2025年 参院選の結果を踏まえた今後のIT支出増減の見通し
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2025年7月に行われた参院選の結果を踏まえた今後のIT支出に関する分析結果を発表した。
<「厳しいビジネス環境を乗り切るためのIT活用」を支えることが今後のIT企業の重要な役割>
■参院選の与党敗北やトランプ関税はIT支出の増加要因となるが、その中身は注意が必要
■企業を取り巻くビジネス環境は複雑/急速に変化、全体像を常に把握する取り組みも大切
■「IT内製化」はまだ一部に留まる、今はIT企業による『課題解決型のIT導入提案』が不可欠
■参院選の与党敗北やトランプ関税はIT支出の増加要因となるが、その中身は注意が必要
2025年も半ばを過ぎたが、国内外では既に多くの変化が起きている。こうした状況を見越して、ノークリサーチでは年明け早々の1月5日に企業の経営またはIT管理/運用に携わるビジネスパーソン(有効回答1304人)を対象とした調査を実施した。この調査では2025年における業績とIT支出の見通し、並びにそれらに影響を与える事象は何か?を様々な選択肢で尋ねている。
さらに、同調査のデータを元に「ある事象が更に顕著になった時、何が起きるか?」を推論/予測できる分析モデルを構築した。7月20日の参院選では与党勢力が過半数割れとなり、少数与党の石破政権にとっては今後の運営が更に難しい状況となった。
また、一旦の期限とされている8月1日以降も日米の関税交渉は先行きの見えない状況が続くと予想され、多くの企業が影響を受けることになる。そこで、2025年の業績やIT支出に影響を与える様々な事象のうちで、
Q2_8:石破政権が少数与党であることに伴う政策運営の鈍化
Q2_14:米国新政権(トランプ政権)の経済方針(関税引き上げなど)
の2項目の影響度が更に高まった場合、企業における2025年のIT支出を昨年と比較した時の増減見通しが、年初時点(標準状態)からどのように変化するか?を示した結果が以下のグラフである。
左側と中央のグラフが示すように、参院選の結果のみでは今後のIT支出に大きな影響は与えないと予想される。だが、右側のグラフを見ると、「政権運営が停滞+トランプ関税」の状況では「IT支出増加」の割合が年初時点と比較して10ポイント程度高くなることがわかる。ただし、これは厳しいビジネス環境を乗り切るためのIT支出である点に注意する必要がある。ベンダや販社/SIerには画一的なIT商材アピールではなく、個々のユーザ企業の実態に即した「課題解決型のIT導入提案」が求められてくる。次頁以降では、その他の事象も含めた観点からIT企業が2025年後半に留意すべきビジネス環境の変化について述べていく。
■企業を取り巻くビジネス環境は複雑/急速に変化、全体像を常に把握する取り組みも大切
前頁で述べたように、ノークリサーチは2025年初頭に「2025年における業績とIT支出の見通し、並びにそれらに影響を与える事象は何か?」を有効回答1304人のビジネスパーソンに尋ねる調査を実施した。その際に列挙した事象は以下の通りである。
企業における2025年の業績やIT支出に影響を与える事象
Q2_1.価格転嫁の停滞(コスト上昇に見合う値上げができない)
Q2_2.働き方改革や世代の違いに起因する企業文化の変遷
Q2_3.海外企業による日本国内への工場誘致(半導体など)
Q2_4.賃上げ要請や社会保障費の増加が足かせとなる人材不足
Q2_5.少子高齢化による労働者人口の減少に起因した人材不足
Q2_6.超高齢化社会の到来(5人に1人が75歳以上の後期高齢者)
Q2_7.人材のリスキリング(従業員の職能を開発/転換する試み)
Q2_8.石破政権が少数与党であることに伴う政策運営の鈍化
Q2_9.温暖化や気候変動による自然災害の増加および激甚化
Q2_10.GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取り組み
Q2_11.業種毎や地域毎の様々な規制を緩和する法改正の取り組み
Q2_12.社会生活に関わる法改正(選択的夫婦別姓、入国管理など)
Q2_13.大阪・関西万博開催に伴う観光客の増加や経済の活性化
Q2_14.米国新政権(トランプ政権)の経済方針(関税引き上げなど)
