2021年 業務の効率化/自動化が握る文書管理・オンラインストレージサービスの今後

ノークリサーチは中堅・中小企業における文書管理・オンラインストレージサービスの活用実態と今後の展望に関する調査を実施し、その結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2021-11-04 12:00

<「業務フローによって発生した文書ファイルを何処に格納すべきか?」が今後の焦点> ■今後の新規導入ではクラウドと比べて文書管理パッケージの社数シェアが伸びる兆候あり ■業務の自動化/効率化が文書管理におけるオンプレミス/クラウドの選択に大きく影響する ■小規模な企業層も様々な課題を抱えており、機能差に基いたラインアップの設定は難しい
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2021年11月4日

2021年 業務の効率化/自動化が握る文書管理・オンラインストレージサービスの今後

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における文書管理・オンラインストレージサービスの活用実態と今後の展望に関する調査を実施し、その結果を発表した。 本リリースは「2021年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の文書管理・オンラインストレージサービスに関するサンプル/ダイジェストである。


<「業務フローによって発生した文書ファイルを何処に格納すべきか?」が今後の焦点>
■今後の新規導入ではクラウドと比べて文書管理パッケージの社数シェアが伸びる兆候あり
■業務の自動化/効率化が文書管理におけるオンプレミス/クラウドの選択に大きく影響する
■小規模な企業層も様々な課題を抱えており、機能差に基いたラインアップの設定は難しい


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■今後の新規導入ではクラウドと比べて文書管理パッケージの社数シェアが伸びる兆候あり
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、文書管理・オンラインストレージサービスの社数シェアを「導入済み」(既に導入している場合)と「新規予定」(新たに導入を予定している場合)に分けて集計したものだ。(以下では比較的シェア数値の高い製品/サービスのみを抜粋しているが、本リリースの元となる調査レポートで集計対象となっている全ての製品/サービスの一覧は本リリースの末尾を参照)
「導入済み」における上位4社について、「導入済み」と比較した時の「新規予定」の増減(今後予想される社数シェアの伸び)を確認すると、「Microsoft 365」や「Google Drive」といったオンラインストレージサービスが減少、「DocuWorks」や「eValue NS/V」といった文書管理パッケージが増加となっていることがわかる。元来、中堅・中小企業の文書ファイルは社内のファイルサーバに格納されることが多く、そこに版管理、詳細なアクセス管理、複合機連携といったニーズに応じる形で文書管理パッケージが導入されるようになった。その後、クラウドの普及と共にオンラインストレージサービスが受け入れられるようになり、社数シェアにおいても上位に位置するようになった。ところが、上記の結果が示すように、今後は従来のこうした流れとは異なる展開となる可能性がある。次頁以降では、上記に関する分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。(本リリリースの元となる調査レポートの詳細については本リリース末尾および右記を参照 (リンク ») )

■業務の自動化/効率化が文書管理におけるオンプレミス/クラウドの選択に大きく影響する
前頁に述べた結果の背景にはDXを見据えた業務効率化や自動化の取り組みが深く関係している。例えば、「ワークフローで値引きの申請・承認を経た見積書を所定のフォルダに自動的に格納する」という処理の自動化を考えてみる。中堅・中小企業におけるワークフローや販売管理システムは依然としてオンプレミスが多い。その結果、それらと連携する見積書の格納先も文書管理パッケージが選ばれやすくなる。つまり、文書ファイルが全てオンラインストレージサービスに移行するわけではなく、昨今では「業務フローの中で生成/処理される文書ファイルの格納先」としての文書管理パッケージの役割も重要となっている。
こうした変化はオンプレミス/クラウドの運用形態にも垣間見える。以下のグラフは下記に列挙した選択肢に従って、文書管理・オンラインストレージサービスの運用形態を尋ねた結果を「導入済み」と「新規予定」に分けて集計したものだ。
「新規予定」から「導入済み」を引いた値を見ると、「ASP/SaaS利用」が減少する一方、「パッケージ(社内設置)」、「パッケージ(データセンタ設置)」、「パッケージ(IaaS/ホスティング利用)」が増加している。その主な背景は上記で述べた通りである。
ここで留意すべきなのは、文書管理パッケージとオンラインストレージサービスのシェア増減はオンプレミスとクラウドの比率増減とは必ずしも同じでないという点だ。サーバなどのインフラを所有しないことを「クラウド」の定義とするならば「パッケージ(IaaS/ホスティング利用)」はクラウドに該当し、上記のグラフが示すようにその割合は増加している。したがって、「文書管理パッケージの役割が重要となる = オンプレミスの運用形態のみが増える」とは限らない点に注意する必要がある。
さらに業務システムをIaaS/ホスティングで利用している場合にはオンラインストレージサービスと文書管理パッケージの併用はハイブリッドクラウド(オンプレミスとクラウドの混在)ではなく、マルチクラウドの範疇となる。暗黙のうちに「パッケージ=オンプレミス」、「サービス=クラウド」と考えてしまいがちだが、「クラウド」が指す内容がシステム上のどのレイヤか?(「所有しない」のはインフラか、アプリケーションか)を常に意識しておくことが大切だ。


