CIOが意識すべき「やってはいけない」今後の舵取り--3つの仮想事例/ハイブリッドIT編

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2019-09-30 11:00

[PR] デジタル変革が進まない、思ったほうに向かわない…CIOが舵取りを誤った「ハイブリッドIT導入」の落とし穴--3つの仮想事例

デジタル変革の波に乗りそこなう!?

 CIOが舵取りを誤ることで「デジタル変革が進まない」「思った方向に向かわない」事態に陥ってしまうケースは多い。デジタル変革(DX)の取り組みでは、ITだけでなく、業務部門も含めたさまざな分野での変革が必要になる。ITも単なるツール導入ではなく、ハイブリッドなIT基盤を構築して、業務プロセスや組織体制の変革をサポートしていくことが重要になる。3つの仮想の失敗事例から「ハイブリッドIT導入の落とし穴」とポイントを見ていく。

ありうる…事例1
DXの取り組みを始めたが「PoC止まり」、本番稼働までこぎつけない

 「うちもAIで何かやれ!」

 そんな鶴の一声をきっかけに約2年前からデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを開始したA社。部品メーカーである同社は、自社工場での展開や、コンシューマ向けの新製品販売でAIやIoTを活用しようと考えた。社内からメンバーを募り、数十のプロジェクトを組成。そのいくつかでおよそ1年間かけてPoC(新しい理論やアイディアの実証実験)を実施したものの……。

 その結果は惨憺たるものだった。プロジェクトは競合他社の成功事例を参考に、在庫確認や不良品の検知など、比較的取り組みやすいものからはじめた。ツールは実績あるものを取り揃え、コストも新しい取り組みとして許容できる範囲だった。しかしPoCでは目立った成果がでない。成果がでないなか、次のPoCがはじまり、メンバーが次第に疲弊しはじめるようになった。また、業務部門やIT部門などからも白い目で見られるようになり、そんななか経営層からはこんな言葉をかけられるようになった。

 「まだ成果がでないの? 何をやっているの?」

 こうした「PoC疲れ」を経験している企業は少なくない。イノベーションに向けた取り組みは「千三つ」などと呼ばれ、成功するのは1000回のトライアルで3回、0.3%程度の確率だとされる。問題は、取り組んでいる本人たちはそのことを自覚していても、周囲は必ずしもそうではないことだ。

 既存ビジネスを担っている部門にしてみれば、自分たちが厳しい環境でしのぎを削っているのに、当たるかどうかもわからない取り組みに予算が割かれることに不満をいだきがちだ。IT部門にとっても、新しい取り組みはガバナンスやセキュリティ確保のためのサポートが必要で、限られたリソースのなかでサポートし続けることが難しい。経営も、1〜2年のうちに何らかの成果を求めたいと考える。

 どうすればPoC止まりから脱却し、本番での成果を享受できるようになるのか?

ありうる…事例2
「2025年の崖」からまっさかさまに落ちてしまう企業

 日本では、システムのサイロ化や複雑化、ブラックボックス化がさまざまな業務改革の足かせになりやすい。経済産業省は昨年、もしこうした既存システムの問題や業務の見直しといった課題を解決できなければ「2025年以降最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」とする「DXレポート」を発表し、大きな話題になった。

 この「2025年の崖」は、けっして他人事ではない。もし対応を誤れば、5年後には崖からまっさかさまに転落してしまう可能性が高いのだ。そのことをまざまざと痛感したのが建築関連業のB社だ。

 建設資材などを取り扱っているB社では、30年前にメインフレームで構築した基幹システムが現役で稼働していた。販売管理や在庫管理などに用いていたが、必ずしも企業競争力に直結するものではないと考え、オープン化の流れになかでも特に基盤刷新はそのまま維持し続けてきたのだ。

 問題が顕在化したきっかけは、昨今の建築需要の増加だ。自然災害の多発といった要因もあり、建築資材が逼迫。同社が扱う資材のニーズも増した。それにともない業績も右肩上がりを続けていたのだが、あるとき市場への商品供給が追いつかなくなった。販売管理や在庫管理を行っていた既存システムでは、市場に合わせてタイムリーに処理できなくなり、発注や在庫引き当てに時間がかかるようになったのだ。

 一方で、市場では、建設資材を調達するための新しいサービスも立ち上がりはじめていた。建築資材が不足するなか、そうした新しいサービスを利用して資材を確保する取引先も増え、同社の売上は急速に下降していく。基幹システムを更新しようにも、担当していたエンジニアが退職していたり、ノウハウが不足していたりして、早急な対応ができなくなっていた。

 「このままでは5年後には倒産するかもしれない」と、 そこでようやく自覚するようになったB社。どうすれば「2025年の崖」を飛び越えることができるのだろうか?

