グローバルネットワークの多くの標準を定めているインターネット技術タスクフォース(IETF)は先週、コンピューター間でデータを送信するためのプロトコルであるQUICを標準として発表した。ウェブブラウザーやオンラインサービスは何年も前からQUICを試用してきたが、IETFによる承認は、本格採用するのに十分なほど同プロトコルが成熟していることを示している。
提供:James Martin/CNET
QUICは、インターネットの速度とセキュリティを向上させ、インターネット黎明期の1974年にまでさかのぼる標準プロトコルTCPに取って代わる可能性がある。
データ転送という基本的なレベルでインターネットを改善することは困難を極める。数え切れないほどの機器、プログラム、サービスが、何十年も続いてきた初期のインフラを利用するよう構築されているからだ。
インターネットの基盤をアップグレードすることは、世界に広がる通信と商業のバックボーンを維持するために不可欠だ。そのためエンジニアらは、QUIC、ウェブサイトの安全な通信のためのHTTPS、将来の量子コンピューターからデータを保護するポスト量子暗号、インターネットに接続する機器に割り当てられるIPアドレスを大幅に増やすIPv6など、各種の大規模な移行に多大な労力を費やしている。
インターネットインフラ企業のFastlyでQUICの標準化を支援したエンジニアのJana Iyengar氏は、「インターネット伝送のエコシステムは、数十年間にわたり固定化されてきた。QUICは次世代のインターネットの革新をけん引する態勢を整えている」と述べた。
Googleは、QUICに関する2017年の研究論文で、社内バージョンのQUICではウェブ検索の結果のロード時間がPCで8%、スマートフォンで4%短縮されたと報告している。
QUICは、別のインターネット標準であるUDPと同様の役割を、より高度に果たすように設計されている。UDPはTCPよりも高速だが、損失したパケットを回復するTCPのようなメカニズムを持たない。一方のQUICは、TCPよりも高速な独自のメカニズムを備える。
QUICはさらに、暗号化された接続の確立においても高速化を実現する。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。