企業がマルチクラウド戦略を推進していこうとする際に、ある種の障壁に直面し、思うように歩みを進められない場合がある。VMwareの依頼を受けてMIT Tech Review Customが作成したレポートによると、ITリーダーの57%が、自社のマルチクラウド配備において技術的な課題や、クラウド分野のスキルギャップに起因する問題を経験しているという。
1355人のITリーダーを対象とする調査を元にまとめられたこのレポートでは、回答者の62%がマルチクラウドにおける最大の難題としてレガシーシステムの統合を挙げる一方、61%は一番の問題としてマルチクラウド関連の新たなテクノロジの理解を挙げている。また回答者らが挙げた他の問題にはデータ移行やデータ管理、発生し得るデータ喪失への対処などがある。
VMwareのプレスリリースには「ベンダーロックインにまつわる厄介な問題や、データ主権、イノベーション、ワークロードに特化したサービスの必要性を要因として、企業は業務上の成功を手にするために複数のクラウドを活用しようとしている。今回の調査では、配備するうえで避けられない課題も存在している一方で、その利点はあまりに大きく、しかも時とともに大きくなることが明らかになった」と記されている。
クラウドへの移行はどのような規模であれ、組織で働く人々や、彼らのプロセスに影響を及ぼす。同レポートによると、クラウドへの移行で大きな影響を受けるものとしてITリーダーが挙げているのは、データの主権(26%)、スキル(22%)、ポリシー(16%)、要員数(16%)だという。
こうした影響はあまりにも大きくなる可能性があるため、企業はクラウドへの移行にあたり、綿密な計画を立案しておくことが重要となる。マルチクラウド環境への移行によって影響が及ぶものとしては、セキュリティ規約(70%)、担当者の訓練(64%)、予算編成(64%)、プロセス(63%)、担当者(53%)、文化(53%)が挙げられている。
同プレスリリースによると、クラウドの利点について当初は納得していないユーザーであっても、その態度は使っていくうちに変化していく傾向にあるという。新規クラウドユーザーの場合、セキュリティを利点だと考えているのは70%にとどまっているのに対し、経験豊富なユーザーの場合、その割合は91%となっている。
さらに、クラウドのスケーラビリティとアジリティ、データのプライバシーに対する認識についても新規ユーザーと経験豊富なユーザーの間で温度差がある。なお、最も差が小さかったのは効率性だった。
調査会社Kadence Internationalの計画担当バイスプレジデントであるOwen Jenkins氏は同プレスリリースで、「この調査によって、マルチクラウド採用に内在する技術的な課題が明らかにされる一方で、その利点、特に効率性やアジリティといった利点に対する確信が大きくなってきており、ユーザーからの最大のアドバイスの1つが『とにかく導入してみればよい』というレベルにまで達していることが示されている」と記している。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。