社内クラウドの構築を業務運用の観点から支援する「JP1 Version 9」

ZDNet Japan AD Special 原稿:富永康信(ロビンソン)

2009-12-17 20:11

高い信頼性が求められる業務にもクラウド化を提案する日立製作所

 朝日インタラクティブ主催のイベント「仮想化技術×プライベートクラウドの新たな可能性」の3番目のセッションでは、「システムの全体最適化を成功に導くシステム運用管理とは?」と題して、日立製作所のソフトウェア事業部でJP1マーケティング部のオープンミドルウェア運用管理推進部長を務める鎌田義弘氏が登壇した。

日立製作所
ソフトウェア事業部 JP1マーケティング部 オープンミドルウェア運用管理推進部長
鎌田義弘氏

 クラウドコンピューティングのメリットは、ITを“所有”することから“利用”することにシフトすることでのコスト削減と、業務をオンデマンドで利用することでの柔軟性の向上、またはスピーディーな導入が挙げられる。一方で鎌田氏は、「日立製作所が目指すクラウドコンピューティングは信頼性の視点もプラスする」と明言する。

 今日クラウドサービスは、Googleやsalesforce.com、Amazonなどからさまざまなサービスが展開され、SLAを基にする契約行為によってサービスの質を担保しているが、企業のコア業務が利用するには大きな問題がある。重要業務を運用するには単にSLAで済ませられる話ではなく、信頼性や高いセキュリティ、さらには環境への配慮が不可欠になる。

 「現状のクラウドコンピューティングは、ノンコア業務+信頼性要求度の低い分野での利用が中心だが、日立製作所ではコア業務+信頼性要求度の高い分野での利用も推進していく」と鎌田氏は語る。

 それを日立製作所では「Harmonious Cloud」と銘打ち、企業が自社でクラウド環境を構築・運用する「プライベートクラウドソリューション」、ITプラットフォームリソースをサービスとして提供する「ビジネスPaaSソリューション」、アプリケーション機能をサービスとして提供する「ビジネスSaaSソリューション」の3つを提供している。

クラウド環境での柔軟な運用とスマートな運用を両立

 一方、仮想化によるサーバの統合においては、施設やスペースの集約化などのロケーション統合、ブレード化などのハードウェア統合、スキルの集中やライセンス費用の圧縮などの業務統合という3つの視点が必要となるが、特に仮想化による余剰リソースの効率利用に関心が高まっている。

 そこで日立製作所としては、コアではない業務からクラウドサービスを利用し、コアとなる業務は自社運用する企業内クラウド(プライベートクラウド)の構築という多様な使い分けを行ない、IT投資抑制の流れの中でクラウドの積極活用を進めていくという。

 鎌田氏は、「クラウドでサーバを集約する上で求められるのは、多様化・大規模化するITリソースの効率的利用と、複雑化する運用業務の効率化の2つ」だと強調する。日立製作所の統合運用管理ソフトウェア「JP1 Version 9」(以下、JP1)が、クラウド環境下においてシステムの全体最適化を実現するという。

計画・構築・運用のサイクルを自動化させるJP1

 「ITリソースの効率的な利用によるコスト削減に向けて、システム運用を計画、構築、運用の各フェーズに分け、このサイクルを回すことが必要であり、JP1はそれぞれのフェーズの自動化を強力に支援する」と鎌田氏は説明する。次にそれぞれのフェーズの課題とJP1による解決策を示す。

 まず計画フェーズではシステムの現状把握とITリソース計画が重要となる。しかし、稼働中のシステムには手を加えることは難しく、監視ツールを導入すると手間とコストがかかるほか、他のシステムへの影響が懸念される。

 JP1はシステムに手を加えないエージェントレスの稼働監視で現状を把握する。物理・仮想のリソースを一元管理することで、ITリソース集約のための効率的なプラニングを支援するという。また、このエージェントレス監視によって、導入・構築時、監視対象の追加時、保守メンテナンス時の時間を短縮し、大幅なコスト削減が期待できるという。

