2022年 中堅・中小向けのCRMは「手軽に始められる」という初歩的なニーズに応えることが大切

ノークリサーチは中堅・中小企業におけるCRM製品/サービスの社数シェア、課題、ニーズに関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2022-10-25 12:30

<「手軽さ」という初歩的なニーズに回帰しつつ、CRM製品/サービスとしての差別化を図ることが必要> ■社数シェアではセールスフォース・ジャパンが突出しているが、他分野からの参入も要注目 ■「顧客の名刺」や「メール履歴」の有効活用が重要課題だが、幅広い訴求策とはなりづらい ■PaaS+Web会議サービスによる代替を防ぐために有効な機能は何か?を知ることが大切
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年10月25日

2022年 中堅・中小向けのCRMは「手軽に始められる」という初歩的なニーズに応えることが大切

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるCRM製品/サービスの社数シェア、課題、ニーズに関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のCRMに関するサンプル/ダイジェストである。

<「手軽さ」という初歩的なニーズに回帰しつつ、CRM製品/サービスとしての差別化を図ることが必要>
■社数シェアではセールスフォース・ジャパンが突出しているが、他分野からの参入も要注目
■「顧客の名刺」や「メール履歴」の有効活用が重要課題だが、幅広い訴求策とはなりづらい
■PaaS+Web会議サービスによる代替を防ぐために有効な機能は何か?を知ることが大切


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■社数シェアではセールスフォース・ジャパンが突出しているが、他分野からの参入も要注目
左記のグラフは導入済み/導入予定(新規予定)のCRM製品/サービスを尋ねた結果(複数回答可)を年商500億円未満の中堅・中小企業全体)で集計したものだ。
CRMにはSFA(営業支援)、メール配信/共有、MA(マーケティングオートメーション)など様々な領域が含まれる。また、グラフが示すようにPaaSなどを活用した独自開発システムの比率も無視できない。
社数シェアではセールスフォース・ジャパンが突出した状況となっているが、「導入予定」と「導入済み」の差分を見ると、今後も多種様々な製品/サービスがシェアを分け合う状態が続くと予想される。
その中には、「eセールスマネージャー」や「戦略箱ADVANCED」などの実績のある国産CRMベンダだけでなく、「SMILEシリーズ」「やよいの顧客管理」などの基幹系システムで実績のあるベンダの製品、「Microsoft Dynamics 365」「メールワイズ」といったグループウェア市場の強みを生かした製品もある。
さらに、名刺管理サービスを起源とする「sansan」のように、新たなサービス分野からの参入にも目を向ける必要がある。CRMを開発/販売するベンダや販社/SIerとしてはSFAを起源としたパッケージだけでなく、PaaSなどを基盤とした独自開発システム、基幹系や情報系で強みを持つベンダのCRM製品/サービス、新しいサービス分野からの参入といった多角的な視点で市場を俯瞰しておくことが重要となってくる。こうした背景を踏まえた上で、次頁以降ではユーザ企業がCRM導入/活用で抱える課題や今後のニーズについて分析した結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■「顧客の名刺」や「メール履歴」の有効活用が重要課題だが、幅広い訴求策とはなりづらい
本リリースの元となる調査レポートでは年商500億円未満の中堅・中小企業を対象に、導入済み/導入予定(新規予定)のCRMに関する「現状の課題」を尋ねている。(実際に尋ねた課題項目の一覧は本リリースの4頁を参照) 以下のグラフは20超に渡る課題項目の中から、以下の4項目の結果を年商別に集計したものだ。
・データ構造を考えて定義しなければならず難易度が高い
・蓄積された顧客の名刺を案件獲得に活かせていない
・自社の要件に合致したCRMを構築できていない
・メール授受のデータを活動履歴として取り込めない
それぞれの課題を挙げる割合が最も高い年商区分を整理してみると、以下のようになる。
・データ構造を考えて定義しなければならず難易度が高い ⇒ 年商10~20億円
・蓄積された顧客の名刺を案件獲得に活かせていない ⇒ 年商10~20億円
・自社の要件に合致したCRMを構築できていない ⇒ 年商5~10億円
・メール授受のデータを活動履歴として取り込めない ⇒ 年商5億円未満
つまり、年商規模の小さな企業層においても、「顧客の名刺を活かした案件獲得」や「メールを活用した活動履歴管理」といったCRM製品/サービス内に留まらないシステム連携に関する課題を抱えており、その割合は年商規模の大きな企業層よりも高いことがわかる。
ところが、上記のグラフが示すように、「メールによる活動履歴管理は年商10億円以上になると顕在化する」などといった明確な境界線が見られない。そのため、CRMを開発/販売するベンダや販社/SIerとしては課題を解決するという観点で中堅・中小企業に幅広くアプローチすることが容易ではない状況となっている。こうした場合は「課題解決型」ではなく、「ニーズ充足型」で改善/強化すべきポイントを探っていくことが有効だ。次頁ではそうした分析結果の一部を紹介している。


