日本マイクロソフトは3月7日、同社の仮想化戦略について説明会を開催した。日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の梅田成二氏は、サーバの出荷台数は横ばい状態が続いているが、仮想化用途で使われるサーバは確実に成長していることや、論理サーバの数は2ケタ成長が続くといった調査結果に触れ、同社の戦略として「自社設置とクラウドのシームレスな接続をめざす」と述べた。
梅田氏は、「日本国内で仮想化されたx86サーバのうち、A社の製品が採用されている比率とマイクロソフト製品が採用されている比率の差はどんどん小さくなっている」と話す。A社とは、仮想化市場で現在トップシェアを握っているヴイエムウェアのことだ。同氏はIDC Japanの調査結果から、「2008年春にWindows Server 2008が登場し、Hyper-Vでわれわれがこの市場に参入した時はA社に大きく水をあけられていたが、2009年秋に登場したWindows Server 2008 R2にてLive Migration機能が搭載されてからHyper-Vが急速に普及し、2010年第3四半期の調査ではA社のシェアが35.5%、Hyper-Vのシェアが32.1%にまで縮まった」と説明、「Windows Server 2008の標準機能としてHyper-Vが使えること、またHyper-Vの性能が進化したことにより、シェアが向上した」としている。
マイクロソフトでは、2月17日よりWindows Server 2008 R2 Service Pack 1(SP1)の日本語版を提供開始しており、このSP1にてさらにシェアを拡大させたい考えだ。
SP1で追加された主な新機能には、RemoteFXとDynamic Memoryがある。RemoteFXは、サーバに搭載されたGPU(Graphics Processing Unit)を仮想化し、複数の仮想マシンに割り当てられる仮想GPU機能。RemoteFXにより、仮想マシンでもGPU処理が可能となり、Windows 7のAeroグラス表示をはじめとする高度なグラフィック機能をストレスなく利用できるという。また、クライアント側のUSBポートに接続されたプリンタやスマートカードなどのUSBデバイスをRDPセッションの接続先の仮想マシンにリダイレクトし使用することも可能だ。
Dynamic Memoryは、仮想マシンのメモリ要求に合わせてメモリを動的に割り当てる機能だ。ある仮想マシンのメモリが十分にある場合、そのメモリを動的に回収し、不足している別の仮想マシンに動的に割り当てられる。これにより、物理メモリを最大限活用できるという。
このほかにもマイクロソフトでは、今後中小規模ユーザー向けにHyper-Vの推奨構成として検証済みのシステム構成を提案し、仮想化導入の際のユーザーの負担を軽減する施策を展開するという。また、大規模ユーザーに向けては、プライベートクラウド構築を視野に入れたハードウェアのリファレンスガイドを用意するほか、デスクトップ仮想化(VDI)市場への取り組みを強化するとしている。VDIに関する取り組みとしては、すでにシトリックス・システムズ・ジャパンなどと協業しているマイクロソフトだが、ライセンスについても「VDIに適したライセンスになるよう見直していきたい」(梅田氏)とした。