アップルがソフトバンクを選んだのは当然--ソフトバンクのiPhone獲得を考える

大野晋一(編集部) 2008年06月10日 18時38分

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コンシューマ市場で強いソフトバンクとアップルだが、成長著しい法人市場では他社の後塵を拝している。アップルはこの市場への足がかりを得るためにソフトバンクを選んだと考えれば――ZDNet Japan編集長 大野晋一が考える。

 ソフトバンクモバイルとアップルジャパン、ともにコンシューマ市場へのリーチは十分だが、その一方で法人市場へのリーチはまだまだ伸ばしたい。iPhone 3Gを共通のツールとしてこの2者が法人市場に強力な足がかりを手に入れることができるとすればどうだろう?

 本稿ではこうしたストーリーを考えてみたい。実現すれば非常におもしろいことになる。

法人市場で追い上げるソフトバンク

 まずは現状のおさらいから。NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクという3キャリアの中では、法人市場に最も強いのはドコモだろう。法人向けの端末から回線・サービスまできっちりとそろえてきている。KDDIも端末・回線・サービスといった自社完結型のソリューションに加えて、最近ではレノボや東芝などとの協業により通信モジュール組み込み型のノートPCの提供が目立つ。

 一方でソフトバンクはビジネス端末のラインナップと機能に強みがあるものの、ほかの2キャリアに比べれば後塵を拝しているといっていいだろう。特に大規模案件において持っておきたい固定回線や企業内回線との連携サービスはドコモとKDDIに分がある。

 さて、一方のアップル。XServeという1Uのラックマウントサーバをリリースしたものの、主なねらいはすでに獲得しているMacのユーザーベースに対しての提案だ。新生銀行やあおぞら銀行がセキュリティ向上を狙って導入した例こそあるが、まだまだ少ないのが現状だ。

 こうした状況で、ソフトバンクは次のブレイクスルーとして法人市場を見る必要がある。コンシューマー市場で純増を重ね、売上、営業利益ともに好調にのばしてきているが、この先のさらなる成長の実現には新しい武器が望まれる。ソフトバンクの好調の横でコンシューマの不調にあえぐ他の2キャリアを支えているのは法人分野だ。なにより、市場として法人市場全体が大きく伸びている。

 ここにきてソフトバンクも法人を積極的に攻めている。元々ITの流通・卸しをやってきたソフトバンクのDNA、ソフトバンクテレコム(旧日本テレコム)の合流など、好材料には事欠かない同社。事業構造としても昨年秋より法人事業部を立ち上げ、販売チャネルも販売代理店網を急速に拡大した。郵便局への5万台納入の事例は記憶に新しい。Biz フェイスSalesforce.comへの対応も開始した。

App Storeが新たな販路に?

 さて、ソフトバンクが法人を攻める上での強みがいくつかある。シンプルな料金プランとオープン性を生かしたシンプルで素早いサービス統合だ。特にBiz フェイスは他社にありがちな「高度すぎるソリューション」ではなく、すぐに導入できてわかりやすいというメリットを持つ。

 こうした強みを持つソフトバンクはアップルにとっても良いパートナーといえる。ソフトバンクと組むことでアップルはシンプルな商品ラインナップと価格設定、オープン性、わかりやすさを崩すことなく、コンシューマー市場だけでなく法人市場も攻めることができる。

 極端な見方をすれば、コンシューマー市場は放っておいてもとれるアップルにとっては法人市場での組みやすさこそ重要――とすれば、ソフトバンクを選んだのは当然とも考えられる。

 アップルとのパートナーシップの中ではApp Storeを活かしてSMBを攻め、自社の営業部隊と代理店網を使って中堅以上を攻める。この体制をうまく作ることができれば、ソフトバンクの法人市場No.1も早期に実現できるかもしれない。

おまけ:コンシューマーでiPhone 3Gは?

 末筆のおまけになってしまうが、iPhone 3Gをコンシューマーサイドからも少しだけ見てみたい。

 コンシューマーでは法人とは逆に、ソフトバンクとアップルの見ている方向性はすれ違っているように見える(もっともソフトバンクに限らず国内のキャリアがといってもいいだろう)。

 ソフトバンクの注力点は大川淳氏も書いているとおり「女性を重視した商品群」。一方で、iPhone 3Gは国内の女性ユーザーに受けるのだろうか? デコレメールへの対応、孫社長がこだわったという絵文字着デコなど、女性が求める機能への対応は「現在のところ不明。Webサイトに出ている情報がすべて」(アップルジャパン)だ。もちろんSDKを使ってソフトバンク側で対応することは可能だろうが、おそらくフルには対応しないと思われる。

 国内の端末には無いインターフェースやデザインが魅力なのは万人が認めるところ。それはiPod touchで実証済みだ。しかし、携帯電話となるとどうだろうか?筆者は現在の国内市場においては、サービスと端末がきっちりと歩調を合わせている国内端末に分があるように思える。

 筆者のアドレス帳に登録された10代後半〜20代後半の女性からランダムに5人選び、「iPhone買う?」と聞いてみた。「絵文字やデコレメールへの対応がなければ微妙……」との答えだった。一方、30台の女性は(サンプルが一人なものの)「買う」とのこと。話題になり(5人の女性全員がiPhoneを知っていた。さすがに今日3Gが発表されたことは知らなかったが)、ある程度売れるだろうが、「iPhoneと携帯電話は棲み分ける」というのが正解だろう。

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