2025年10月1日施行の「柔軟な働き方の義務化」がIT活用提案に与える影響
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:www.norkresearch.co.jp)は2025年10月1日から施行される改正育児介護休業法における「柔軟な働き方の義務化」が今後のIT活用提案に与える影響を分析し、その結果を発表した。本リリースは「2024年版 中堅・中小企業のIT支出と業務システム購入の実態レポート」に収録された集計データから導かれる分析/提言を新たに要約したものである。
<改正育児介護休業法が求める「柔軟な働き方の義務化」は中堅・中小企業のDXを推進する要因となりうる>
■柔軟な働き方を実現する上で、「IT活用が期待通りの成果を上げた」と考える企業は3割強
■小規模&中小企業では「柔軟な働き方」に必要となるIT活用の市場ポテンシャルが大きい
■DXで求められる社内改革や人材育成の支援が「従業員の生産性向上」の成果につながる
対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース末尾を参照
※以下のURLにてグラフもご確認いただけます
(リンク »)
■柔軟な働き方を実現する上で、「IT活用が期待通りの成果を上げた」と考える企業は3割強
2025年10月1日から、改正育児介護休業法における「柔軟な働き方を実現するための措置義務」が施行される。これによって企業には3歳以上の未就学児(小学校就学前)を養育する労働者向けに「フレックスタイム制または時差出退勤」「テレワーク」「保育支援(保育施設の設置、ベビーシッター支援など)」などといった5項目の選択肢から2つ以上の支援措置を整備することなどが義務付けられる。今回の改正はフルタイムでの勤務(所定労働時間を短縮しない)を前提としながら、育児と両立できる働き方の実現を意識した内容となっている。
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業を対象に、17項目に渡る「IT活用を通じて得られた成功体験」を調査した結果のうち、「勤務時間の短縮/柔軟化」(上段)と「場所に依存しない働き方」(下段)に関する項目を抜粋したものだ。
「勤務時間の短縮/柔軟化」と「場所に依存しない働き方」のいずれも3割強の企業が「期待通りの成果」があった(グラフの赤点線)と回答しており、柔軟な働き方を実現する手段としてIT活用が既に一定の成果を上げていることが確認できる。 また、今回の法改正は規模に関係なく全ての企業が対象となる。したがって、今後は勤怠管理やテレワークなどのITソリューションを必要とする企業の裾野が更に拡大すると予想される。
次頁以降では、「単に法改正に対応するだけでなく、ユーザ企業の成功体験を最大化するためにIT企業は何をすべきか?」という観点から見た市場分析と今後の提言について述べていく。
■小規模&中小企業では「柔軟な働き方」に必要となるIT活用の市場ポテンシャルが大きい
本リリースの元となる調査レポートでは、IT活用を通じて得られた以下の17項目に渡る成功体験について集計/分析している。
<<現在の業績に関わる項目>>
S5-1.本業に関わる売上の増加 例) 需要予測に沿って生産量を調整し、販売機会を増やした
S5-2.本業に関わる経費の削減 例) 企業間取引サイトを活用し、原材料を安価に調達できた
S5-3.本業以外の経費の削減 例) 給与明細を電子化して、印刷費用を大幅に削減できた
S5-4. IT関連支出の削減 例) 業務システムをSaaSに移行して保守費用を削減できた
S5-5.顧客単価の上昇 例) 購買動向を分析して、クロスセル/アップセルを実現した
S5-6.顧客数の増加 例) Web会議を商談に用いて、遠隔地の新規顧客を獲得できた
<<従業員や職場に関わる項目>>
S5-7.勤務時間の短縮/柔軟化 例) シフト単位を細分化して、パート勤務の自由度を高めた
S5-8.場所に依存しない働き方 例) 業務システムをSaaS化して、自宅での勤務を可能にした
S5-9.従業員の生産性向上 例) 営業社員が外出先からも見積書を発行できるようにした
S5-10.従業員のスキル向上 例) マニュアルを電子化して、スマホでも見られるようにした
S5-11.従業員のスキル継承 例) 現場作業で若手と熟練者が画面を共有できるようにした
S5-12.従業員の士気向上 例) 上司に加えて、部下や同僚の意見も人事評価に含めた
S5-13.人材の採用・育成 例) 就職希望者が業務を仮想体験できるWebサイトを作った
<<今後の発展に関わる項目>>
S5-14.新たなビジネスの創出 例) 生産ラインを効率化する仕組みをシステム化して外販した
S5-15.他社協業の拡大 例) 決済を電子化し、顧客に付与するポイントを他社と共有した
S5-16.商圏の拡大 例) 商品を卸すだけでなく、消費者にレンタルする事業を始めた
S5-17.商材の拡大 例) 社内SNSでの意見交換を通じて、新商品の企画が生まれた
項目毎の選択肢:
・期待なし&成果なし
・期待なし&成果あり
・期待を超える成果
・期待通りの成果
・期待未満の成果
・判断できない
