SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策)を見据えてIT企業が準備すべきこと
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:www.norkresearch.co.jp)は経産省/IPAが主導するSCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)を見据えて、中堅・中小企業を顧客とするIT企業が準備すべきことは何か?を分析し、その結果を発表した。本リリースは「2025年版中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート増補版」のサンプル/ダイジェストである。
<中堅・中小企業におけるセキュリティ対策意識の高まりを的確に捉えることが重要>
■セキュリティ対策の重視事項では全ての年商区分で ”取引先への影響” ≧ “人材育成”
■中堅・中小企業から見た「SECURITY ACTION」と「SCS評価制度」の違いを理解しておく
■製造業・建設業では従業員の啓蒙/訓練や運用管理/資産管理も含めた広い視点が必要
■今後は中小企業層でもマルウェア侵入後の対策(権限の制限/分割など)の重要性が増す
■セキュリティ対策の重視事項では全ての年商区分で ”取引先への影響” ≧ “人材育成”
近年、日本国内の有名企業を標的としたランサムウェア攻撃が大きく報道されるようになってきた。その中には取引先である中堅・中小企業が攻撃の入り口/踏み台となったケースも少なくない。その結果、中堅・中小企業においても「自社だけでなく、取引先への影響も踏まえたセキュリティ対策」への意識が高まってきている。 さらに、2026年度末(2027年1~3月頃)からは経産省やとIPAが主導する 『サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)』 の申請受付開始も予定されている。こうした背景を受けて、ノークリサーチでは「2025年版 中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート」にSCS評価制度に関連する集計/分析を追加した増補版を発刊することとなった。本リリースはそのサンプル/ダイジェストを紹介したものである。
以下のグラフは中堅・中小企業に対して、セキュリティ/運用管理/バックアップ対策のニーズを尋ねた結果の中から、「取引先への影響も含めた対策の重要性を啓蒙してくれる」(※1) および 「セキュリティ対策を担う人材を育成できるサービスがある」(※2)の回答割合を年商別に集計したものだ。
セキュリティ対策を担う人材の育成は中堅・中小企業にとって喫緊の経営課題の1つだ。だが、それと同等もしくは上回る形でサプライチェーンを意識したセキュリティ対策の啓蒙が求められていることがわかる。 IT企業にとっては、SCS評価制度に伴うユーザ企業の意識の高まりを実際の製品/サービス導入に結びつけられるか?が重要となってくる。次頁以降では、増補版の調査レポートの中から、上記に述べた観点での分析/提言の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。
■中堅・中小企業から見た「SECURITY ACTION」と「SCS評価制度」の違いを理解しておく
企業間のサプライチェーンを狙ったランサムウェア攻撃が増加する中、発注側と受注側は互いのセキュリティ対策状況を適切に把握しておく必要がある。だが、そのための判断基準を個々の企業が策定することは難しい。そこで、経産省とIPAが策定を進めているのが「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」(※)である。
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SCS評価制度はサプライチェーンを構成する企業が実施すべきセキュリティ対策を3つのレベルに体系化し、第三者による評価を通じて、取引先が安心して受発注を行える環境整備を推進する取り組みだ。受注側は自社の対策レベルを客観的に示すことで安全/信頼をアピールすることができる。また、発注側は取引先選定やリスク管理の判断材料として同制度を活用できる。
一方、IPAが従来から推進している「SECURITY ACTION」は主に中小企業がセキュリティ対策に自主的に取り組むことを宣言する制度であり、「1つ星」と「2つ星」の2段階で取り組み状況を示す仕組みとなっている。「SECURITY ACTION」は自己宣言によるものなので、サプライチェーンにおいて取引先がセキュリティ対策状況を客観的に確認する手段としては必ずしも十分とは言えなかった。
これに対して、SCS評価制度は定められた基準を満たしていることを第三者が評価する形式となっており、対応レベルによって「3つ星」「4つ星」「5つ星」の3段階が設けられている。つまり、SECURITY ACTIONが「セキュリティ対策の第一歩」を啓蒙する制度であるのに対して、SCS評価制度は「取引先から信頼されるセキュリティ水準を証明する制度」と位置付けることができる。
SCS評価制度は2027年3月末までに「3つ星」と「4つ星」の申請開始が予定されており、「5つ星」については実施内容の検討が進んでいる。(2026年7月現在) SECURITY ACTIONおよびSCS評価制度をレベルに沿って整理すると以下のようになる。
