OpenStackのポイントは「ヘルシーに運用できるか」

ビットアイル・エクイニクス(現エクイニクス・ジャパン) ビットアイル総合研究所所長の
長谷川章博氏
続けて、ビットアイル・エクイニクス(現エクイニクス・ジャパン) ビットアイル総合研究所所長の長谷川章博氏が「OpenStackが示すこれからのITインフラ」と題して講演を行った。
長谷川氏はOpenStackを「SDK」と表現する。できあがった完成品ではなく、実装によってさまざまな形があり得るというわけだ。「複数のコンピュートノード、複数のストレージノード、それをつなぐネットワーク、アクセスするためのインターフェイス、認証のためのログイン機能などを、複数のストレージ、サーバにまたがって1つのAPIでコントロールしていくのがOpenStack。よって、選ぶストレージ、選ぶネットワークによって全然違うものになる」(同氏)
水野氏が紹介したOpenStack Summit Barcelona 2016で示された通り、OpenStackのユーザーはさまざまな規模、業種に広がっている。背景にはコスト削減や性能、スタンダード準拠、セキュリティなどさまざまな理由があるが、見落とせないのが「ビジネスの変化に対する即応性」だ。
近年、「Software is eating the world」という言葉が示す通り、ITの強みを生かして新しい付加価値を生み出し、旧来の大手企業を脅かすスタートアップが増えてきた。こうしたスタートアップと戦うために必要なのが迅速性だ。トレンドに応じたサービスをタイミングよく、迅速に提供するため、従来型のウォーターフォール式の開発に変わり、継続的インテグレーション・継続的デプロイ(CI/CD)やDevOpsといった開発プロセスを採用する企業が増えている。
「開発してコミットして、デプロイし、環境に配置していく。それをCIツールによって自動的にワークフローとして流していく。そういった流れを実現する基盤として必要とされているのがOpenStackだ」(長谷川氏)。しかも、OpenStackをSDKとしてとらえれば、その下で導入するハードウェアも自由に選定し、必要な高いパフォーマンスを得ることもできる。こうした理由から、海外はもちろん、国内でもヤフージャパンやJFEスチール、キリンなどさまざまな業種で導入事例が増えている。
その上で長谷川氏は、OpenStackの導入自体はそれほど難しくなく、むしろ課題は運用だと説明した。「導入自体はディストリビューションやインストーラによって簡単になった。うまくいかないのはコントローラノードの運用のところだ。仮にここが止まってしまうと、CI/CDを回してもリリースやテストができなくなってしまう」(同氏)。
その解決策として長谷川氏は「サービスとしてのOpenStack」や「ホステッドプライベート」を挙げた。パブリッククラウドとオンプレミスシステムの中間のような形態で、「コントローラの運用は事業者に任せ、実際の物理的なコンピュートノードはしっかり自社で管理する」(長谷川氏)というものだ。エクイニクス・ジャパンもOpenStack用にこうしたパッケージを提供しているほか、米国のPlatform9も、コントローラノードの機能をSaaSとして提供しているという。また水野氏が紹介したOpsMeetupのような場でノウハウを共有することも大切という。
「OpenStackの一つのキモは運用。作った後は止まらないように、システムとして健全に運用していくことが非常に重要だ。そうしたノウハウをオープンにしているのもOpenStackの特徴であり、そのためのサービスを導入したり、アウトソースするといった選択肢も用意されている」(長谷川氏)