回答方法:
例えば、「IT活用によって、売上増加を期待しており、実際に期待したレベルの成果が得られた」といった場合には「S5-1」で「期待通りの成果」を選ぶ
上記において、赤字で記載した2項目の回答結果を中堅・中小企業全体で集計したものが前頁に掲載したグラフだ。ところが、以下のグラフを見ると、中小企業(年商5~50億円)では2~3割、小規模企業(年商5億円未満)では3割超が「柔軟な働き方」の成功体験について「判断できない」と回答していることがわかる。逆に言えば、「柔軟な働き方」の実現に向けたIT活用提案の市場ポテンシャルがそれだけ多く存在していることになる。
人的リソースが限られる中堅・中小企業にとっては、「限られた人員で最大の成果を上げる」ことが至上命題だ。したがって、IT企業にとっては単に法改正に対応するだけでなく、同時に「従業員の生産性向上」(上表における青字の項目)に向けた支援を提供できるか?が今後の重要な差別化ポイントとなる。次頁ではその点について詳細を述べていく。
■DXで求められる社内改革や人材育成の支援が「従業員の生産性向上」の成果につながる
本リリースの元となる調査レポートでは、計83項目に渡る具体名を列挙して、中堅・中小市場におけるIT企業(主に販社/SIer)の社数シェアを集計/分析している。(調査対象となっているIT企業の一覧は4ページを参照) 以下のグラフはシェア上位15社について、「従業員の生産性向上」(前頁の表で青字で示した項目)の成功体験において「期待通りの成果」が得られたと回答した顧客企業の割合を集計した結果である。
シェア上位3社はいずれも全体平均(赤帯)を上回っており、またシェア上位15社の平均(緑帯)も若干ではあるが全体平均を上回っている。つまり、今回の法改正で求められる「柔軟な働き方」に加えて「従業員の生産性向上」を支援することが、社数シェアを拡大していく上でも重要であることが改めて確認できる。
さらに、以下のグラフはユーザ企業が販社/SIerのどのような取り組みを評価しているか?の項目別に「従業員の生産性向上」について「期待通りの成果」が得られたと回答した割合を集計した結果である。
DXのための社内改革(※1)や人材育成(※2)を支援する方が、IT以外のオフィス商材(※3)やサポート終了後の延命策(※4)の提供と比べて「従業員の生産性向上」で期待通りの成果を上げやすいことがわかる。つまり、IT企業が今回の法改正で義務化された「柔軟な働き方」に伴うIT活用提案を進める際は、勤怠管理やテレワークのソリューションを訴求するだけでなく、DXに向けた社内改革や人材育成といった一歩踏み込んだ支援を通じて、「従業員の生産性向上」を実現できるか?がシェア拡大を図る上でも大きな差別化ポイントとなってくる。
以降では、本リリースの元となる調査レポートに関する情報を掲載している。
補記:調査レポート内で導入社数シェア集計などの分析対象となっているIT企業の一覧
本リリースの元となる調査レポートでは以下の計83項目(「その他」を除く)を列挙して、中堅・中小企業における販社/SIerの導入社数シェアを集計している。また、 ※が付いた24社についてはユーザ企業から見たプラス/マイナスの評価や成功体験に関する評価スコアなどに関する分析も行っている。(調査レポートの内容や価格などに関する詳細は次頁を参照)
<<独立系>>
・大塚商会 ※
・オービック ※
・内田洋行グループ ※
・TISインテックグループ(TIS、インテック)
・JBCCホールディングスグループ(系列企業も含む)
・日商エレクトロニクス ※
・兼松エレクトロニクス
・日本オフィス・システム
・富士ソフト※
・ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)
・ミロク情報サービス ※
・TKC ※
・日本デジタル研究所(JDL) ※
・ラディックス(RADIX、RDX)
・BIPROGY(日本ユニシス)(系列企業を含む)
・日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ
・アクセンチュア※
・野村総合研究所(NRI) ※
・CTC(系列企業を含む)
・日鉄ソリューションズ
・NSD(日本システムディベロップメント)
・日本電子計算グループ
・電通総研(ISID)
・NSW(日本システムウエア)
・JFEシステムズ
・SCSK
<<NEC系>>
・NECネクサソリューションズ ※
・NECソリューションイノベータ ※
・NECネッツエスアイ
・NECフィールディング
・NEC(関連会社や子会社を除く)
・その他のNEC系企業:
・日本事務器
<<富士通系>>
・富士通Japan ※
・エフサステクノロジーズ(富士通エフサス)
・富士通(関連会社や子会社を除く) ※
・その他の富士通系企業:
・さくらケーシーエス
・大興電子通信
・扶桑電通
・都築電気
・ソレキア
・ミツイワ
<<日立製作所系>>
・日立システムズ※
・日立ソリューションズ ※
・日立情報通信エンジニアリング
・日立製作所(関連会社や子会社は除く)
・その他の日立系企業:
・ニッセイコム
<<複合機ベンダ系>>
・リコー(系列企業も含む) ※
