2024年 法整備や経済安全保障が中堅・中小企業の生成AI活用に与える影響

ノークリサーチは中堅・中小企業における生成AI活用と法整備や経済安全保障などとの関連性について調査を実施し、それに関する分析および提言を発表した

株式会社ノークリサーチ

2024-10-22 12:00

<生成AI活用提案では「年商規模」や「ユーザ企業が属するサプライチェーン状況」を考慮すべき> ■中堅・中小企業全体の方針では「業務アプリとは切り離した生成AI活用」が選ばれる傾向 ■年商5億円未満(小規模企業)向けには業務アプリケーションに組み込んだ生成AIも必要 ■小規模企業や中小企業は生成AI活用の法的側面に慎重、経済安全保障への配慮も大切
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2024年10月22日

2024年 法整備や経済安全保障が中堅・中小企業の生成AI活用に与える影響

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における生成AI活用と法整備や経済安全保障などとの関連性について調査を実施し、それに関する分析および提言を発表した。 本リリースは「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針に関する章のサンプルダイジェストである。


<生成AI活用提案では「年商規模」や「ユーザ企業が属するサプライチェーン状況」を考慮すべき>
■中堅・中小企業全体の方針では「業務アプリとは切り離した生成AI活用」が選ばれる傾向
■年商5億円未満(小規模企業)向けには業務アプリケーションに組み込んだ生成AIも必要
■小規模企業や中小企業は生成AI活用の法的側面に慎重、経済安全保障への配慮も大切


調査時期: 2024年7月~8月
対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース4ページを参照


■中堅・中小企業全体の方針では「業務アプリとは切り離した生成AI活用」が選ばれる傾向
本リリースの元となる「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では、有効回答件数1300社の中堅・中小企業を対象として、生成AI活用、ペーパレス化、人材不足への対処、外国人労働者の活用、省エネ対策などの様々なビジネス環境変化を踏まえて「今後、どのような方針で業務アプリケーションを導入/更新していくか?」を集計/分析している。
以下のグラフは「生成AI活用の全般的な方針」を尋ねた結果を2023年と2024年で比較したデータを調査レポートの中から抜粋したものだ。(業務アプリケーションの活用方針に関する全ての選択肢は次頁に掲載) 上記のグラフを見ると、2023年から2024年にかけては「業務アプリケーションに組み込んだ生成AI活用」(※1)が若干減少する一方で、「業務アプリケーションと切り離した生成AI活用」(※2)は横ばいとなっている。また、「法整備が整うまで生成AI利用を控える」(※3)および「自社の知見/データをAIに学習させることを拒否」(※4)も微減となっている。こうした中堅・中小企業全体の傾向だけを踏まえると、法整備や自社の知見/データのAIによる学習についてはあまり気にせず、業務アプリケーションと切り離した形での生成AI活用の方向へと進みつつあるように見える。ところが実際には、次頁以降で触れるように年商規模によって傾向に違いがある点に注意が必要だ。


■年商5億円未満(小規模企業)向けには業務アプリケーションに組み込んだ生成AIも必要
前頁で述べた傾向は年商500億円未満の中堅・中小企業全体で見た場合であり、実際は年商規模によって違いがある点に注意する必要がある。例えば、以下のグラフは前頁に掲載したグラフの中から、「生成AIは業務アプリケーションに組み込んで利用する」の回答割合を年商規模別に集計したものだ。
前頁で述べたように、中堅・中小企業全体で2023年と2024年の傾向を比較した場合は「生成AIは業務アプリケーションに組み込んで利用する」の値は減少している。ところが上記のグラフが示すように年商5億円未満の小規模企業層では増加している。
そのため、生成AI活用を小規模企業層も含めた幅広い裾野にも広げることを目指す際は業務アプリケーションに組み込んだ形での展開も検討する必要がある。本リリースの元となる調査レポートでは、生成AI活用の他にも以下のように様々な観点で業務アプリケーションの導入/更新に関する今後の方針を尋ねている。
<<機能に関連する項目>>
APIを用いた他社との連携/協業が活発か?を重視する 例) パートナSIerを認定/支援する制度が充実している
自動化によって業務効率を改善できるか?を重視する 例) 様々なRPAシステムを連携オプションで選択できる
個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する 例) 独自の画面や項目を標準機能の枠内で作成できる
データ分析による高度な判断が行えるか?を重視する 例) 工場や店舗の稼働データを元にシフトを最適化する
顧客や取引先と遠隔で対話できるか?を重視する 例) Web会議を用いたセミナーや商談を開催できる
従業員の働きやすさに貢献できるか?を重視する 例) 従業員同士が交流できる社内SNSを開設できる
必要な情報を対話的に検索できるか?を重視する 例) チャットを用いて在庫の照会を対話的に行える
ペーパレス化を推進できるアプリケーションを選ぶ 例) AI-OCRによる紙面読み取りの機能が充実している
在宅勤務の対応が容易なアプリケーションを選ぶ 例) ビデオ会議が包含されており、いつでも対話できる
ブラウザのみで利用できるアプリケーションを選ぶ 例) 個々のPCに専用モジュールを導入する必要がない
<<社会環境や国際情勢の変化に関連する項目>>
賃上げを実現/継続するための利益率の向上を重視する 例) データ分析を活用したアップセル/クロスセルの販売施策を進める
人材不足に対処するための省力化や効率化を重視する 例) ヘッドセットを通じて熟練者が若手を遠隔で支援できるようにする
外国人労働者の活用を見据えた機能の強化を重視する 例) 業務マニュアルを自動で各国語に翻訳できる仕組みを導入する
省エネ対策の実現や認定取得にも役立つかを重視する 例) Scope3まで含めたCO2排出量の算出を行える体制を整えておく
経済安全保障に伴う環境変化への対応力を重視する 例) 国際紛争に備えて、調達先を迅速に切り替えられるようにしておく
<<生成AI(ジェネレーティブAI)に関連する項目>>
生成AIは業務アプリケーションに組み込んで利用する 例) 販売管理システム上でチャットで指示を出して見積書を自動生成する
生成AIは業務アプリケーションと切り離して利用する 例) キャッチコピーやロゴデザインを自動作成してくれるサービスを利用する
関連する法整備が整うまで生成AIの利用は控える 例) 著作権侵害の恐れがあるため、業務での生成AIの利用は不安がある
AIが自社の知見やデータを学習することは拒否する 例) 知らない間に自社が入力したデータも学習に利用されるのは避けたい
<<導入/運用や費用に関連する項目>>
テスト環境上で一定期間無償利用できるかを重視する 例) 試用版をインストールして実際のデータを登録して試用する
購入ではなく、サブスクリプション型の費用体系を選ぶ 例) 会計パッケージを月額支払いのサブスク形式で利用する
データ量や人数に応じた従量制の課金体系を選ぶ 例) データ容量で課金されるオンラインストレージを利用する
売上などの成果報酬に基づく課金体系を選ぶ 例) 販売管理システムの費用を売上の増分に応じて支払う

