PwC Japanグループは4月19日、「第20回世界CEO意識調査 過去20年におけるCEOの意識変化 未来をどう描くか?」の日本分析版を発表した。
これによると、調査に協力した日本企業のCEO110人の中で、今後最も強化すべきと考える分野として「イノベーション」を世界と比較ても高い割合(32%)で挙げる一方で、「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」を挙げた人は全体の4%にとどまることが分かった。
現在の経営環境を前提に、新たな機会を活用するために以下のうち最も強化したい項目を一つ選んでください。
同調査は、2016年9月から12月にかけて実施された。調査手法は、オンライン、郵送、面談、電話インタビュー。調査対象は、79カ国1379人(日本企業のCEO110人含む)のCEO。このうち非上場企業のCEOは57%、上場企業は43%。売上高別では、10億ドル米以上の企業のCEOが36%、1.01〜9.99億米ドルの企業のCEOが38%、1億米ドル以下の企業のCEOが21%。
また、自社の成長見通しについて日本のCEOは、短期的(今後12カ月)な見通しで「非常に自信がある」と回答したのは前年の28%から14%に半減した。中期的(今後3年)な見通しでも、強い自信を示したのは33%から21%に大幅に低下している。国別のデータ比較でも、日本のCEOは成長について慎重な姿勢が目立っている。
今後12カ月の自社の売上の成長見通しについてどれくらいの自信をお持ちですか?
今後3年間の自社の売上の成長見通しについてどれくらいの自信をお持ちですか?
さらに、機械化による雇用への影響を踏まえ、今後12カ月における人員規模について聞いた。その結果、雇用規模の縮小を見込んでいる日本のCEOは7%(世界16%)で、逆に4割(世界5割)程度が人員規模の拡大を見込んでいることが明らかになった。
あなたの会社は今後12カ月間で、人員の増加、削減、あるいは現状維持のうち、どれを予想していますか?(日本のCEOの回答) オートメーションやその他のテクノロジの変化による人員削減への影響はどの程度あるとお考えですか?(上記質問で減少と回答したCEOに質問)
また、日本のCEOは、信頼を揺るがすリスクに対する意識が世界最高レベルであることが分かった。今後5年間において、ステークホルダーとの信頼感にマイナスの影響を与える要素について聞いたところ、世界のCEOの半数程度が「プライバシーの保護や倫理に反する行為(55%)」、「サイバーセキュリティ上の欠陥(53%)」、「ITシステムの機能停止や混乱(47%)」について「相当な影響がある」と回答した。その一方日本のCEOは、同じ要素に対して「相当な影響がある」と回答した割合が突出している。
「ITシステムの機能停止や混乱」、「プライバシーの保護や倫理に反する行為」、「サイバーセキュリティ上の欠陥」の項目は、今後5年間であなたの会社の業績に対するステークホルダーの信頼にどの程度の悪影響を及ぼすとお考えですか?