制度の開始前ということもあり、現段階ではSCS評価制度が中堅・中小企業に広く認知されている状況には至っていない。だが、中堅・中小企業にとって、自社のセキュリティ対策状況を客観的に示す取り組みは今後更に重要になっていく。 IT企業としてはユーザ企業におけるSCS制度の星取得を支援するだけでなく、取引先への影響を考慮したセキュリティ対策に直結する製品/サービスを的確に提案する役割が求められてくる。
そこで本リリースの元となる「2025年版 中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート増補版」では、セキュリティ/運用管理/バックアップ対策のニーズを尋ねた設問の中で「取引先への影響も含めた対策の重要性を啓蒙してくれる」という選択肢を選んだユーザ企業(=取引先への影響を考慮したセキュリティ対策への意識が高いユーザ企業)がどのような課題やニーズを抱えているのか?を分析し、SCS評価制度に伴う製品/サービス提案を「点」から「面」に広げていくために何をすべきか?を提言している。次頁以降では、そうした分析/提言の一部を紹介している。
■製造業・建設業では従業員の啓蒙/訓練や運用管理/資産管理も含めた広い視点が必要
本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢を列挙して「セキュリティ/運用管理/バックアップといった守りのIT対策において、現時点で抱えている課題は何か?」を尋ねている。
R4. 守りのIT対策において現状で抱えている課題(複数回答可)
<<セキュリティ全般>>
・セキュリティ対策を担う人材を採用/育成できていない
・セキュリティ責任者(CIO)を社内に置く余裕は全くない
・自社が攻撃を受けると、取引先も巻き込む恐れがある
・情報漏えいが発生した時などの対策マニュアルがない
・社内外で対策が異なり、安全/最新の状態が保てない
・管理権限が強いため、乗っ取られた時の被害が大きい
・メールによる情報漏えい/誤送信の対策を講じていない
・外出中やテレワーク時のセキュリティ対策が不十分
<<マルウェア対策>>
・なりすましのメールや電話は不正を見抜くのが難しい
・標的型攻撃の被害や危険性が十分に周知されていない
・未知のマルウェアに対処できる仕組みが備わっていない
・マルウェアに侵入された時、隔離/無力化する手段がない
・サーバ導入が必須、もしくは端末側の処理が重い/遅い
・運用/保守のアクセス回線はマルウェア対策が不十分
<<アカウント管理>>
・クラウドサービスのアクセス権設定は見直しが不十分
・未使用のアカウントが削除されずに放置されている
・システム毎に複数のアカウントが散在/乱立している
<<バックアップ/リストア>>
・バックアップを復元できるかの検証を実施していない
・LANなどを介してバックアップが消される恐れがある
・システムやデータを安全なクラウド上に保管できない
<<運用管理/資産管理>>
・OSアップデート適用が原因の障害で業務が停止する
・脆弱性やサポート期限への対策を講じられていない
・ライセンスの利用状況を把握しておらず、無駄が多い
<<その他>>
・その他:
・課題は全くない(排他)
調査レポートでは、年商3区分と業種3区分の計6区分について「取引先への影響を考慮したセキュリティ対策への意識が高いユーザ企業」が全体平均と比較して、どのような課題を多く挙げているか?を集計/分析している。以下のグラフはその中から、製造業・建設業における課題項目の集計結果の一部を抜粋したものだ。
全体平均と比べて 「社内外での対策の違い」(※1)、「なりすましへの対処」(※2)、「クラウドサービスのアクセス権設定」(※3)、「脆弱性やサポート期限への対策」(※4)の回答割合が高くなっている。そのため、サプライチェーンを考慮したセキュリティ対策の意識が高い製造業・建設業に対してはマルウェア対策ツールの導入提案だけでなく、従業員の啓蒙/訓練(※2)や運用管理/資産管理(※3、※4)、社内外を網羅したインフラ管理(※1)といった幅広い視点に立ったセキュリティ対策を提示していくことが重要となってくる。ここでは製造業・建設業における課題の一部を抜粋したが、調査レポートでは年商3区分および業種3区分の計6区分について同様の集計/分析を行っている。次頁ではニーズの観点から見た分析/提言の一部を紹介していく。
■今後は中小企業層でもマルウェア侵入後の対策(権限の制限/分割など)の重要性が増す
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢を列挙して「セキュリティ/運用管理/バックアップといった守りのIT対策における今後のニーズ」についても尋ねている。
R5. 守りのIT対策の製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(複数回答可)
<<セキュリティ全般>>
・セキュリティ対策を担う人材を育成できるサービスがある
・セキュリティ責任者の代わりとなる相談サービスがある
・取引先への影響も含めた対策の重要性を啓蒙してくれる
・情報漏えい発生時の対策マニュアルを提示してくれる
・社内外で端末を安全/最新な状態に保つことができる
・権限を制限/分割して不正アクセス被害を局所化できる
・メールによる秘匿情報の漏えいや誤送信を防止できる
・外出中やテレワーク時のセキュリティ対策を講じてくれる
<<マルウェア対策>>
・なりすましのメールや電話への対策も提示してくれる
・標的型攻撃を想定した実地訓練サービスを利用できる
・異常な振る舞いを元に未知のマルウェアも検知できる
・侵入したマルウェアを封じ込めて隔離し、無力化する
・サーバや高性能な端末が不要なクラウド形態である
