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「技術者の育成を、そしてエンジニアの3K環境改善を」--マイクロソフト

藤本京子(編集部)

2006-09-05 19:48

 9月5日に会津大学と福島県のIT企業エフコムとの連携で.NET技術者の育成において連携することを発表したマイクロソフト。同社が2005年に打ち出した日本における3カ年計画「Plan-J」の中には、教育機関や産業界との連携強化も掲げられており、今回の取り組みもその一環といえる。7月には札幌市との連携も発表しており、「優秀な技術者を育てることで雇用の各題と地域活性化に貢献したい」と、マイクロソフト執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の鈴木協一郎氏は話す。

 今回福島県との連携でマイクロソフトは、会津大学にて10月より実施される.NET公開講座を支援するが、同社は日本の学生に合うようなテキストやカリキュラムを「導入キット」として用意しており、会津大学の講座はこの導入キットが採用される最初のケースとなる。

マイクロソフト鈴木協一郎氏 福島県との連携について説明するマイクロソフトの鈴木協一郎氏

 大学で企業と連携した授業を展開する場合、通常米国で使われているテキストの翻訳本が採用されることが多いというが、今回独自の導入キットを用意した背景について鈴木氏は、「日本ではスキルや経験が米国とは異なるため、翻訳本ではニーズに合わないことが多い。そのため日本の学生に合ったテキストを独自に開発した」という。この導入キットは、教師がカリキュラムをカスタマイズすることも可能で、会津大学以外にも来年度よりいくつかの大学にて採用が予定されている。

 日本と米国の違いは何かとの問いに、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 アカデミック情報教育推進部 マネージャーの田中達彦氏は、「まずはレベルが違うことが挙げられる。また、米国では産業界と結びついた授業を積極的に行うケースが多いが、日本では特定のベンダーが提供する技術を教えることに抵抗感を示す教師も多い」と述べる。しかし同氏は同時に、「大学で習ったことを社会に出てリセットしなくてはならないような環境は改善すべきだ」と警告する。

 鈴木氏も、「米国は現実的。実社会に出てすぐにプロとして通用できるよう、大学側の対応が進んでいる。日本はベンダー色のついていない技術を教えるために、わざわざ教育用の言語を作るといったこともあるが、実践的なことを教える必要性があることを大学も理解すべきだろう」と話す。

3Kからの脱却を目指して

 鈴木氏は、日本でソフトウェアエンジニアが「3K」とされ、「帰れない、帰れない、帰れない」など、さまざまなネガティブな要素を持って語られている現状について、「大変はがゆいことで、何とかしなくてはと考えている」と述べる。同氏は、開発という仕事が本来はクリエイティブで楽しい職業であり、「成功者も多く、世界中の多くの若者がこの世界で夢を手にしている」とする一方で、「日本では、開発の楽しい部分や想像力が生かせる部分が見えなくなってしまっている」と話す。

 なぜ日本ではエンジニアという職業が3Kと呼ばれるようになってしまったのか。鈴木氏は、日本の開発の世界におけるゼネコン的な下請け構造や、マネジメントの問題など、簡単に答えを出すことは難しいとしながらも、「エンジニアの才能を最大限に生かしきれていないことは事実だ」としている。

 特に米国などでは、「優秀なプログラマは年を取ってもプログラマとして活躍できる土壌がある」と鈴木氏。Microsoftをはじめとして、米国では技術者が立ち上げたベンチャー企業の成功事例が多いのも、優秀なプログラマが優秀な人材をひきつけるためだと鈴木氏は指摘する。「こういった仕組みが日本にはできておらず、せっかく優秀なプログラマがいても、大企業に入ってその力を生かすことができないままマネジメント業務を任され、エンジニアとしての能力が埋没してしまうケースが多く見られる。日本でも優秀な技術ベンチャーの成功事例が出てくれば、エンジニアの3Kのイメージもぬぐうことができるのではないか」(鈴木氏)

 ただし鈴木氏は、「日本の技術力そのものは高い」と主張する。同社主催の学生技術コンテスト「Imagine Cup 2006」でも、6万8000人の技術者の中で、日本代表が2つの部門でトップ6に入ったことを指摘し、「これまでの日本は、車作りでいうとタイヤや車体などの枠組みを作っていた段階。これから日本のソフトウェア業界でも大きな革新が生まれるだろう。サクセスストーリーを伝えることでソフトウェア開発という仕事のすばらしさをわかってもらいたい」と述べた。

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