ロボットの活用といった計50項目に渡る具体的なDX/ITソリューションの導入済み割合および初年度合計費用、今後の導入予定の割合を分析。
第3章. DX/ITソリューションの導入状況(年商別)
第2章で取り上げたDX/ITソリューションの導入状況(導入済み/導入予定の割合)の年商別傾向を分析。
第4章. DX/ITソリューションの導入状況(業種別)
第2章で取り上げたDX/ITソリューションの導入状況(導入済み/導入予定の割合)の業種別傾向を分析。
第5章.DX/IT導入においてユーザ企業が抱える課題とニーズ
DX/ITソリューション導入におけるユーザ企業の基本方針(クラウド事業者は集約/併用のどちらを選ぶか?DX人材の育成とは内製促進を意味するのか?など)、直面する課題(費用が最大の障壁なのか?、既存のシステムはどこまで足かせになっているのか?など)、IT企業に期待する支援(人材不足をどう克服するか?、最初にどの部門向けに提案をして欲しいか?など)を分析。
第6章.DX/IT導入の提案に際してIT企業が抱える課題
IT企業(IT関連サービス業)に対して、DX/ITソリューションを提案する際に直面する課題を尋ねた結果を分析し、ユーザ企業とIT企業の間に潜在する行き違いを明らかにし、DX/ITソリューション提案を成功させるための留意点を提言。
第7章.IT製品/サービスの導入検討時に利用する手段や情報源
Web検索、IT企業のWebサイト、比較サイト、展示会/セミナー(リアル/オンライン)、IT企業の営業担当との電話/メール/Web会議/チャット、新聞/雑誌、士業(会計士/税理士/社労士)など、23項目に渡る選択肢を列挙し、IT企業が認知向上や顧客接点の深化を測る際に選択すべき手段は何か?を分析/提言。
【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 2023年6月中旬予定


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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社ノークリサーチ 担当:岩上由高
〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880 FAX03-5361-7881
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