データベース管理システム(DBMS)やデータ分析エンジンを提供する日本テラデータは2018年5月23日、同日開催したプライベートイベント「Teradata Universe Tokyo 2018」の中で会見を開き、データベース/データ分析製品の戦略を説明した。ここ数年の同社の変革として、製品のクラウド化を図ったことと、サブスクリプション型のライセンスを採用したことをアピールした。
国内における直近のニュースは大きく2つある。1つは、マネージド型のクラウドサービス「Teradata IntelliCloud」を、AWS(Amazon Web Services)の東京リージョンでも提供すること。もう1つは、これまで提供してきたデータベース管理システム(DBMS)に加えて、機械学習ライブラリなどの各種のデータ分析エンジンを統合した新たな製品ブランド「Teradata Analytics Platform」を提供することだ。
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日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏
Teardataはここ数年、同社のDBMSをクラウド型で提供することに注力してきた。クラウドサービスであれば、日々の監視や保守、可用性/セキュリティの担保といった運用管理をユーザーに代わって実施できるため、ユーザーはインフラの管理から解放されて事業に集中できる。
今回、国内の大企業に向けてAWS東京リージョンでクラウドサービスを提供することで、海外のデータセンターにデータを置くことを敬遠していたユーザーでも利用できるようになったという。2018年1月には、国内にクラウドサービスの専任部隊を新設している。
「AWS東京リージョンで提供するクラウドサービスの主なターゲットは、自動車メーカーを中心とした製造業と金融業。特に金融業の経営者はみなクラウド化を考えている。既に複数のユーザーがPoC(概念検証)を開始している」(日本テラデータ代表取締役社長の高橋倫二氏)
クラウド化に合わせてDBMSを変革、ただし大規模向けは変えず
DBMSのクラウド化にあたっては、分析データベースを世界のどこにいても利用できるようにするコンセプト“Teradata Everywhere”を取り入れたという。「クラウド化のために製品を変革した」と、米TeradataのCOO(最高執行責任者)のOliver Ratzesberger氏は説明する。
変革の1つは、製品のカバー範囲を、DWH(データウエアハウス)用途のデータベース管理システムから、データ分析のためのプラットフォームへと拡大したことだ。構造化データだけでなく、非構造化データも分析できるようにした。SQLエンジンに加えて、各種のデータ分析エンジンを統合してきた。
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米Teradata COO(最高執行責任者)のOliver Ratzesberger氏
変革の2つめは、ソフトウエアとハードウエアを分離し、さまざまなハードウエアやクラウドサービスでソフトウエアを動かせるようにしたことだ。専用のハードウエアと組み合わせた高価なアプライアンスを買わなくてもよくなった。さらに、永久ライセンスだけでなく、使いたい期間だけ使えるサブスクリプション型のライセンスを追加した。
他社のクラウドサービス(Amazon Redshiftなど)との違いについてOliver氏は、「大企業が必要とする大規模なデータアクセス量に耐えられること」を挙げる。「最大手の企業は、データが多いだけでなく、社員数も多い。同時に何千もの社員がデータにアクセスする」(Oliver氏)
「DBMSをクラウド化するにあたり、軽量化や小規模化は考えなかった。このことが、現在では最大の差別化要因となっている」(Oliver氏)と主張する。「競合他社のDBMSは、同時アクセス15人ほどの小さな規模を想定している。100万件のクエリーを、米TeradataのDBMSなら10分で終えられる。Redshiftだと数カ月かかる」(Oliver氏)
直近では、新機能として、時間の経過を1つの次元の要素として追加できる4次元分析機能を追加した。センサーによる監視データを分析する際に、監視対象そのものが時間の経過とともに変化するようなケースでも、適切に分析できるようにするとしている。
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記者会見の様子(左から、日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏、米Teradata CEO(最高経営責任者)のVictor Lund氏、米Teradata COO(最高執行責任者)のOliver Ratzesberger氏、米Teradata インターナショナル担当エグゼクティブバイスプレジデントのPeter Mikkelsen氏)