 鎌田氏は、「構築フェーズでは、システムの規模や複雑さに左右されない運用環境の構築が必要となる」と説明する。JP1では、監視に必要な情報を一括設定できる。さらに、物理サーバと仮想マシンの構成情報を一括収集し、複雑化したシステムの導入・変更作業を大幅に効率化できる。また、仮想環境での障害特定は煩雑な作業だが、JP1の監視画面から障害発生箇所の特定と業務への影響をビジュアルに把握することで、効率よく監視できるという。

 運用フェーズでは、仮想化で集約した環境ではメッセージ数が増加し必要なものを探すことが困難という声が多い。JP1ではコンソールでメッセージのフォーマット・重要度・テキストを業務や用途にあわせて、見やすく統一された形式に変換。視認性が向上することで、対応遅れや判断ミスを減らし、重大事故の発生を抑止する。

 「新しいJP1 Version 9では、イベント保管件数が1000万件となっているが、そのような大量のメッセージでも、独自のスライダーバーを使ってストレスなく検索できるようになった」(鎌田氏)

 さらに、運用フェーズでは個々の仮想マシンの監視だけでは実態がわからず的確なチューニングができない、あるいは複雑化したサーバの稼働状況を個々に監視したくないという課題も持ち上がる。JP1は物理サーバと仮想マシンの両方についてITリソースの稼働状況を把握することで的確なチューニングを支援する。さらに、一つの画面で複数サーバの稼働状況が監視できるため、普段はこの画面だけを確認すれば良く、日々の運用が効率よく行える。

物理サーバと仮想マシンの稼働状況の把握で、的確なチューニングを支援し、システム全体の稼働状況をスマートに監視。
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業務運用の効率化で全体最適を実現するJP1/AJS3

 次に鎌田氏は、「JP1のジョブ管理では、業務視点の柔軟な運用環境を提供すると同時に、スケーラビリティ向上によって業務運用を効率化し、システムの全体最適化を支援する」と述べる。

 定型化した業務をジョブネットとして定義し、自動実行することで、人手によるミスを減らし、オペレーションミスも防止するJP1 /AJS3は、最新バージョンであるVersion 9から大幅に機能強化している。

 まず1つ目は「見える化」の強化だ。「仮想環境においては複数業務を集約することにより、個々の業務処理状況の把握が一層重要になる」という同氏。そのため、JP1/AJS3ではサマリー監視画面で重要なジョブを表示し、進捗状況を一元的に把握することで、次のアクションなどへの迅速な対処が可能になるという。

サマリー監視画面で重要なジョブを表示して進捗状況を把握することで、迅速な対処が可能。
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 2つ目の強化ポイントは「スマートな運用環境の提供」だ。複数業務を集約すると、システム運用管理者に各種の作業が集中し、業務中断や作業ミスにつながることも考えられる。特にクラウドによって集約されるシステムでは、役割に応じた監視・操作環境の必要性が高まる。

 業務量の集中への対処という観点では、JP1/AJS3は、運用中のジョブネットに対してリリース日時を指定して運用変更が可能であるため、ノンストップで業務が変更でき運用効率を向上できる。 また、複数の作業が集中したことによる人為的なミスを防ぐため、役割に応じたメニュー表示が可能。担当者に関係するメニューのみ表示できるので、操作効率を向上できる。

 3つ目のポイントは「スケーラブルな運用」だ。鎌田氏は「複数業務を集約するとシステムにデータ処理が集中し、ジョブ実行の遅延や信頼性の低下を招き、業務サービスレベルが悪化するケースも考えられる」と指摘する。その点についても、JP1/AJS3は従来のバージョンと比べ約10倍ものジョブ起動性能の向上が図られたことで、業務を止めないスケーラビリティが確保されている。

 最後に、鎌田氏は、「クラウドコンピューティングを有効活用するために仮想環境が不可欠となっているが、ITリソースの有効活用だけではなく運用業務の効率化がコスト削減のためにも非常に重要となっている。IT投資の全体最適化を支援するためにJP1 Version 9がお役に立てると考えている」と語り、講演を終了した。

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