トッパン・フォームズは4月5日、短距離通信(HF帯、NFC)と長距離通信(UHF帯)それぞれの機能を1枚に組み込んだ「2周波数帯対応ICタグ」を開発したと発表した。1枚のICタグで製造現場の工程管理や真贋判定などで個体管理に有効なHF帯と、棚卸しや在庫管理など複数個体の一括管理に有効なUHF帯に対応できるようになる。
このタグは、1枚で短距離、長距離の通信ができる。製品のライフサイクルにおける一連の利用シーンにおいて従来のようなICタグの使い分けや付け替えが不要になり、個体追跡などのデータをリアルタイムに把握しながら、製品ライフサイクルの可視化や最適化が可能になるという。
使用イメージ(出典:トッパン・フォームズ)
従来は、例えば製造現場の工程管理や医療現場では、1対1で確実に通信するHF帯ICタグが利用されてきたが、現在は人手不足などから物流シーンでは複数一括読み取り可能なUHF帯ICタグの利用が増えているという。また、製品に貼付済みのICタグを物流管理や棚卸しにも活用することで、製品が消費者に届くまでのトレーサビリティの情報を効率的に取得したいというニーズが高まっているとしている。
しかし、従来のHF帯ICタグは数センチから数十センチ範囲の短距離でしかデータの読み取りできず、物流管理や棚卸しでの利用には適さなかった。そのため、必要に応じて別途UHF帯を導入するなど複数の工程管理が混在しており、工程を越えて利用可能なICタグが求められていたという。
今回開発したタグは、1つのICチップにHF帯とUHF帯の2つのアンテナ回路が接続され、それぞれの周波数に対応するリーダーやライターでデータの読み書きができ、ICタグを付け替えることなく、工程間をまたいで運用できる。また、タグサイズを27×40ミリに小型化し、用途に応じてカスタマイズもできるとしている。
(出典:トッパン・フォームズ)
(出典:トッパン・フォームズ)
同社は、製造業や医療、医薬品分野を中心に、顧客の用途に応じて2周波数帯対応ICタグのアンテナ設計やアプリケーションの開発を進め、ICタグや読み取り用リーダーなど含め、2021年度までに5億円の売上を目指すとしている。