中堅・中小企業の経営層向けアプローチで留意すべきDXとAIの相違点

ノークリサーチはIT企業が中堅・中小企業の経営層にアプローチする際に留意すべきDXとAIの違いに関する分析を行い、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2026-03-17 12:30

<AIは「DXの後継となる宣伝用語」ではなく、「DXを加速させる有効な手段」であるべき> ■「DX」の成功体験を元に、キーワードだけを「DX」から「AI」に置き換えても上手く行かない ■投資対効果よりも、生成AI固有の課題が発生しづらい活用シーンを選択することが重要 ■IT企業が経営層にアピールすべきポイントは「生成AIの適用判断」と「データ整備」の支援
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2026年3月17日

中堅・中小企業の経営層向けアプローチで留意すべきDXとAIの相違点

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:www.norkresearch.co.jp)はIT企業が中堅・中小企業の経営層にアプローチする際に留意すべきDXとAIの違いに関する分析を行い、その結果を発表した。 本リリースは「2025年版 DX&AIソリューションの導入パターン類型化と訴求策の提言レポート」に収録されたデータを元に新たな考察を行ったものである。
※グラフ・図表を含む本リリースは以下のURLよりご確認いただけます
(リンク »)


<AIは「DXの後継となる宣伝用語」ではなく、「DXを加速させる有効な手段」であるべき>
■「DX」の成功体験を元に、キーワードだけを「DX」から「AI」に置き換えても上手く行かない
■投資対効果よりも、生成AI固有の課題が発生しづらい活用シーンを選択することが重要
■IT企業が経営層にアピールすべきポイントは「生成AIの適用判断」と「データ整備」の支援


■「DX」の成功体験を元に、キーワードだけを「DX」から「AI」に置き換えても上手く行かない
「DX」というキーワードは 『中堅・中小企業の経営層に対してデジタル化の必要性を訴求し、現状維持志向からの脱却を促す』という点では多くの成果を出したと言える。そして、「DX」の新鮮味が薄れつつある現在、今度は「AI」というキーワードに期待が集まっている。実際、ノークリサーチにも「DXの次に来る標語としてAIを掲げて、中堅・中小企業の経営層にアプローチしたい」といった相談が増えている。人材不足が常態化する昨今では、中堅・中小企業においてもAIを活用した業務の効率化が不可欠であることは言うまでもない。だが、「DX」と「AI」では指し示す中身や範囲が大きく異なる点に注意が必要だ。
例えば、経営層向けにAIを用いて会計/販売のデータを要約するダッシュボードを訴求したいとする。この場合の経営課題は「経営に必要な情報を可視化できない」ことだが、それを解決する取り組み自体は「DX」であり、「AI」はその実現手段の1つである。例えば、会計/販売のデータが散在した状態であれば、AI要約の前にデータの集約が最初に講じるべき対策となる。
「AI」というキーワードを前面に出したアプローチ自体は何ら問題なく、むしろIT企業には中堅・中小企業のAI活用を後押しする役割が求められる。ただし、DXの成功体験を元に、これまで「DX」と呼んでいた箇所を単に「AI」に置き換えるだけでは上手く行かない。上図が示すように「DX」というキーワードの耳目を集める宣伝効果が減退したとしても、その取り組み自体は今後も続く。その中で、今最も注力すべき技術の1つが「AI」ということになる。IT企業としては、「DX」の単なるキーワード置換ではない形で「AI」活用を提案/推進していくことが大切だ。次頁以降ではユーザ企業を対象とした調査結果を元に上記の取り組みを進める際の留意点を探っていく。(「AI」に関しては、昨今特に注目を集めている「生成AI」に焦点を当てる)