■小規模な企業層も様々な課題を抱えており、機能差に基いたラインアップの設定は難しい
さらに本リリースの元となる調査レポートでは導入済みの文書管理・オンラインストレージサービスに関して「現状で抱えている課題」を以下のような選択肢を列挙して尋ねている。(調査レポート内では「評価/満足している機能や特徴」や「今後のニーズ」についても尋ねているが、そうした設問の選択肢一覧については本リリース末尾を参照)
<<データの共有や連携に関する項目>>
既存の情報系システム(グループウェアなど)と連携できない
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない
※1システム連携の仕組み(APIなど)が十分でない
社内ファイルサーバの文書を社外で利用できない
※2パスワード付ZIPファイルの代替手段が見つからない
取引先や顧客とのデータ共有が手軽にできない
ペーパレス化を推進する役割を果たせていない
データ保存先となるクラウドサービスを選べない
一旦ダウンロードしないと文書を編集できない
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が備わっていない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<セキュリティに関する項目>>
権限さえあれば、どんなファイルでも登録できてしまう
個人向けファイル共有サービスの利用を禁止できない
ファイルの持ち出しや印刷を禁止することができない
ActiveDirectoryやLDAPと認証/権限を連携できない
※3従業員によるファイルの読み書きを監視できない
ファイル操作の権限を従業員毎に設定できない
多数のアカウントを一括で管理できない
<<費用に関する項目>>
データ容量に依存しない定額課金で利用できない
データ容量に応じた従量課金で利用できない
利用人数に依存しない定額課金で利用できない
利用人数に応じた従量課金で利用できない
<<その他>>
その他;
課題は全くない(排他)
以下のグラフは上記に列挙された中から(※)のついた課題項目を抜粋し、年商別に集計した結果である。 「システム連携の仕組み(APIなど)が十分でない」(※1)の回答割合は年商規模が大きくなるにつれて概ね高くなっていることがわかる。そのため、前頁で述べた業務システムの効率化/自動化に向けた取り組みにおいては、年商規模に応じてシステム連携が課題となる点に注意が必要だ。一方、「パスワード付ZIPファイルの代替手段が見つからない」(※2)や「従業員によるファイルの読み書きを監視できない」(※3)のように、年商規模の小さな企業層で顕著になっている課題もある。通常、小規模な企業層に製品/サービスを普及させる際には機能を限定した廉価版を提供するという選択肢も考えられる。だが、上記の結果が示すように文書管理・オンラインストレージサービスでは小規模な企業層も様々な課題を抱えており、年商規模に応じた機能セットと価格帯を設定することは難しい。既に多くのベンダや販社/SIerが実践しているが、文書管理・オンラインストレージサービスでは機能よりも容量や人数によって価格帯を分けるといった施策が有効と考えられる。

補記:「課題/ニーズに関する設問項目」と「製品/サービスの選択肢一覧」

本リリースの元となる調査レポートの課題/ニーズに関する選択肢は製品/サービスに対するニーズを尋ねた以下の2つの設問
P10-6A.最も主要な製品/サービスに関して評価/満足している機能や特徴(複数回答可)
P10-6C.最も主要な製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(複数回答可)
の選択肢(上段の一覧)と製品/サービスにおける課題を尋ねた以下の設問
P10-6B.現時点で抱えている課題(複数回答可)
の選択肢(下段の一覧)の2通りがある。