ありうる…事例3
管理コストが4倍増!?道筋を誤ったハイブリッドクラウド&マルチクラウド化

 DXの取り組みでは、プロジェクトを進めるための予算やリソースをどう確保するかが議論になる。その際に参考にされるのがシステムを特性ごとに2つに分ける方法だ。1つは、SoR(記録のためのシステム」で、効率化によるコスト削減を目指す。もう1つは、SoE(顧客エンゲージメントのためのシステム)で、顧客との新しい関係を作ることを目指す。SoRの取り組みで削減したリソースをSoEのためのシステムに振り向けることで、予算や人的リソースの不足をまかなっていくというアプローチだ。情報サービス業のC社もこのアプローチにのっとってDXの取り組みを進めてきたのだが…。

 C社の取り組みとしては、ここまで基幹システムをクラウド移行して運用コストを約3割削減することに成功、それらを原資としてSoEの取り組みにも着手してきた。しかし、ここにきて大きな課題に直面するようになった。

 ハイブリッドクラウド、マルチクラウドへの対応が求められ、従来のSoRとSoEというわかりやすいアプローチが複雑になりつつあったのだ。

 具体的には、当初クラウド上で進めようとしていたIoTやAIの取り組みがクラウドだけでは不十分で、エッジ環境に適用する必要がでてきたこと。もう1つは、クラウド移行しようとした既存システムの一部がオンプレミスに残り、そのプライベートクラウド対応が求められたこと。

 C社は当初、オンプレミス環境においてSoRと、クラウド環境におけるSoEという構成を計画していた。しかし、実際には、「オンプレミス環境におけるSoRとSoE」「パブリッククラウド環境におけるSoRとSoE」という4つのシステムが並存することになってしまったのだ。

 問題は、これらの運用管理の体系がそれぞれ異なることだった。当初は管理体系も共通化する予定だったが、実際には4つ運用体系が並存するかたちになってしまった。新しい運用体系への教育なども必要になり、実際には運用コストは4倍近くになってしまった。

 こうしたハイブリッドクラウド、マルチクラウドの課題はどう解消できるのか?

解決のカギは、適切なハイブリッドIT基盤の構築と運用

 これら3つの事例に見られた課題を解決するカギが、適切なハイブリッドIT基盤の構築と運用だ。具体的には、組織体制、業務プロセス、テクノロジーを共通のハイブリッドIT基盤で運用できるようにし、コストやプロセスを最適化していく。

 例えば、A社が抱えた問題の要因には、DX推進のための組織とIT部門、業務部門との連携不足があった。連携が不足することでコンセプトやテクノロジーへの理解が不足し、部門同士が足を引っ張り合うことにつながってしまった。

 また、B社の失敗の要因は、レガシーシステムの影響度を図りそこね、既存の運用スタイルを維持してしまったことにある。問題を解決するためにはレガシーシステムを適切にマイグレーションしていくことが求められる。

 C社の場合は、オンブレミスのSoR/SoE、クラウドのSoR/SoEの4つをバラバラに構築したことに問題がある。システムを統合的に管理できるようにすることで、コストを最適化できる。

 こうした課題に陥らないために有効と考えられるのがハイブリッドIT基盤だ。オンプレミスとクラウドのさまざまな環境を統合的に管理し、人や組織、テクノロジーの課題を解消していくのだ。

 DXの取り組みはクラウドの活用ばかりに注目が集まりがちだ。一方で、既存システムのマイグレーションなどの取り組みとは切り離して考えられることも多い。いかにそれらを一体的にとらえ、企業全体として取り組みを推進していくかが重要だ。

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