・運用/保守のアクセス回線にもマルウェア対策が施せる
<<アカウント管理>>
・クラウドサービスのアクセス権設定も改善してくれる
・未使用の放置アカウントを自動的に検出/停止できる
・複数システムのアカウントを集約して一括管理できる
<<バックアップ/リストア>>
・バックアップだけでなく、復元の検証も行ってくれる
・ネットワークから隔離してバックアップを保管できる
・クラウド上にシステムとデータを複製して保管できる
<<運用管理/資産管理>>
・OSアップデートを安全/確実に行う支援をしてくれる
・脆弱性やサポート期限への対処方法を提示してくれる
・無駄なライセンスがないかを自動で検索/一覧できる
<<その他>>
・その他:
・欲しいと考える機能や特徴は全くない(排他)
調査レポートでは、年商3区分と業種3区分の計6区分について「取引先への影響を考慮したセキュリティ対策への意識が高いユーザ企業」が全体平均と比べて、どのようなニーズ項目を多く挙げているか?を集計/分析している。以下のグラフはその中から、中小企業層(年商5億円以上~50億円未満)におけるニーズの集計結果の一部を抜粋したものだ。
全体平均と比べると、「未知のマルウェア検知」(※2)や「クラウド形態の対策」(※3)に加えて、「権限の制限/分割」(※1)、「N/Wから隔離されたバックアップ」(※4)といったニーズも多く挙げられている。つまり、中小企業層においても、サプライチェーンへの影響を踏まえたセキュリティ対策意識の高い企業ではマルウェアの防御だけでなく、侵入された場合を想定した対策(※1、※4)も重視している状況がうかがえる。SCS評価制度の認知が高まるにつれて、こうした傾向が中小企業層全体に広がる可能性も十分考えられる。 IT企業としては、そうした展開を見越した製品/サービス展開を進めていくことが大切だ。ここでは中小企業層(年商5億円以上~50億円未満)におけるニーズの一部を抜粋したが、調査レポートでは年商3区分および業種3区分の計6区分について同様の集計/分析を行っている。(次頁では、調査レポートの詳細を掲載)
本リリースの元となる調査レポート
『2025年版 中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート増補版』
本調査レポートは本ページ以下に記載した通常版の調査レポートに以下の集計/分析を加えた内容となっています。
年商3区分および業種3区分の計6区分について、以下の2つの設問の回答内容を「取引先への影響を考慮したセキュリティ対策への意識が高いユーザ企業」が全体平均で比較した結果を集計/分析
・R4.守りのIT対策において現時点で抱えている課題(複数回答可)
⇒ 製造業・建設業における集計/分析の抜粋を本リリースに掲載
・R5.守りのIT対策の製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(複数回答可)
⇒ 中小企業層における集計/分析の抜粋を本リリースに掲載
年商区分:
小規模企業: 年商5億円未満
中小企業: 年商5億円以上~50億円未満
中堅企業: 年商50億円以上~500億円未満
業種区分:
製造業・建設業: 組立製造、加工製造(プロセス製造)、建築、土木、設備など
卸売業・小売業: 商品の卸売(商社、仲介など)、小売(スーパー、専門店など)
運輸業・サービス業: 運輸(トラック運送、倉庫など)および各種のサービス業
価格: 270,000円(税別) 通常版をご購入済みの場合は45,000円(税別)で増補版収録分を追加購入可
発刊日: 2026年7月31日
通常版 『2025年版 中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート』
【調査時期】 2025年7月~8月 【発刊日】 2025年11月7日 【価格】 225,000円(税別)
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社、1社1レコード)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 /300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 / 1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 /5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)、「職責」(2区分)
【調査レポートの収録内容】
本調査レポートは調査結果の要点と提言を記載した「分析サマリ」(PDF形式)と多数の集計データ(Microsoft Excel形式)で構成されている。分析サマリの章構成は以下の通り であり、中堅・中小企業における守りのIT対策(セキュリティ/運用管理/バックアップ)に関する実態を網羅した内容となっている
第1章: 守りのIT対策の実施状況における変化
第2章: 守りのIT対策における評価/満足の変化と最新動向
第3章: 守りのIT対策における課題の変化と最新動向
第4章: 守りのIT対策におけるニーズの変化と最新動向
第5章: 守りのIT対策の開発元(ベンダ)の導入社数シェア変化
第6章: 守りのIT対策における費用
更に詳細な調査レポート案内(サンプル属性、設問項目一覧、集計データ例、試読版など)を以下にてご覧いただけます
調査レポート案内: (リンク »)
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