ガートナー ジャパンは5月23日、アナリティクスのリーダーシップの在り方に関する解説レポートを発表した。この内容は、同日に開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2017」での基調講演の内容をまとめたもの。
基調講演は、ガートナー リサーチ部門バイス プレジデント 兼 ガートナーフェローのジェイミー・ポプキン氏とリサーチ部門 バイス プレジデントのカート・シュレーゲル氏が行った。
これによると、データおよびアナリティクスを潤沢な環境へと到達させる方法として、「リーダーシップの再考」「テクノロジの刷新」「ビジネスへの貢献度の最大化」という3つのステップを実行していくべきだという。
「リーダーシップの再考」では、データオフィスの創設とともに最高データ責任者 (CDO: Chief Data Officer) の任命を検討するところから始めるべきだという。
ガートナーの調査によると、CDOが全社規模で担う主な責任はアナリティクスイニシアティブの監督とデータガバナンスの保持。これに次いで、自社のアナリティクス戦略の策定や情報の信頼性と価値の確保など「情報ガバナンス」の責任が続く結果となっている。
シュレーゲル氏は、CDOという役割が増加している背景には、データ駆動型のデジタルビジネスに対する明確なリーダーシップや、データ資産の価値を守ることへのニーズが高まっていることを反映しているとした。
リーダーシップの次に重要なポイントとなるのが「テクノロジの刷新」で、潤沢なアナリティクスを実現する上で、利用可能なデータの規模と多様性への対処が必要だという。データウェアハウスやバッチデータフロー、リレーショナルデータベースなど従来のデータ管理インフラストラクチャによるアプローチだけでは、デジタルビジネスのさまざまな要件に対応しきれないため、データ仮想化などのアーキテクチャとテクノロジを早急に採用する必要がある。
一方、デジタルビジネスの要件を満たすデータ管理インフラストラクチャを実現するには、データを収集することに加えてデータに接続するという見方も必要だという。データへの接続によって、リアルタイム要件をサポートしながら大規模環境と分散環境を取り扱い、データアナリティクスに関する俊敏な実証をサポートすることが可能になる。
「ビジネスへの貢献度の最大化」の鍵となるのが、データガバナンスをビジネスイネーブラへと変革させることだとする。一元化されたトップダウンの専断的なものから、コラボレーティブかつ俊敏で柔軟なビジネス駆動型のものへと変化する必要がある。
また、同時に、データ/アナリティクスリーダーは、マスタデータ管理(MDM) およびデータ品質イニシアティブのデータに対して、一貫性があり信頼できる共有ビューを持つ必要があるとした。
ポプキン氏は、データガバナンスの意思決定と責任は、社内でデータが生成され消費される現場により近いところになければならないとした。これは、ブロックチェーンのような相互の信頼に基づくテクノロジに似たもので、これによりアナリティクスを、一元化した単一の真実のソースに依存する必要性がなくなるという。
ガートナーでは、基調講演の内容を受け、コンテキスト駆動型のポリシーの徹底と、権限および責任の分散化を適切に実行する必要があると指摘している。