睡眠不足が続くのは健康によくない。科学者によれば、睡眠不足はさまざまな健康上のリスクにつながるという。これには心臓疾患や心の病気が含まれる。
しかし労働者が恒常的に睡眠不足の状態に置かれ、長期的な健康上の問題にさらされると、すぐに職場に目に見える影響が表れる。
カナダのオンタリオ州トロントに本社を置くマットレスメーカーSleep Judgeは、さまざまな業界の米国人を対象に、睡眠と仕事に対する満足感についての調査を行った。
同社が行ったのは、企業の従業員の観点から見た睡眠と疲労に関する調査だ。
平均睡眠時間には業界による差はほとんどなかったが、不満を感じている従業員の比率については大きな違いがあった。
IT業界の場合、普段の睡眠時間に不満を持っている労働者は4人に1人強(25.9%)だった。
ところが、小売業・卸売業では半数近く(48.3%)が不満を感じていた。
睡眠に対する満足感と転職希望者の割合の関係
提供:Sleep Judge
興味深いことに、睡眠に満足している人と、不満を感じている人の睡眠時間の差は48分しかない。
睡眠に不満を感じている労働者には真剣に転職を検討している人の割合が極めて高く、10人のうち4人近くが転職を考えていた。この傾向がもっとも強かったのが小売業とIT業界だ。
これらの業界では睡眠に不満を持つ労働者の半数以上が新たな職場を探しており、IT業界では52.4%、小売業・卸売業では53.5%に達している。
週に3日以上出勤時に疲労を感じている労働者は、ほかの労働者に比べ転職を検討している人の割合が10%以上高かった。
また、疲労が少ない(出勤時に疲労している日が週に3日未満)労働者の3分の2以上は、経営陣から刺激を受けていると回答していた。
一方で疲労している労働者(出勤時に疲労している日が週に3日以上)は、経営陣から刺激を受けていると回答した人の割合が著しく低かった。疲労している日が週に5日以上の労働者の場合、上司から刺激を受けていると答えたのは半分以下だった。
従業員によい睡眠を取らせることが、職場の文化と従業員の定着率によい影響を与えることは明らかだ。寛大な休暇取得ポリシーや過度なストレスの低減は、長期的に見れば従業員の士気を維持する上でメリットになる。
また、職位が高い従業員ほど睡眠に満足していることも明らかになっている。仮に十分に休息を取っている従業員の方が上司として優れた振る舞いができ、部下の管理に成功して昇進につながっているとすれば、われわれはみな、もっと休むべきかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。