主要7カ国(G7)の財務相は米国時間6月5日、グローバル企業の最低法人税率を15%とする画期的合意に達した。
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また、「大規模で高利益の多国籍企業について10%の利益率を上回る利益のうちの少なくとも20%に対する課税権を市場国に与える、課税権の配分に関する公平な解決策に至ることにコミットする」とも宣言した。
Janet Yellen米財務長官は記者会見で、これがAmazonやFacebookなどの企業にも適用されることを明らかにした。
「収益性の高い大企業が対象となるため、それらの企業が含まれるのは、ほぼ確実だろう」(Yellen氏)
同氏は、この合意により、「法人税の引き下げ競争を終結させ、米国および世界中の中流階級と勤労者のために公平性を確保できるようになる」と述べた。
「また世界的な最低税率により、企業間の競争環境を均等にし、各国が労働力の教育や研修、研究開発への投資など、有益なことを基に競争するように促すことになるため、世界経済の繁栄にも貢献するだろう。さらに世界的な最低税率の導入は、そうした重要な優先事項に投資するための資金源にもなる」(同氏)
「最後に、最低法人税率の問題に関して各国が協力することで、法人税の引き下げ競争を強いる圧力が緩和されるため、各国政府は税制を決定する国家主権を守ることができる」(同氏)
G7の参加国は、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国だ。
現在世界では、多国籍企業が海外の法人税率が低い国に利益を移して納税する慣習を防ぐために、広範な取り組みが行われており、今回のG7財務相による取り組みもその一環となる。
Joe Biden米大統領は4月に法人税改革案を提示し、米国の税率を21%から28%に引き上げることを公約した。その1週間後にYellen氏は、米国が他のG20諸国と協力し、法人税の最低税率を定める意向を明らかにした。
経済協力開発機構(OECD)は2020年10月、多国籍企業が事業を行う国で公正に納税させるために、「2本柱アプローチ」を取ることを明らかにした青写真を公開した。
このアプローチの1つ目の柱は、ネクサス(市場国との関連性)と利益配分に関するもので、2つ目の柱は最低税率について取り上げたものとなる。
税源浸食と利益移転(BEPS)の問題を扱うOECDの包摂的枠組みには、137の国と地域が参加している。2つの柱を合わせると、世界の法人税収を年間約500億~800億ドル(約5兆4000億~8兆7000億円)増やせる見通しだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。