■PaaS+Web会議サービスによる代替を防ぐために有効な機能は何か?を知ることが大切
本リリースの元となる調査レポートでは前頁で述べた「現状の課題」に加え、「評価/満足している機能や特徴」(現状の満足度)や「今後持つべきと考える機能や特徴」(今後のニーズ)についても詳細な集計/分析を行っている。(実際に尋ねた評価項目の一覧は本リリースの4頁を参照) 以下のグラフは20超に渡る評価項目の中から、以下の5項目について「導入済み」と「導入予定(新規予定)」における回答割合を比較したものだ。
・脱Excelを考慮とした簡単な操作で無理なく利用できる ※1
・テンプレートを選ぶだけでデータ構造を考える必要がない ※2
・オンラインで商談を行うWeb会議の機能を利用できる ※3
・BIや帳票を用いた高度なデータ分析が行える ※4
・既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できる ※5
上記のグラフで「導入予定(新規予定)」(橙帯)から「導入済み」(青帯)を差し引いた増減を見ると、※1、※2、※3は増加(=今後のニーズ増加が予想される)となっている一方で、※4と※5は減少(=今後のニーズは伸びない可能性が高い)していることがわかる。
従来、CRM活用においては顧客マスタが格納された販売管理システムなどと適宜連携し、BI/帳票を用いて効果を視覚化することが重要だった。こうした取り組みは今後も大切だが、それ以前の基本的なニーズとして※1、※2、※3が重視されている状況と捉えることができる。
※1と※2はデータベースを意識せずにCRMを手軽に始めたいというニーズが今後高まることを示している。また、※3はコロナ禍で注目された「Web会議サービスの商談への活用」が業務効率改善の観点から、コロナ収束後も主要なコミュニケーション手段として残る可能性があることを示唆している。
ユーザ企業によっては※1、※2、※3をWYSIWYG形式でアプリケーションを作成できるPaaSとWeb会議サービスの組み合わせによって実現するケースも今後出てくると予想される。CRMを開発/販売するベンダや販社/SIerとしては、そうした他の手段ではなく、CRM製品/サービスを選択してもらうためには何が必要か?を見極めることが重要だ。本リリースの元となる調査レポートではそうした観点からユーザ企業の課題/ニーズを分析し、今後に向けた提言を述べている。

補記:「課題/ニーズに関する設問項目」と「製品/サービスの選択肢一覧」

本リリースの元となる調査レポートの課題/ニーズに関する選択肢は製品/サービスに対するニーズを尋ねた以下の2つの設問
P8-6A.最も主要な製品/サービスに関して評価/満足している機能や特徴(複数回答可)
P8-6C.最も主要な製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(複数回答可)
の選択肢(上段の一覧)と製品/サービスにおける課題を尋ねた以下の設問
P8-6B.現時点で抱えている課題(複数回答可)
の選択肢(下段の一覧)の2通りがあり、課題とニーズの双方の観点で今後注力すべきCRMの機能に関する提言を述べている。

ニーズを尋ねた設問(P8-6A、P8-6C)の選択肢:

<<機能に関連する項目>>
脱Excelを考慮とした簡単な操作で無理なく利用できる
テンプレートを選ぶだけでデータ構造を考える必要がない
メールに加えて紙面DMを配布するサービスを利用できる
顧客の名刺をデータ化して案件の獲得に活用できる
オンラインで商談を行うWeb会議の機能を利用できる
ノーコード/ローコード開発ツールでCRMを代用できる
Webサイトのアクセス分析やページ最適化を行える
メール授受のデータを活動履歴として取り込める
SNSによる顧客の開拓やニーズ分析が行える
チャットボットを用いて顧客応対を自動化できる
店舗とオンラインを横断した顧客管理が行える
BIや帳票を用いた高度なデータ分析が行える
ECサイトやEC関連ツールと連携できる
オンライン広告サービスと連携できる
<<システム連携に関連する項目>>
既存の情報系システム(グループウェアなど)と連携できる
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できる
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングをせずに項目や画面を作成できる
プログラミングをせずにデータ連携を実現できる
公開されたテンプレートを取捨選択できる
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できる
様々なクラウドサービスと連携できる
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートフォンで大半の機能が利用できる
Webブラウザで大半の機能が利用できる
<<その他>>
その他:
評価/満足している機能や特徴は全くない(排他)
※は「P8-A」における選択肢、「P8-6C」では「欲しいと考える機能や特徴は全くない(排他)」となる

