エンタープライズハードウェアベンダー大手Hewlett Packard Enteprise(HPE)の最高経営責任者(CEO)が2月1日に交代する。現職のMeg Whitman氏からバトンを引き継ぐのはAntonio Neri氏。プレジデントとして数年がかりでWhitman氏とともに戦略立案に関わってきた人物だ。Neri氏にCEOに向けた意気込みを中心に、日本市場の取り組み、競合など話を聞いた。
--2月1日よりCEOとしてHPEを率いることになります。Whitman氏を踏襲するところ、別のやり方をするところがあると思います。
Meg(Whitman氏)は技術業界最大規模の分社化を行なった人物で、ITのみならず米国のビジネス界のセレブCEOだ。そんな人物の後を継ぐことは簡単なタスクではない。私は自分がやるべきことにフォーカスする。やるべきこととは、戦略を加速し、イノベーションを加速すること、HPEをさらにアジャイルにすることだ。顧客がシンプルにビジネスができるパートナーでありたいし、従業員にインスピレーションを与えて働きたい、一緒に成長したいと思われるような企業にしたい。
現在のHPEのビジョンと戦略はMegと私が2年がかりで作ってきたものだ。戦略とはハイブリッドITをシンプルに、インテリジェントなエッジの実現、これらを支えるサービスという3つの柱だ。これに変更はない。
2人で作ってきた戦略なので、Megが作った戦略を私が引き継ぐというタイプのCEO交代ではない。つまり、CEOが変わることで何かが変わるということはない。私の役割は、Megと一緒に作った戦略を継続して続けること、従業員が戦略を確実に実行できるようにすることだ。われわれにとってはごく自然な交代であり、HPEの社員、顧客、パートナーにもそう思っていただけると信じている。
課題とするのは、どの分野を掘り下げていくか。そして”Fail Fast”(早く失敗する)と改善で軌道修正していく。
--ハイブリッドITでは、オンプレミスとマルチクラウドを一元管理するサービス「HPE OneSphere」を発表しました。製品ポートフォリオは完成したのでしょうか?
インフラレベルでは継続的に進化させて、シンプル化を実現する。技術的には、メモリ主導のアプローチ、コンポーサブル性などの新しい技術を伝統的なアーキテクチャにも拡大していく。
HPE OneSphereにより、HPEは今後、「HPE OneView」とHPE OneSphereの2種類のプラットフォームを中心に据える。強調したいのは、これらは(ソフトウェアではなく)プラットフォームという位置付けであるという点だ。サブスクリプションモデルを提供し、改善していく。HPE OneViewはハイパーバイザーからコンテナレベルまで、インフラの全てのレベルでプロビジョニング、自動化、ライフサイクル管理を実現するものだ。
これにより、インフラをインテリジェントだが見えない存在にする。マルチクラウド環境ではHPE OneSphereで顧客にとって適切なプライベートクラウドの実装、適切なオフプレミスとの接続を実現する。サービスブローカー機能により、データをどこに置くか、アプリをどこで動かすかなどを決定し、性能やコストを管理できる。