テレマーケティング請負業のJBMコンサルティングは6月、個人情報の情報漏えい対策として個人情報を文字単位で分割格納するコールセンター・システムを稼動させる。データ件数は当初10万件で開始する。データの分割格納の仕組みとコールセンター業務のシステム資源は、NTTネオメイトの「AQStage PF IPコールセンターサービス」を使った。
JBMコンサルティングの狙いは、既存顧客との信頼関係の向上など。企業の顧客情報を預かって運用する事業であるため、個人情報保護に注力することで既存顧客、新規顧客ともに受注を増やせる。AQStage PF IPコールセンターサービスのシステム資源と顧客情報データは、京都にあるNTTネオメイトのデータセンターに設置した。データセンターに設置したIP-PBXからIP-VPNを経由して電話をかける。同サービスの月額利用料金は非公開。
個人情報を文字単位で分割格納する仕組みは、NTTネオメイトと独立社団法人産業技術総合研究所が共同で開発した。実態は、個人情報を構成する文字列の集合を文字単位で分割して順番をランダムに入れ替え、少数の文字のまとまりごとに複数の異なるファイルサーバに分割格納するというもの。どのように分割してどこに格納したのかを示すメタデータは別途暗号化して管理する。
個人情報を分割した個々のデータファイルは。複数の任意のファイルサーバに分割格納する。ファイルサーバはFTP(File Transfer Protocol)経由でファイルをダウンロードできれば、他の機能は問わない。可用性を高めるため、1カ所のファイルサーバが停止しても他のファイルサーバが持つ情報だけでデータを再現できるよう、データの総量を冗長化させて分割格納する。
システムを実運用する際の処理の流れは以下の通り。CRM(顧客関係管理)サーバはデータ格納用のディスク・ストレージを持たない。CRMサーバは起動時にメタデータ管理サーバの情報を元に、個人情報を分割格納したデータファイルをFTP経由でダウンロードして再構成し、メモリ上に展開する。一日の業務が終わりCRMサーバを停止するとともに、メモリ上にある個人情報は消える。
6月のシステム稼動時はシステム性能の都合上、個人情報およそ10万件で業務を開始する。当初のシステムは、コールセンター業に使う一般的なデータベースの場合、10万件のデータを数十分で再構成してメモリに展開可能である。NTTネオメイトの担当者は「今後、1時間で100万件以上のデータを再構成できるようにする」としている。