IDC Japanは6月3日、国内エンタープライズインフラ市場のシステムタイプ別予測を発表した。
それによると、2021年の国内エンタープライズインフラ市場を前年比9.0%減の6467億7300万円と予測する。2025年は6833億9800万円を見込んでおり、2020~2025年の5年間における年平均成長率(CAGR)はマイナス0.8%。2021年はマイナス成長となるが、2022年にプラス成長に復帰後、予測期間を通じてプラス成長を維持するとみている。システムタイプ別のCAGRでは、SoR(System of Record)がマイナス1.8%、SoE/SoI(System of Engagement/System of Insight)がプラス3.2%、Otherがマイナス1.0%。
2021年の国内エンタープライズインフラ市場は、2020年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う需要低迷期から回復期へとシフト。新型コロナワクチンの国内配布は2021年2月から開始されており、国内での感染抑制と経済回復の見込みは改善していくと見込んでいる。また、国内外でのワクチン摂取が順調に進行し、ワクチンの有効性も担保されると想定している。しかし、「富岳」など2020年における公的機関向け大型スーパーコンピューターの出荷を補う規模の案件はなく、その反動で2021年はマイナス成長になるとみている。
2021年の国内SoR向けエンタープライズインフラ市場は、SoR on Public Cloudが前年比12.5%増の360億9000万円、SoR on Private Cloudが前年比11.0%増の210億7500万円、SoR on Traditionalが前年比15.3%減の1861億2300万円と予測。2020~2025年のCAGRはSoR on Public Cloudがプラス6.0%、SoR on Private Cloudがプラス7.2%、SoR on Traditionalがマイナス4.2%を見込む。
2021年の国内SoE/SoI向けエンタープライズインフラ市場は、SoE/SoI on Public Cloudが前年比18.0%増の213億8100万円、SoE/SoI on Private Cloudが前年比23.9%増の144億4700万円、SoE/SoI on Traditionalが前年比11.5%減の476億9200万円と予測する。同様にCAGRはSoE/SoI on Public Cloudがプラス7.8%、SoE/SoI on Private Cloudがプラス11.0%、SoE/SoI on Traditionalがマイナス0.8%。
2021年の国内Otherシステムタイプ向けエンタープライズインフラ市場は、Other on Public Cloudが前年比12.9%増の877億2900万円、Other on Private Cloudが前年比14.8%増の368億900万円、Other on Traditionalが前年比20.8%減の1954億2700万円と予測。同様にCAGRはOther on Public Cloudがプラス5.8%、Other on Private Cloudがプラス7.8%、Other on Traditionalがマイナス5.2%とする。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は、「2020年に入ってからのCOVID-19の世界的流行によって、多くの企業や組織におけるIT投資余力の低下やトラディショナルからクラウドへのシフトの加速が見込まれる。需要サイドの変化が中長期的に国内エンタープライズインフラ市場へ与える影響が大きい」と分析している。