RPAツールを提供するオートメーション・エニウェア・ジャパンは1月28日、オフィス業務に関するグローバル調査の結果を発表した。それによると、世界で最も嫌われているオフィス業務は「データ入力」で、日本では「経費処理」や「デジタルデータの整理」が上位に挙げられた。日本企業では、1日のうち平均2時間以上を本来の業務とは異なる手作業の反復的なPC業務に費やしていることも明らかになった。
この調査は、企業におけるデジタルの反復的な管理業務に費やしている時間と、それに対する従業員の姿勢について、日本を含む11カ国の企業で働く従業員1万人以上を対象に実施したもの。米Automation Anywhereが調査会社のOnePollに委託した。
対象となった従業員のうち回答者の過半数が、デジタル管理業務について「全体的な生産性を低下させる」(64%)、「本業の妨げとなる」(51%)と答えた。また、ほぼ半数が「退屈である」(47%)、「自分のスキルが十分に活用されていない」(48%)と回答した。ミレニアル世代の半数以上(52%)は「管理業務が少なければ生産性の向上につながる」と回答し、世代平均(48%)より若干高かった。
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世界全体で嫌われている業務のトップは、コンピューターなどのデバイスに手動でデータを入力する「一般的なデータ入力」(20%)だった。「Eメールの返信・整理」と「デジタル文書の整理(文書や表計算、画像、PDFなどを正しいフォルダーへ保存する業務)」も19%で僅差だった。これらの業務は、従業員が日常的に最も多くの時間を費やす管理業務の上位3つにも選ばれた。
日本の回答者については、最も嫌われている業務として「経費の処理」(20%)が挙げられた。また、グローバルの結果と同様に「デジタル文書の整理」(18%)、「Eメールの返信・整理」(17%)、「一般的なデータ入力」(16%)との回答が多かったほか、「予算管理」(17%)についても他国と比べて高かった。
こうした反復的な管理業務は、私生活での幸福度にも影響を与えるという。調査対象となった従業員のほぼ半数(49%)が、「単純なデジタル管理業務のために、定時に退社できないことが多い」と答えており、私生活にも影響が及んでいることが示された。男女別に見ると、「なかなか定時に退社できない」と答えている割合は、女性が43%に対し、男性は54%となっており、男性従業員にとってより大きな課題となっていることが分かった。
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その一方で、全体的にデジタルの管理業務は女性従業員に偏っており、嫌われている業務に費やしている時間は、女性が1日当たり3.4時間であるのに対して、男性は2.8時間だった。この傾向は、調査を実施した全ての国の官公庁・機関の職員に当てはまり、公共サービスは最も管理業務の多い分野であることが判明したという。これに関して、官公庁・機関の回答者の69%が、「多くの手作業入力を省いて管理業務を改善できるテクノロジーが必要である」と回答した。
調査対象者の85%が「自分の本来の業務ではない反復的な手作業のデジタル業務を自動化で排除するべきである」と回答。「変革によって幸福度が増す」(88%)と期待しているという。さらに、こうした業務に割いていた時間が削減されれば、部署内の生産性が向上し、本来の業務で従業員がより高い成果を上げ、新しいスキルを習得する機会を追求できると答えている。
日本の回答者の半数以上(52%)は、反復業務を自動化するテクノロジーに対する企業の投資を強化してほしいと考えているようだ。自動化によって解放される時間の活用について、日本の回答者からは「休息とワークライフバランスに割きたい」との希望が最も多く(39%)、それに続いて新たなスキルの習得(34%)と現在の職務でのパフォーマンス向上(34%)が挙げられた。
今回の回答の中で87%の従業員が、反復的なマニュアル作業の自動化を現状より増やしたいと望んでいる。また、55%が手作業による管理業務の負荷が高くなったら退職を検討すると回答しており、85%はこのような業務を削減するために自動化に投資している企業で働くことに魅力を感じると答えた。そして、従業員が最も自動化を望んでいる業務は「データ入力」だった。
日本の回答者のうち、半数以上がソフトウェアロボットとの共同作業について前向きに捉えている(53%)ほか、管理業務をソフトウェアロボットに代行してほしいと考えている(52%)。現在携わっている職務で自動化技術を活用している回答者はインド(69%)や韓国(68%)に多く、日本では26%にとどまった。日本で自動化が最も望まれている業務は「経費の処理」(26%)と「デジタル文書の整理」(23%)で、「一般的なデータ入力」(20%)は3番目に挙げられた。