■投資対効果よりも、生成AI固有の課題が発生しづらい活用シーンを選択することが重要
以下の2つのグラフは有効回答件数800社の中堅・中小企業を対象に調査を実施した「2025年版 DX&AIソリューションの導入パターン類型化と訴求策の提言レポート」から「DXに取り組む際の課題」(上段グラフ)および「生成AIサービスを活用する際の課題」(下段グラフ)の重要項目における回答割合(中堅・中小企業全体)を抜粋したものだ。
まず、「現時点では判断できない」の値がDXと生成AIで大きく異なる点に注意が必要だ。つまり、「DX(デジタル化)の障壁は何ですか?」といった課題ヒアリング型提案の成功体験を流用して、「生成AI活用の課題は何ですか?」と尋ねても、期待した成果は得られない可能性が高い。
また、※1-1はDXにおける課題の上位3項目である。投資対効果や導入/運用の費用が大きな課題となっていることがわかる。
一方で、※2-1は生成AI活用における投資対効果や導入/運用の費用に関する課題項目だが、回答割合はいずれも2割未満に留まっている。そして、生成AI活用の課題として挙げられた上位5項目のうちの4つが※2-2-である。(残りの1つは※2-1内の「サービスの利用価格が高すぎる」) つまり、生成AI活用では投資対効果や導入/運用の費用も課題として挙げられているが、複雑なPDF文書や構造化されたデータの処理、適切な入力指示(プロンプト)、誤情報や架空情報(ハルシネーション)といった課題の回答割合も同程度であることが確認できる。
生成AIに関しては、既に多くのユーザ企業がChatGPTを始めとする無償でも利用できるAIチャットサービスに触れている。そのためDXと異なり、「実際に触った感触を踏まえた課題」が多く挙げられる傾向にある。IT企業としてはAIチャットに限定されない生成AI活用シーンの拡大を進めて、上記の課題が生じにくい提案内容にしていくことが大切だ。例えば、前頁に述べた経営層向けのデータ要約は会計/販売のデータをAIが処理しやすいように整形できれば、高度なプロンプト入力は不要となり、外部の情報を取り込むことによるハルシネーションも発生しにくくなる。次頁では、ニーズの観点から見た考察を述べていく。


■IT企業が経営層にアピールすべきポイントは「生成AIの適用判断」と「データ整備」の支援
以下の2つのグラフは前頁に記載した調査レポートから 「IT企業に必ず実施して欲しいと考えるDX支援策」(上段グラフ)と「生成AIサービスを活用する際に必須と考える事柄」(下段グラフ)の重要項目における回答割合(中堅・中小企業全体)を抜粋したものだ。つまり、DXや生成AI活用におけるニーズを尋ねた結果ということになる。
前頁の課題と同様に、ニーズにおいても「現時点では判断できない」の値はDXと比べて生成AIの方が大幅に高い。そのため、生成AIの活用提案では「ユーザ企業にニーズを訊く」のではなく、ニーズを創出していく姿勢が求められてくる。
※3-1はユーザ企業がIT企業に求めるDX支援策の上位3項目であり、「改善すべき業務の診断/特定」が最も高い値を示している。 だが、※4-2が示すように「生成AIを適用する場面を指南する支援」は1割強に留まる。 すなわち、DX提案の成功体験を流用して「生成AIを適用すべき業務場面を指南するコンサル」を提供しても、十分な効果は期待できないと予想される。
一方、※4-1は生成AI活用でユーザ企業が必須と考える支援策の上位3項目である。いずれも社内外の適切なデータによって生成AIの処理を補完する「RAG」に関連したSI支援が挙げられている。つまり 「生成AIがどのような処理を担うのか?」は既に多くのユーザ企業が無償のサービス利用を通じてイメージできており、それを自社向けに適用するためには根拠となるデータを整備しなければならないことも理解している。
ただし、ここで注意すべきなのは「ユーザ企業が進めようとしている生成AI活用の場面は本当に生成AIに適したものか?」という点だ。現在の生成AIは確率的な処理を伴うため、「ヒトが見落としがちな新たな視点を示唆する」といった用途は比較的得意だが、「ブレやミスが許されない決定的な判断を下す」という処理に適用するには慎重な検討が必要だ。つまり、IT企業が中堅・中小企業の経営層にアピールすべき支援や役割は「ユーザ企業が考える生成AIの活用場面が適切か?(生成AIの特性に合致しているか)を判断し、必要なデータ整備を支援できる」ことになるわけだ。
次頁では本リリースの元となる調査レポートの概要を記載している。(本リリースは同レポートのデータを元に新たな考察を述べたものである。同レポートにはDXやAIに関する他の様々な観点から見た集計データと分析/提言が収録されている。)


