Microsoftは、職場における複合現実(MR)技術の可能性をアピールし続けている。同社は新たなデモで、人間の等身大のホログラフィック映像を投影して、リアルタイムで同時通訳された言葉を喋らせる様子を披露した。これは、Microsoftが何年も前から取り組んでいるコミュニケーション手段だ。
「Microsoft Azure」担当コーポレートバイスプレジデントのJulia White氏と等身大のホログラム
提供:Microsoft
Microsoftは米国時間7月17日、パートナー向けイベント「Microsoft Inspire」(セールス向けキックオフイベント「Microsoft Ready」と同時開催)において、最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏による基調講演でこのシナリオを披露した。「Microsoft Azure」担当コーポレートバイスプレジデントのJulia White氏がヘッドセット「Microsoft HoloLens 2」を装着して、自身の等身大のホログラムを生成すると、このホログラムはWhite氏の話し方や抑揚を保ちながら、日本語への同時通訳を開始した。
White氏によると、Microsoftはこのデモを実現するために、多くの既存の技術を組み合わせたという。そうした技術には、Azureの「Speech to Text」(音声テキスト変換)、「Speech Translation」(音声翻訳)、「Neural Text to Speech」(ニューラル版テキスト読み上げ)などがある。「Azure Speech Services」のテキスト読み上げ機能を利用すると、アプリやツール、デバイスで、テキストを人間のような自然な合成音声に変換できる。ユーザーは、自分だけのカスタム音声を独自に作成できる。Microsoftの広報担当者によると、White氏の等身大のホログラムは同社のMixed Reality Capture Studiosで制作されたものだという。
「Holoportation」(ホロポーテーション)は、「Microsoft HoloLens」などMRデバイスを装着した人が、遠隔地からの参加者をまるで現実の物理空間にいるかのように3Dで見たり、実際にやり取りしたりできるようにする技術だ。Microsoftの研究チームはここ数年にわたり、さまざまな姿のHoloportationに取り組んでいる。
Microsoftは2018のInspireイベントで、未来の働き方を示すデモを披露した。デモの中では、Microsoft Mixed Reality Agencyパートナーの1社であるValoremによるホログラフィックテレプレゼンス技術「HoloBeam」も紹介した。
2016年に、MicrosoftのHoloportationプロジェクトに取り組んでいたMicrosoftの研究チームと初代「Surface Hub」部門の一部のメンバーがMicrosoftを退職し、新会社perceptiveIOを設立した。2018年には、perceptiveIOの従業員の多くがGoogleに加わり、Googleは「perceptiveIO」ドメインを管理下に収めている。
2017年にはMicrosoftが仮想現実(VR)ソーシャルネットワークの新興企業AltspaceVRを買収した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。