・富士フイルムビジネスイノベーション(富士ゼロックス) ※
・キヤノンマーケティングジャパン(系列企業を含む) ※
<<キャリア系>>
・NTTデータ(系列企業を含む) ※
・NTTコミュニケーションズ(系列企業を含む) ※
・NTTコムウェア
・日本情報通信(NI+C)
・その他のNTT系企業:
・KDDIまとめてオフィス
・その他のKDDI系企業:
・SBテクノロジー
・その他のソフトバンク系企業:
<<電力会社系>>
・ほくでん情報テクノロジー
・北海道総合通信網(HOTnet)
・TOiNX(トインクス)
・TOHKnet(トークネット)
・テプコシステムズ
・北電情報システムサービス(HISS)
・北陸通信ネットワーク(HTNet)
・中電シーティーアイ
・関電システムズ
・オプテージ
・エネコム(エネルギア・コミュニケーションズ)
・STNet
・Qsol(九電ビジネスソリューションズ)
・QTnet
・その他の電力会社系企業:
<<その他>>
・日本IBM(関連会社や子会社を除く) ※
・その他の日本IBM系企業:
・東芝デジタルソリューションズ
・三菱電機グループ ※
・沖電気(系列企業を含む)
・DXCテクノロジー・ジャパン
・キンドリルジャパン ※
・その他:
本リリースの元となる調査レポート
『2024年版 中堅・中小企業のIT支出と業務システム購入先の実態レポート』
販社/SIerの社数シェア、商材ポートフォリオ、プラス評価/マイナス評価 に加えて、IT導入で得られる17種類の成功体験に基づく今後有望なITソリューション提案を提言。さらには年間IT支出の市場規模(年商別/業種別/地域別)も網羅した必携レポート。
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社、調査実施期間:2024年7月~8月)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)、「IT活用に関わる職責」(2区分)
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
第1章: ベンダや販社/SIerの導入社数シェア
中堅・中小企業がIT商材やソリューションを購入/導入する際の委託先/購入先となるベンダや販社/SIerの社数シェアおよびプライム率(ユーザ企業にとって最も主要な委託先/購入先となっている割合)の変化を分析している。社数シェア集計の対象となるベンダや販社/SIerの選択肢(「その他」を除く)は計83項目に及ぶ。
第2章: IT商材やソリューションの導入状況および販社/SIer別の商材ポートフォリオ
中堅・中小企業が購入/導入するIT商材やソリューションを5カテゴリ、計27項目(「その他」を除く)に渡って列挙し、導入済みおよび導入予定において、どのようなIT商材やソリューションが多く挙げられているか?を年商別や業種別の観点も交えて分析している。 さらに「最も主要なIT商材やソリューションの委託先/購入先」の社数シェア上位24社のベンダや販社/SIerにおいて、どのようなIT商材やソリューションの比率が高いか?の商材ポートフォリオも明らかにしている。
第3章: IT導入で得られた成功体験に基づく今後注力すべきITソリューション提案
「最も主要なIT商材やソリューションの委託先/購入先」から導入したIT商材やソリューションによって、どのような成功体験を得られたか?を17項目に渡って尋ねた結果を集計/分析し、IT企業が今後注力すべきITソリューション提案は何か?を提言。
第4章: ユーザ企業から見たベンダや販社/SIerのプラス評価
ユーザ企業がベンダや販社/SIerについて「利点または満足点」(プラス評価)と考える項目(計18項目、「その他」を除く)を列挙し、それらの経年変化を分析すると共に、プライム率の改善に寄与する評価項目は何か?についても言及している。
第5章: ユーザ企業から見たベンダや販社/SIerのマイナス評価
ユーザ企業がベンダや販社/SIerについて「課題または不満点」(マイナス評価)と考える項目(計18項目、「その他」を除く)を列挙し、それらの経年変化を分析すると共に、プライム率の改善に寄与する評価項目は何か?についても言及している。
第6章: ユーザ企業がIT商材やソリューションに支出する金額
ベンダや販社/SIerから導入したIT商材やソリューションの合計額(直近3年間)を年商別/業種別/地域別に集計し、支出額と最も相関が高い年商を軸として、5カテゴリ、計27項目(「その他」を除く)のIT商材やソリューションに対する年平均支出額の経年変化を分析している。
第7章: 中堅・中小企業における年間IT支出の市場規模
第2章と第6章の結果を元に、中堅・中小企業における年間IT支出の市場規模を5カテゴリ、計27項目(「その他」を除く)のIT商材やソリューション毎に算出し、さらにそれらを年商別、業種別、地域別に集計している。
【発刊日】 2024年11月21日 【価格】 225,000円(税別)
【レポート案内(サンプル属性、設問項目一覧、集計データ例など)】 (リンク »)
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