ニーズを尋ねた設問(P10-6A、P10-6C)の選択肢

<<データの共有や連携に関する項目>>
既存の情報系システム(グループウェアなど)と連携できる
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できる
属性検索や全文検索などの多彩な検索方法を利用できる
システム連携の仕組み(APIなど)が豊富に揃っている
社内ファイルサーバの文書を社外と連携/同期できる
パスワード付ZIPファイルの代替手段として利用できる
取引先や顧客に一時的なアクセス権を付与できる
ペーパレス化を推進する手段として利用できる
データ保存先のクラウドサービスを選択できる
システム内で文書を編集することができる
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が用意されている
Webブラウザで大半の機能が利用できる
<<セキュリティに関する項目>>
申請/承認などでファイル登録の正当性を担保できる
個人向けファイル共有サービスの利用を禁止できる
ファイルの持ち出しや印刷を禁止することができる
ActiveDirectoryやLDAPと認証/権限を連携できる
従業員によるファイルの読み書きを監視できる
ファイル操作の権限を従業員毎に設定できる
多数のアカウントを一括で管理できる
<<費用に関する項目>>
データ容量に関わらず定額料金で利用できる
データ容量に応じた従量課金で利用できる
利用人数に関わらず定額料金で利用できる
利用人数に応じた従量課金で利用できる
<<その他>>
その他:
評価/満足している機能や特徴は全くない(排他)


課題を尋ねた設問(P10-6B)の選択肢:

<<データの共有や連携に関する項目>>
既存の情報系システム(グループウェアなど)と連携できない
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない
システム連携の仕組み(APIなど)が十分でない
社内ファイルサーバの文書を社外で利用できない
パスワード付ZIPファイルの代替手段が見つからない
取引先や顧客とのデータ共有が手軽にできない
ペーパレス化を推進する役割を果たせていない
データ保存先となるクラウドサービスを選べない
一旦ダウンロードしないと文書を編集できない
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が備わっていない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<セキュリティに関する項目>>
権限さえあれば、どんなファイルでも登録できてしまう
個人向けファイル共有サービスの利用を禁止できない
ファイルの持ち出しや印刷を禁止することができない
ActiveDirectoryやLDAPと認証/権限を連携できない
従業員によるファイルの読み書きを監視できない
ファイル操作の権限を従業員毎に設定できない
多数のアカウントを一括で管理できない
<<費用に関する項目>>
データ容量に依存しない定額課金で利用できない
データ容量に応じた従量課金で利用できない
利用人数に依存しない定額課金で利用できない
利用人数に応じた従量課金で利用できない
<<その他>>
その他;
課題は全くない(排他)

以下では本リリースの元となる調査レポートで選択肢に記載された「文書管理・オンラインストレージサービス」を列挙している。
選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況に基づいて選定を行い、前年の調査で自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに追加し、一定期間以上シェア数値がないものは割愛して年毎に調整を行っている。製品/サービス毎の評価などの詳細な集計はサンプル件数が一定以上の条件を満たした(※)のみが対象となる。

製品/サービス名 開発元
DocuWorks(※) 富士フィルムビジネスイノベーション
Ridocシリーズ(※) リコー
imageWARE Document Manager (※) キヤノン
eValue NS/V(※) OSK(大塚商会)
楽々Document(※) 住友電工情報システム
SharePoint Server(※) 日本マイクロソフト
intra-mart Accel Documents(※) NTTデータイントラマート
ドキュメント管理システム サピエンス
uCosminexus DocumentBroker 日立製作所
活文 Contents Lifecycle Manager 日立ソリューションズ
楽2ライブラリ PFU
活文 File Server Optimizer 日立ソリューションズ
GDMS ジャストシステム
Microsoft 365(Office 365)(※) 日本マイクロソフト
Google Drive(※) グーグル
Dropbox Business(※) Dropbox
OneDrive for Business(※) 日本マイクロソフト
Box(※) Box
Egnyte Egnyte
クラウドファイルサーバー(※) 富士通
Bizストレージ ファイルシェア NTTコミュニケーションズ
AZCLOUD ファイルサーバ 富士通Japan
BIGLOBEクラウドストレージ ビッグローブ
KDDIファイルストレージ KDDI
PrimeDrive ソフトバンクテレコム
フレッツ・あずけ~る/コワークストレージ NTT東日本
たよれーる どこでもキャビネット 大塚商会
Citrix ShareFile シトリックスシステムズ
InternetDisk ASP ジャストシステム
GigaCC ワムネット
専用のアプライアンス機器を利用
コラボレーションの一機能として利用
その他の製品/サービス:
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野の業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)のシェアとユーザ評価を網羅


【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)

【分析サマリの概要】
各分野について、以下の章構成からなる分析サマリ(各20ページ前後)で重要ポイントと今後に向けた提言を詳説
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」と「製品/サービスの導入社数シェア」を確認した後、最も主要な製品/サービスの「導入年」と「評価概況」についても分析を行っている。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」について分析を行っている。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。さらに、業務アプリケーションの導入/更新に関する全体的な方針を尋ねた設問「P0」と各分野の製品/サービスとの関連についても分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【発刊日】 2021年10月18日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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