オープンソースデータベース「PostgreSQL」のウェブサイト、PostgreSQL.orgには電話番号が掲載されていない。PostgreSQLベースの製品を販売する企業、EnterpriseDBで最高経営責任者(CEO)を務めるAndy Astor氏は、かねてからこれを問題視していた。
そこで米国時間8月7日、Astor氏率いるEnterpriseDBは「EnterpriseDB Postgres Resource Center」というサイトを開設した。PostgreSQLに興味を持つ人々に、連絡先の電話番号だけでなく、ほかにも役立つものを提供していきたいとAstor氏は考えている。
LinuxWorldカンファレンスの開催中に開設されたこのサイトは、企業顧客のPostgreSQLインストールを支援するソフトウェアツールのパッケージを提供している。また、開発者向けの技術的な情報も提供している。
ソフトウェアパッケージにはPostgreSQLのデータベース本体のほか、複数のOSに対応したインストーラー、管理ツール、テキスト検索のアドオンなどが含まれている。EnterpriseDBでは、PostgreSQLに関するサポート、トレーニングおよびインストールのサービスを提供する予定だ。
Astor氏によると、今回サイトを開設しデータベースのパッケージを提供した背景には、PostgreSQLの普及に必要なある程度の規模のユーザー層を創出したいという、より大きな狙いもあるという。
PostgreSQLは企業向けのデータベースだが、同分野ではオープンソースとプロプライエタリの両陣営に競合製品があり、競争に直面している。
新しいウェブサイトは「市場形成の中核となり、Postgreの採用を後押しする。率直に言ってPostgreの開発ペースは遅いが、それは中心的な役割を果たす者がいなかったからだ。ゆえに、われわれが中心を作るつもりだ。オープンソースデータベースのディストリビューションにおけるデファクト化を目指していきたい」とAstor氏は話している。
PostgreSQLをベースに構築されたEnterpriseDBの「EnterpriseDB Advanced Server」は、新サイトで入手できるオープンソース・ディストリビューションとは別個の製品として継続提供される。
ニュージャージー州イズリンに本拠を置くEnterpriseDBが契約を結んだ顧客は125件にのぼる。これらの顧客は、Oracleのサーバの代替としてEntepriseDB Advanced Serverを購入している。EnterpriseDBは、最も幅広く利用されている企業向けデータベースであるOracleとの互換性を確立しており、Astor氏によれば、Oralceの数分の1のコストで、企業の利用に足る製品を販売しているという。
新サイトを開設した7日に、EnterpriseDBではビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーションで使われる大型データベースに特化したサーバを発表し出し、製品のラインナップを拡大した。
「GridSQL for EnterpriseDB Advanced Server」と呼ばれるこの製品は、並列接続された複数のサーバ上で大量のデータを分析できるよう設計されている。
オープンソース企業としては、EnterpriseDB以外にもGreenplumが、ハイエンドのBIアプリケーションに特化したPostgreSQL製品を開発している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