仮想化とクラウドの「使いどころ」と「落とし穴」
勝野氏:今、解決すべき課題は、仮想化とクラウドを、いかに効率的に運用するかです。今後も保護すべきデータはさらに大容量化し、それを仮想環境で運用することになるでしょう。つまり、大量の仮想マシンを管理する時代になるのです。
すでに、数百~数千台の仮想マシンを運用しているユーザーもいます。そうなると、今までのように、「どのシステムのどのデータ」を、「何時にバックアップ」し、「何日間保存」するといったポリシーを手動で個別に策定して実行することは不可能です。実際、「集中管理/保護は、もはや従来の手法では困難だ」との声も聞かれます。それを解決するには、サービスレベル(ポリシー)に従って、自動的にバックアップする仕組みが必要です。
金谷氏:仮想化環境においては、ITサービスマネジメントを実施することが組織に求められます。「この仮想マシンのスペックは○○で、バックアップは週次フル、日次差分です」などと、予めサービスレベルを定義しておく必要がありますね。
勝野氏:クラウドの位置づけと役割も、明確にする必要があります。今後はデータ保護に対するコスト抑制の要求が、今まで以上にシビアになります。その解決策としてクラウドは注目されていますが、オンプレミスのデータをクラウドにバックアップするのか、クラウド上のサーバのデータをオンプレミスにバックアップするのか、オンプレミスのサーバをクラウド上のサーバにレプリケーションするのか、オンプレミスのデータをクラウド上に長期保存するのか等、バックアップ、災害対策、アーカイブのどの目的で活用するのかを分けて考える必要があり、さらにサーバの重要度やデータの重要度によりクラウドに置くものとオンプレミスに置くべきものも見極めて要件を策定する必要が出てきます。データを全部クラウド環境に置き、それらをすべてバックアップするという単純なものではないことを意識する必要がありますね。
金谷氏:クラウドでは「外部にデータを預ける」ことのリスクを踏まえる必要があります。データを消失させない事を保証する SLA(Service Level Agreement) を謳うクラウドサービス・プロバイダーはありませんし、大抵は免責が規定されています。例えば、クラウド・プロバイダーに預けたデータが消失したことで、ユーザー企業が訴えたとします。そうなると、ユーザー企業側にも責任が生じ、過失相殺になるんですね。つまり、「自発的にバックアップすることはできたはずだが、それを怠った」と評価されてしまう。信頼性の高いサービスを選ぶ、自主的にバックアップを取るといった当事者責任の姿勢が重要です。
勝野氏:おっしゃるとおりです。クラウドは「仮想的なデータセンター」の位置づけですよね。現時点で、クラウド上のリソースだけで高速バックアップができるサーバ環境を構築するのは、無理があります。また、それを保護するだけのクラウド周辺の環境は整っていません。ただし、今後の技術進化で、クラウド環境の重要性が増すことは疑いの余地がありません。シマンテックとしても、この動きには注目し、オンプレミスとクラウドの両方のニーズにハイブリッドで応えられるソリューションを提供していきたいと考えています。
様々なトレンドや外部環境の変化にさらされている。
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