矢野経済研究所は3月30日、法人向けIP電話関連機器に関する調査結果を発表した。2005年度の製品出荷金額は978億8000万円と、前年比20.2%増の高い成長率を示した。2006年は同9.7%増の1073億3000万円で、IP-PBXを中心に「急激な成長は一段落する見込み」(同社)という。ただし今後も市場規模の拡大は続き、2010年度に1221億円に達するとしている。
製品分野別にみると、IP-PBXの出荷額は2006年度で同6.4%増の867億1000万円となり、前年に比べ成長は鈍化する。これまで市場をけん引してきたのは大規模システム向け製品だが、セントレックスシステムの普及にともない、陰りが見えてきたという。
IP電話機の出荷額は同32.%増の111億2000万円で、高い伸びを維持する見通し。無線IP電話端末や無線LAN/携帯電話両対応端末が出荷を増やし、2007年度以降も好調に推移するとみられる。VoIPゲートウェイの出荷額は同18.4%増の95億円で、安定した成長を続けている。複数の拠点を持つ企業などでは段階的にIP化を進めることが多く、需要は当面継続する。
矢野経済研では今後の市場動向について、すでにIP電話の普及した大企業から、未整備の中小企業に移行すると予測する。従来から中小向け製品の拡充は進んでいるが、元々通信費の少ない企業では既存の電話サービスに対する不満が少なく、導入は遅れている。今後はグループウェアなど外部ツールと連携し、コスト削減以外の利便性を打ち出した製品が求められるという。
ベンダーについては当面国内大手の寡占状態が続く見通し。海外ベンダーは外部ツールと連携する製品の投入で顧客獲得を目指しているが、国内市場への浸透には時間がかかるという。
調査は2006年9月から2007年2月の期間、ベンダー各社を対象に、直接面接取材と電話/メールによる問い合わせを併用して実施した。