日本企業の国際競争力低下が指摘されて久しい。スイスの著名なビジネススクールIMD(International Institute for Management Development)が5月に公開した最新の「世界競争力年鑑」によると、日本の競争力は25位で、米国(1位)、中国(13位)、ドイツ(15位)に大きく水をあけられている。
そのような状況でも自社の専門性を発揮し、世界から信頼されている日本企業も(もちろん)ある。その1社が制御基盤メーカーの三笠製作所(愛知県丹羽郡扶桑町、従業員数25人)だ。
同社は10月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国で開催された「GITEX Technology Week 2018」において、ドバイ警察と共同開発した自動運転で移動する交番「Smart Police Station-Autonomus Mobile Vehicle(SPS-AMV)」(プロジェクトモデル)を発表した。中東だけでなく、欧州のメディアも注目した世界初の“移動式交番”。GITEXの現地で三笠製作所の担当者に話を聞いた。
ドバイ警察のブースには人工知能(AI)搭載のロボット警察や空飛ぶバイクパトカーなどが展示されていたが、注目は何といっても「移動する交番」ことSPS-AMV
交番が自宅前をパトロール
近年、ドバイ政府は国家プロジェクトとして、スマートシティ実現に向けた「スマートドバイイニシアティブ」を掲げている。ドバイ警察も例外ではない。最先端技術を積極的に採用し、治安維持と同時に、住民の利便性向上にも務めている。ドバイ在住者の80%は外国籍の住民が占めており、「簡素でわかりやすい行政サービスの提供」は喫緊の課題だという。SPS-AMVはその一環というわけだ。
SPS-AMVは、全長6.5m×幅2.3m×車高2.5mの大きさで、6つのタイヤで駆動する電気自動車である。イメージとしては、住宅地巡回型の小型バスに近い。ワイヤレス充電と太陽光発電で内蔵バッテリを充電して稼働する。車内には警察行政サービス端末(SPS)が搭載され、各行政組織やドバイ警察本部とデータをやり取りしてサービスを提供する。
ドバイ警察と三笠製作所は「SPS-AMV」が動く様子を公開している(写真はYouTubeの動画より)