本リリースの元となる調査レポート

『2025年版 DX&AIソリューションの導入パターン類型化と訴求策の提言レポート』

DXソリューションを技術視点(9分野、計48項目)および業務視点(8分野、計38項目)に基づく、5つの導入パターン類型に整理し、個別分析サービス(オプション)による個々のユーザ企業に向けたDX提案の施策/提言までカバーした次世代型の調査レポート。
昨今注目を集める生成AIについても、サービスシェア、適用する業務場面、ユーザ企業の課題/ニーズといった最新動向を網羅。

【対象企業属性】(有効回答件数:800社、調査実施期間:2025年5月)
年商: 5億円未満(241社) / 5億円以上~50億円未満(222社) / 50億円以上~100億円未満(127社) /100億円以上~300億円未満(85社) / 300億円以上~500億円未満(65社) / 500億円以上(60社)
業種: 組立製造業(114社) / 加工製造業(106社) / 建設業(101社) / 卸売業(101社) / 小売業(74社) /運輸業(76社) / IT関連サービス業(103社) / 一般サービス業(125社)
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 /300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 / 1,000人以上~3,000人未満 /3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
IT管理/運用の人員規模(12区分): IT管理/運用を担う人材は専任/兼任のいずれか?人数は1名/2~5名/6~9名/10名以上のどれに当てはまるか?
ビジネス拠点の状況(5区分): オフィス、営業所、工場などの数は1ヶ所/2~5ヶ所/6ヶ所以上のいずれか?ITインフラ管理は個別/統一管理のどちらか?
職責(4区分): 経営層またはIT活用の導入/選定/運用に関わる職責
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の章構成】
第1章: DXの取り組み概況
企業全体としてのDX実施段階およびDX分野別(技術視点9分野/業務視点8分野)の取り組み状況を集計/分析
第2章: 実施済み/実施予定のDXソリューション
技術視点48項目、業務視点38項目のDXソリューションの実施状況(実施済み/実施予定)を集計/分析
第3章: DXの課題とIT企業に求める支援策
DXに取り組む際の課題(計23項目)およびIT企業に必ず実施して欲しいと考えるDX支援策(21項目)を集計/分析
第4章: DX導入パターン類型と追加個別分析サービス(オプション)
企業属性、DXの全体状況、DX分野別の取り組み状況に基づく5つのDX導入パターン類型について詳述し、さらにオプションとして利用可能な追加個別分析サービス(個々のユーザ企業の属性やDX活用状況を元にDX導入パターン類型を特定し、実現したいDX提案のために何をすべきかを分析/提言)の実施内容を解説
第5章: 生成AIの活用概況とサービスシェア
生成AIの活用状況(実業務に適用 or 試験利用など)および8カテゴリ、37項目に渡る生成AIサービスの利用中および利用予定の社数シェアを集計/分析
第6章: 生成AIサービスを適用する業務場面
4カテゴリ/20項目に渡る業務場面を提示し、生成AIサービスの適応有無を集計/分析
第7章: 生成AIサービスの課題とニーズ
生成AIサービスを活用する際の課題(計18項目)および活用する際に必須と考える事柄(ニーズ)(16項目)を集計/分析
第8章: 生成AIサービスに拠出する費用
生成AIサービスの利用に際して年間で拠出する合計費用(万円)を集計/分析し、それを元に2025年の生成AIサービス市場規模を年商別、業種別、地域別に算出
【価格】 225,000円(税別) 【レポート案内】 (リンク »)

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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