KDDIは3月6日、モバイル通信端末を搭載したドローン“スマートドローン”を活用した用途別サービスを発表した。広域監視、鉄塔点検、風力点検、測量解析、精密農業の5つの分野にドローンを中心にしたプラットフォームをサービスとして提供する。
プラットフォームは、モバイル通信端末とドローンの機体、気象や地図情報、運行管理アプリなどで構成する。上空気象予測を活用したドローンの飛行可否判断から、3次元地図を活用したルート設定時の飛行高度自動設定、自律飛行計画の作成などが可能。飛行時には運航状況やカメラ映像の監視、機体やカメラなどの遠隔制御ができるとしている。
用途別ソリューション提供イメージ(出典:KDDI)
広域監視分野では、鉄道や道路などの広域インフラをスマートドローンで巡回しつつ、飛行ルートの設定、指示、映像確認などが監視センターから遠隔で一元的に可能。迅速な被害状況の確認、復旧可否判断ができるとしている。既に近畿日本鉄道やJR東日本などで活用が進んでいるという。
広域監視イメージ(出典:KDDI)
鉄塔点検分野では、ドローンでの撮影から点検レポートの作成までを提供。鉄塔周囲をドローンが自動飛行、3Dモデルを作成するという。点検箇所を指定すると、指定した角度や範囲をピンポイント撮影。データ管理、点検レポートの作成までを自動化できるとしている。
2019年度からのKDDIの通信鉄塔点検業務への導入、中部電力、中部テレコミュニケーションとの送電設備への共同研究も予定しているという。
共同研究イメージ(出典:KDDI)
風力点検分野は、風力電力に使われるタービンの周囲をドローンが撮影。位置、高度情報を元としたデータ管理、レポートまでを自動化するという。作業効率の向上、安全な点検を提供するとしている。
風力点検イメージ(出典:KDDI)
測量解析分野は、アイサンテクノロジー(名古屋市)と連携するという。測量専用ソフト「Wing Earth」で大規模3次元点群データを処理、解析し、さまざまな施工管理システムに対応した出力結果を提供できるとしている。
測量解析イメージ(出典:KDDI)
精密農業分野は、スカイマティクス(中央区)の農作物の生育を管理する葉色分析サービス「いろは」、専用のドローン「X-F1」を活用して農薬散布の計画から管理までを提供するサービス「はかせ」と、スマートドローンのプラットフォームを連携。効率的な散布ルート作成、自律飛行による適所散布を実現するという。
精密農業イメージ(出典:KDDI)
これらの5つは、KDDIが2016年に発表した“ドローンがモバイル通信ネットワークにつながり、3次元の空間情報をもとに自律飛行する”という「スマートドローン構想」に基づいている。
産業用ドローンメーカーのプロドローン(名古屋市中区)、気象情報サービスを提供するウェザーニューズ(千葉市美浜区)、地図情報メーカーのゼンリン(北九州市戸畑区)、測量などのドローン関連サービスベンダーのテラドローン(渋谷区)の4社をプラットフォームパートナーとして提供していく。
広域監視サービス、鉄塔点検サービスは6月から、その他は6月以降に提供する予定。価格は個別見積もりになるが、例えば鉄塔点検サービスの場合、1本につき100万円前後で点検しているとすると、半額ほどになる可能性があると説明している。