両社の技術統合によって、Intelの「Moblin」とNokiaの「Maemo」が融合し、「MeeGo」と呼ばれる新たなオペレーティング環境が誕生する。MeeGoは、ポケットサイズのモバイルコンピュータやネットブック、タブレット、ネットワーク接続型テレビ、車載用情報娯楽システムなど、幅広いデバイスに採用される見通しだ。
IntelのMoblin OSは、DellやAcer、ASUSのネットブックに採用された実績があり、Consumer Electronics Show(CES)ではLG Electronicsの将来のスマートフォンに搭載された。NokiaのMaemo OSは、同社が「モバイルコンピュータ」と呼ぶハイエンドのスマートフォン「N900」に搭載されている。N900は、Nokiaが提供する将来のMeeGo搭載デバイスのベースとなる可能性が高い。
IntelとNokiaの協力は、2009年6月に本格的に始動し、両社が新しいチップアーキテクチャやソフトウェア、Intelチップをベースとした新しいクラスのモバイルコンピューティングデバイスの開発に注力する「長期的な関係」の第一歩を発表した。PCチップ分野では巨大勢力だが、携帯電話分野では苦戦を強いられているIntelにとって、この動きは非常に大きな戦略転換の一環である。
MeeGoの目標は、両社が2009年に発表したことをより具現化することだ。簡単に言えば、2つの異なる複雑なオペレーティング環境を1つ屋根の下に統合することである、とIntelのシニアバイスプレジデントであるRenee J. James氏は述べた。「われわれは幅広いデバイスを対象に、単一の開発者環境と統合されたAPIを持つ、単一のLinuxプラットフォームを構築することを楽しみにしている」とJames氏は米CNETとのインタビューの中で話した。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)は、プログラムがほかのソフトウェアと連携するための手段である。
両社は、MoblinおよびMaemoで動作するアプリケーションはMeeGoでも動作する、ということを強調した。
これは重要なことだが、MeeGoはIntelプロセッサに加えて、広く普及しているARMアーキテクチャのチップも同様にサポートする。「MeeGoはクロスプラットフォームになる。つまり、IntelとARMの両方をサポートするということだ」とJames氏は述べた。ARMプロセッサはTexas Instruments(TI)やQUALCOMM、サムスンなどが提供している。一方、Intelの「Atom」プロセッサは現在、 Moblinベースのデバイスに搭載されている。