IBM、PHPの支持を表明--「Zend Core」バンドルを共同開発へ

Martin LaMonica(CNET News.com)

2005-02-28 13:36

 IBMは、その豊かなリソースにものをいわせて、人気の高いオープンソースのウェブ開発技術「PHP」をサポートしようとしている。

 IBMは米国時間25日に、Zend Technologiesとの提携を発表した。両社は、IBMの「Cloudscape」を組み込んだデータベースとZendのPHP開発ツール類を含むバンドル製品「Zend Core」の開発にあたる。Zendは、オープンソース版のPHPをベースにしたツール類と関連サービスを提供している。

 両社は専門のプログラマを割り当て、PHPが企業データベースやWebサービスプロトコルとうまく連係するようにしていく。IBMはまた、同社の開発用ウェブサイトにPHP専用のページを設けることも計画している。このページでは、ホワイトぺーパーなどの技術情報などが参照できるようになる。Zend Coreは、今年後半に無償提供される予定だ。

 元々Personal Home Pageと呼ばれていたPHPは、ウェブページ作成用のスクリプト言語として広く利用されている。JavaやCなどの高級言語と異なり、PHPのようなスクリプト言語は簡単に覚えられる。スクリプトは一般に、比較的単純なタスクの処理に利用されており、複雑な計算処理ではあまり使われていない。

 IBMは技術とマーケティングの両面で豊富なリソースを抱えていることから、今回同社が支持を打ち出したことで、PHPの普及が加速する可能性がある。これまでにも、たとえばLinuxやJavaは、同社の投資がきっかけなって大手企業間で採用が進んだ。

 IBMのRod Smith(新技術担当バイスプレジデント)は、「われわれには、技術を改善させるアイディアがある」と述べた。「われわれは、Javaコミュニティで言語の違いにとらわれない仕様の策定に取り組んだが、この経験はPHPの世界にも応用できる」(Smith)

 活発な開発者のコミュニティを持つPHPは、Linux上で動作するアプリケーションの開発によく利用されている。最近では、ウェブ開発者がXMLフォーマットデータやWebサービスプロトコルをより効果的に扱うための機能が追加された。

 Smithは、IBMがこれまでJavaソフトウェアの開発や普及に対して大規模な投資を行ってきており、今後もJavaの業界標準と自社の「WebSphere」サーバソフトウェア類に投資を続けていくと述べた。同氏によると、IBMはとくに中小企業を中心として、さらに多くの開発者と接点を持つための方法として、PHPを支持することにしたという。

 Smithは、PHPの最大の長所としてシンプルさを挙げた。同氏によると、たとえばアプリケーション開発に関する教育を受けていないアナリストでも、PHPを使ってバックエンドのデータベースから取り出した情報を表示するようなウェブページをつくれるという。

 PHP、Perl、Pythonといったスクリプト言語は数年前から存在しているものだが、アナリストらはこれらのスクリプト言語が今後さらに普及しそうだと指摘する。Burton GroupのアナリストAnne Thomasは、IBMがPHPの開発コミュニティに参加することで、開発の手法がよりプロフェッショナルになっていくだろうと述べている。

 「スクリプト言語は、いつも大きな注目を集めてきた。IBMが食指を動かしたのも不思議ではない」(Thomas)

 IBMはまた、小さな企業がまずPHPを使ってウェブアプリケーションを構築し、のちに同社のWebSphereサーバソフトにアップグレードするようなケースでメリットを享受できると、Meta GroupアナリストのThomas Murphyは述べている。

 「スクリプト言語が市場にある特定のニッチを埋めていることは皆が認識している。Java communityでもそれは同じだ。スクリプト言語を多用する中小企業への取り組みを強化するなかで、IBMにはこの市場で戦えるツールが必要になる」

 ある業界幹部は、匿名希望を条件に、IBMがPHPおよびスクリプト言語を支持したことについて、Javaの標準化プロセスや業界がJavaを非常に使いやすくできないことに対して同社が幻滅していることを反映したものと述べている。

 「IBMはJavaに辟易しており、代わりになるものを何年も前から探していた。彼らは自社のバックエンドを利用するアプリケーションを開発者がすばやく構築できるようにしたいと考えているが、Javaではそうなっていない」(同幹部)

 この点について、IBMのSmithは、JavaとPHPでは用途に応じて使い分けることが可能であると述べ、IBMがJavaにコミットしていることに変わりはないとした。

 IBMは同日、これとは別に、SourceForge.netに約30件のプロジェクトを公開する計画を発表した。SourceForgeは数千件のオープンソースプロジェクトをホストするウェブサイト。IBMが提供するなかには、Javaをつかった開発の速度をあげるために考えられた、Jikesなどがある。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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