■小規模企業や中小企業は生成AI活用の法的側面に慎重、経済安全保障への配慮も大切
以下のグラフは1ページ目に掲載したグラフの中から、「関連する法整備が整うまで生成AIの利用は控える」の回答割合を年商規模別に集計したものである。 1ページ目で確認したように、中堅・中小企業全体で2023年と2024年の傾向を比較した場合は「関連する法整備が整うまで生成AIの利用は控える」の値は減少している。だが、上記のグラフが示すように小規模企業層と中小企業層では微増となっている。
年商別の詳細な傾向を確認すると、中堅企業層では生成AIに関わる法的な懸念が薄れつつあるものの、小規模企業層と中小企業層に対しては法制度も踏まえたAI活用の啓蒙や情報発信が必要となってくる。
さらに、以下のグラフは「経済安全保障に伴う環境変化への対応力を重視する」と考える中堅・中小企業が生成AI活用をどのように考えているか?を全体平均と比較しながら集計した結果である。 近年では世界各地で対立や紛争のリスクが徐々に高まってきており、日本の中堅・中小企業も調達/販売の双方において影響を受ける可能性がある。 ユーザ企業のIT活用を支えるベンダや販社/SIerとしても、こうした経済安全保障の観点から見た情勢を視野に入れておくことが大切だ。上記のグラフが示すように、経済安全保障の動向を重視しているユーザ企業は生成AI活用においても、法整備や自社の知見/データのAIによる学習について慎重な姿勢をとっていることがわかる。
中堅・中小企業は直接関わっていなくても、その元請けとなる大企業の製品/サービスが輸入/輸出や知的財産保護の規制対象となっている可能性もある。 ベンダや販社/SIerが生成AI活用を提案する際はこうしたサプライチェーンの状況も確認した上で、顧客である中堅・中小企業が経済安全保障上のリスクを負わないように配慮することも大切だ。
ここでは生成AI活用に関する分析/提言の一部を抜粋したが、本リリースの元となる調査レポートではペーパレス化、人材不足への対処、外国人労働者の活用、省エネ対策などの様々なビジネス環境変化についても同様の分析/提言を述べている。また同レポートでは10分野に渡る業務アプリケーションの社数シェアとユーザ評価についても集計/分析している。


本リリースの元となる調査レポート

『2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
従来の社数シェアやユーザ評価に加えて、各アプリ分野の重要トピックに関する新たな分析/提言まで網羅した進化版レポート
【調査時期】 2024年7月~8月
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)、「職責」(2区分)
【対象分野】
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/Web会議/ビジネスチャット)
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【設問構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に上記に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)など、計31問を尋ねた結果を集計/分析している。また、上記の10分野とは別に業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
【集計データ】
10分野のそれぞれについて、計31問に渡る設問を年商/業種/地域といった計7区分の属性別に集計したMicrosoft Excel形式の集計データが収録されている。シート数は10分野 × 31設問 × 7属性 = 2170に達し、これに設問同士を掛け合わせた幾つかのシート(設問間クロス集計データ)が加わる。
さらに、2024年版では「導入済みと導入予定のシェア比較」、「運用形態(オンプレミス/クラウド)や端末環境の変化」、「ニーズ項目に関する今後と現状の比較」など、販促やマーケティングの施策にすぐに利用できる要約データをまとめたMicrosoft Excel形式のファイルも新たに収録されている。
【分析サマリ】
各分野について、以下の章構成からなる分析サマリ(PDF形式、 10~20ページ)が収録されている。
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
第2章:運用形態と端末環境
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
さらに、2024年版では「クラウドERP/コンポーザブルERP」、「クラウド経費精算」、「生成AI」、「中小向けHRTech」、「中小向け業務フロー改善」など、分野固有の重要トピックについて従来よりも更に詳細な集計/分析を行い、今後の有効策を提言している。
【発刊日】 2024年10月23日 【価格】 225,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません
更に詳細な調査レポート案内(サンプル属性、設問項目一覧、集計データ例、試読版など)を以下にてご覧いただけます
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