データベースを熟知したコストメリットの高いバックアップ
「Standby Express」は、一般的なDRソリューションと比較して転送量が少なく、ネットワーク障害等で転送が滞ったとしても、ディスク容量もあまり圧迫しないという特徴を持っている。領域不足発生のリスクは低く、I/Oの負荷も少ないというメリットがある。
「Standby Express」は、データベースで発生するデータのうち、トランザクションログ(アーカイブログファイル)だけを変更差分として同期する。「例えばアプリケーションで1万件の受注データを登録すると、Oracleの場合、1万件の受注データは、先ずREDOログファイルに書き込まれ、データベースファイルに反映され、REDOログファイルの内容は、アーカイブログファイルとして出力されます。つまり、1万件の受注データは3種類のファイルにほぼ同じ内容が記録されることになるのです。「Standby Express」ではアーカイブログファイルだけを差分の対象としており、ことデータベースにおいては、主なファイルシステムレベルの差分同期やストレージでの同期ソリューションよりも転送量、転送負荷が少ないソリューションである。また、データベースで発生するI/Oは、登録/更新系の処理だけでは有りません。検索処理でもディスクへの書き込みが発生することが有ります。検索処理ではデータの並べ替え(ソート)を行うことが良く有ります。ある程度の量であれば、コンピューターのメモリー上でソートしますが、メモリーよりも多くのデータを並べ替えるとなると、ディスク(テンポラリ領域)に書き込んで並べ替えを行います。主なファイルシステムレベルの差分同期やストレージでの同期ソリューションでは、このテンポラリ領域で発生する書き込み(変更ブロック)も同期対象としてしまいますが、「Standby Express」は、この種のデータは同期する必要のない一時的なワークデータであることを認識しているので、同期対象とならないのです」と岸本氏は語る。
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データベースの特徴をきちんと理解した上で自社で製品開発したソフトウェアだけに、主なファイルシステムレベルの差分同期やストレージでの同期ソリューションよりも効率的な動きをしてくれる。また、スタンバイ機は検索用途でも利用することができるため、本番システムの負荷低減、投資資産の有効活用ができる。複数スタンバイサイトを作ることで、ハードウェア的に二重、三重の備えをすることも可能だ。
「「Standby Express」は、Oracleで言えばStandard EditionやStandard Edition Oneでも利用可能で、Editionを選びません。」と岸本氏。一般的なDRソリューションと比較して安価に構築可能で、さらにデータ転送量を抑えていることでインフラ強化が不要であることなどを合わせて考えると、かなりコストメリットの高いソリューションといえるだろう。