課題を尋ねた設問(P8-6B)の選択肢:

<<機能に関連する項目>>
Excelと比べて操作が難しく、従業員の利用が定着しない
データ構造を考えて定義しなければならず難易度が高い
紙面DMの配布など、メール以外のアピール手段がない
蓄積された顧客の名刺を案件獲得に活かせていない
Web会議をオンラインの商談に活用できていない
自社の要件に合致したCRMを構築できていない
Webサイトのアクセス分析やページ最適化ができない
メール授受のデータを活動履歴として取り込めない
SNSによる顧客の開拓やニーズ分析ができない
チャットボットによる顧客応対の自動化ができない
店舗とオンラインを横断した顧客管理ができない
BIや帳票を用いたデータ分析ができない
ECサイトやEC関連ツールと連携できない
オンライン広告サービスと連携できない
<<システム連携に関連する項目>>
既存の情報系システム(グループウェアなど)と連携できない
既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングしないと項目や画面を作成できない
プログラミングしないとデータ連携を実現できない
公開されたテンプレートが十分に提供されていない
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できない
クラウドサービスと連携することができない
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートフォンでは限られた機能しか利用できない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)

調査レポートにおいて選択肢として列挙される「CRM」の製品/サービスは以下の通りである。掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を元に選定し、前年調査の自由回答で多く挙げられたものは選択肢として新たに追加し、一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で毎年調整を行っている。製品/サービス毎のユーザ評価といった詳細な集計は回答件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなることもある)を満たす(※)のみが対象となる。
<<営業支援(SFA)を中心としたもの>>
製品/サービス名 開発元
Salesforce Sales/Service/Marketing Cloud(※) セールスフォース・ジャパン
eセールスマネージャー(※) ソフトブレーン
Microsoft Dynamics 365(※) 日本マイクロソフト
戦略箱ADVANCED(※) インフォファーム
SMILEシリーズ(QuickCreatorなど)(※) OSK(大塚商会)
Sales Force Assistantシリーズ NIコンサルティング
desknet’s CAMS/SSS ネオジャパン
BizMagic カイエンシステム開発
やよいの顧客管理(※) 弥生
顧客大臣 応研
顧客王 ソリマチ
Senses マツリカ
Knowledge Suite ナレッジスイート
GEOCRM DXクラウド(ナレッジスイート)
Zoho CRM ゾーホージャパン
GENIEE SFA/CRM(ちきゅう) ジーニー
i-CRM アイテックス
Oracle CX(CRM、RightNowなどを含む) 日本オラクル
SAP C/4 HANA SAPジャパン
inspirX バーチャレクス・コンサルティング
SugarCRM SugarCRM
<<マーケティングオートメーション(MA)を中心としたもの>>
SHANON MARKETING PLATFORM シャノン
Marketo Engage アドビシステムズ(マルケト)
List Finder イノベーション
Marketing Cloud Account Engagement(Pardot) セールスフォース・ジャパン
b→dash データX(フロムスクラッチ)
カスタマーリングス プラスアルファ・コンサルティング
SPIRAL パイプドビッツ
MOTENASU FID
Dr.Marketing アイアンドディー
HubSpot CRM Hubspot Japan
Cloud CIRCUS クラウドサーカス(スターティアラボ)
Probance ブレインパッド
SATORI SATORI
Cloud CMO イノーバ
GENIEE MA(MAJIN) ジーニー
<<メール配信/共有を中心としたもの>>
メールディーラー ラクス
メールワイズ(※) サイボウズ
問いマネ クロスセル
Re:lation(リレーション) インゲージ
Approach DAM NIコンサルティング
クライゼル トライコーン
<<その他>>
sansan(※) Sansan
CAMCARD BUSINESS ワウテック
その他の製品/サービス
ノーコード/ローコード開発ツールを利用
ERP/基幹系システムの一機能として利用
コラボレーションの一機能として利用
独自開発システム

本リリースの元となる調査レポート

『2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)の導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズを網羅した必携書
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分) 【レポート案内(設問項目、試読版など)】 (リンク »)
【発刊日】 2022年10月17日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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