Q2_15.台湾問題や貿易摩擦などに起因する米中対立の深刻化
Q2_16.欧州(イギリス、フランス、ドイツなど)での政局の不安定化
Q2_17.個人レベルの仕事をAIが代行する「AIエージェント」の登場
Q2_18.経産省が2018年にDXレポートで発表した2025年の崖
Q2_19.「IT内製化」(企業が自力で情報システムを構築/運営)
Q2_20.現時点では判断できない
上記の調査データを元に「ある事象が更に顕著になった時、何が起きるか?」を推論/予測する分析モデル(ベイジアンネットワーク分析モデル)が下図である。(楕円が各々の事象を表し、楕円同士を結ぶ矢印が関連性を示している)企業を取り巻くビジネス環境が複雑かつ急速に変化する昨今では、こうした分析モデルを用いて全体像を常に把握する取り組みが大切だ。
前頁のグラフは赤円で示した3項目(Q1、Q2_8 、Q2_14)の関連性を示したものだ。上図の紫円が示すように、企業における今後のIT支出に影響する事象は他にも重要な項目が幾つか存在する。次頁では、紫円でマークした事象に関する分析結果を元に、IT企業が今後留意すべきビジネス環境変化について見ていくことにする。
■「IT内製化」はまだ一部に留まる、今はIT企業による『課題解決型のIT導入提案』が不可欠
日米関税交渉の難航を受けて、ノークリサーチでは2025年7月7日に 『2025年 トランプ政権の関税引き上げが小規模企業に与える影響』 ( (リンク ») )を発表した。これは 『Q2_14: 米国新政権(トランプ政権)の経済方針(関税引き上げなど)』の影響度が年初時点よりも高まった時に何が起きるか?を分析したものだ。
そして参院選が終わった現在、石破政権は続投の意向を表明しているが、与党内でも退陣を求める声が出始めている。また今後は与野党の駆け引きに伴う外交の鈍化も想定される。そのため上記のQ2_14と『Q2_8:石破政権が少数与党であることに伴う政策運営の鈍化』 が重なった状況で何が起きるか?を確認しておく必要がある。それを示した結果が以下のグラフだ。
上記のグラフを見ると、「政権運営が停滞+トランプ関税」の状態では社会生活に関わる法改正(入国管理など)への注目に加えて、米中対立への懸念も高まると予想される。 参院選では入国管理を含めた対外政策も争点の1つとなったが、現行の与党体制が継続する状況で大きな転換は見込みづらい。米中対立が深刻化する中、米国から見て日本が中国寄りに映った場合は関税交渉で一層厳しい条件を提示される可能性もある。 このように国内政治の停滞は関税交渉を含むビジネス環境の面でも大きな不安要素になる。
では、こうした状況を乗り切るためには何をすべきか?のヒントとなるのが以下のグラフである。上記のグラフと同じ状況下に置かれた場合、多くの企業は業種や地域の規制を緩和することでの活性化に期待している状況がうかがえる。また、それを支える情報システムは企業の特性(業態や立地)に大きく依存するため、コスト削減の意味合いも含めた「IT内製化」を検討するケースも現状と比べて増えると予想される。
だが、ノーコード開発ツールで簡易な手作業を自動化する場合と違い、本業を担う基幹の業務システムを内製化できるユーザ企業は限られる。したがって冒頭に述べたように、まずはIT企業が個々のユーザ企業の実態を把握し、「課題解決型のIT導入提案」を進めることが肝要だ。そのための有効な施策の具体例については以下のリリースで詳述している。
『2025年 ユーザの「無自覚課題」を顕在化する営業シナリオの作成方法』
(リンク »)
本リリースにおける調査対象のサンプル属性
本リリースの調査対象となったビジネスパーソン(有効回答1304人)が勤める企業および回答者のサンプル属性は以下の通り。
有効回答:1304人(2025年1月5日調査実施)
対象職責:企業で経営またはIT管理/運用に携わる職責
企業年商:5億円未満/5~50億円/50~500億円/500億円以上
対象業種:製造業/建設業/卸・小売業/サービス業
対象地域:全国(北海道地方、東北地方、関東地方、北陸地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州/沖縄地方)
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