日立製作所は人工知能(AI)を用いたX線手荷物検査システムを開発した。手荷物内の物品一つひとつを認識し、材質や密度などから安全性を自動判別する。手荷物検査の待ち時間を短縮するとしている。
安全そうに見える物品でも、材質や密度が通常と異なり改造や細工が疑われる場合は、危険性が疑われる物品として目視検査を提案する。X線の透過量から物品の単位面積当たりの質量を推定し、X線撮影画像から物品が存在する領域を画素単位で網羅的に特定する。次に、深層学習(ディープラーニング)の技術を用いて物品の形状を抽出することで、複数の物品が接していても別々に認識することが可能。
形状の抽出では、サンプルデータを使って物品について機械学習させておく。X線画像から得られた物品の特徴を学習データと比較することで、識別結果の信頼性を検証する。
日立では、この技術を適用したX線手荷物検査システムを試作し、スポーツ・音楽イベントを想定した、延べ60人の来場者に対する手荷物検査を実験した。その結果、検査員が全ての手荷物を目視検査する従来の方式と比べて、同じ時間内に検査可能な手荷物の数が約40%増加した。
X線手荷物検査システムでの安全性識別イメージ(出典:日立製作所)