IBMに新設された「システムソフトウェア事業部」の意義を探る

藤本京子(編集部)

2010-10-20 12:00

 米IBMは、ハードウェア全般を担当する部門であるシステム&テクノロジグループの一部として、新たに「システムソフトウェア」事業部を2009年10月に新設した。システムソフトウェアとは、ハードウェアに付随する管理ツール全般を指し、ファームウェア、ハイパーバイザ、OSなどを含む。

 新設された事業部にてマーケティング&セールスエネーブルメント担当バイスプレジデントを務めるInna Kuznetsova氏によると、システムソフトウェアは「ミドルウェアとハードウェアの橋渡しをするもの。ミドルウェアの下のレイヤに存在し、ハードウェアのライフサイクル管理やエネルギー管理、システムの仮想化や可用性の管理、ネットワークの健全性などを監視している」という。Kuznetsova氏は、「新事業部では、これら管理ツールの開発やテクノロジの実現、マーケティングなどを全般的に扱っている。特に、顧客の関心が高い分野となる仮想化とシステム管理に今後より注力していく」と話す。

Kuznetsova氏 新設された事業部のバイスプレジデント、Inna Kuznetsova氏

 ハードウェアに付随するソフトウェアというと、単一の製品として販売されることはなく、裏方として黙って仕事をする「縁の下の力持ち」のイメージだ。そのようなソフトウェアにあえて焦点を当て、新たな事業部まで立ち上げたのにはIBMなりの理由があるという。

 「例えばハイパーバイザは、ハードウェアの一部の機能として1967年より提供し続けてきた。しかし顧客のIT環境の仮想化が進むにつれ、この製品の価値が上がってきたのだ。顧客も仮想化とその管理方法、そして仮想レイヤの安定性などを製品選択の際に意識するようになってきた。仮想化環境では、リソースや消費電力が節約できるといったメリットがあると同時に、システム管理がより複雑になっているためだ。仮想化を成功させるためには、システム管理を向上させる必要があり、ビジネスが求める迅速性に匹敵するITの迅速性を実現しなくてはならない。そのためにも、システムソフトウェアを強化する必要がある」(Kuznetsova氏)

 IBMのシステムソフトウェアの特徴としてKuznetsova氏は、「データセンター内のメインフレームやPOWERサーバ、x86サーバ、その上に存在するさまざまなハイパーバイザ、またストレージやネットワークなどが、すべてひとつのインターフェースで管理できることだ」としている。また、同社のハードウェア上では他社製のミドルウェアも含め、さまざまなソフトウェアが搭載されることを想定しているが、「IBMのデータセンター管理ソフトであるIBM Tivoliと、システム管理ソフトのIBM Systems Directorは同じ研究所の中で開発しており、共同で技術要件の計画も立てている。そのため、各エージェントがかぶることなく効率的に利用でき、システムの可視化、管理、自動化などを含めた顧客の統合サービスマネジメント戦略をサポートできる」と、IBMのミドルウェア製品との相性の良さも同時にアピールしている。

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