「新世代の『vPro』では、仮想化技術の拡張や、セキュリティ機能、運用管理機能が向上した。これからもvProは進化していく」。こう話すのは、Intel バイスプレジデント 兼 デジタルエンタープライズ事業本部長のThomas Kilroy氏だ。vProとは、Intelが提供する企業向けデスクトップPCのプラットフォーム。同社は8月28日に、開発コード名「Weybridge」と呼ばれていたvProの最新版を発表したばかりだ。
Intelが初めてvProをリリースしたのは2006年9月のこと。その後、企業向けノートPCに同様の機能を持たせた「Centrino Pro」も発表し、主要OEMベンダーがvProおよびCentrino Pro対応機種を市場に投入してきた。Kilroy氏によると、これまでに対応機種が400万ユニット以上販売され、数百社に導入されたという。
vPro最新版の発表にあたっては、これまでvPro対応機種を提供してこなかったDellも対応を表明した。Kilroy氏は、「vProで提供する機能のニーズが高いとDellも実感したのだろう。これで主要なOEMベンダーはすべてvProを採用することになる」と述べた。
最新のvProでは、開発コード名「LaGrande」と呼ばれていた「インテル トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー(インテルTXT)」が追加され、セキュリティ機能が大幅に向上した。インテルTXTと、インテルの次世代仮想化技術である「ダイレクトI/O対応インテル バーチャライゼーション・テクノロジー」を同時に利用することで、これまでソフトウェアベースのセキュリティソリューションでは検出できなかったバーチャルマシンモニターへの攻撃が保護できる。
また、システムディフェンスフィルターを強化し、ネットワークトラフィックの中から悪意のあるパターンを検出する機能が高まったほか、組み込み型のTrust Agentを搭載したことで、OSが動作していない状態やPCの電源がオフになっている場合でも、802.1xネットワークおよび「Cisco Self-Defending Network」製品のセキュリティ低下を防ぎつつシステム管理が可能となった。
こうした技術により、「1000台のPCにパッチを適用する時間は86%、パッチを行き渡らせるのに必要な時間は94%向上した。また、デスクサイドでのサポートやソフトウェア関連の問題が91%向上した」とKilroy氏は話す。
vProは、特にアウトソーシングサービスプロバイダなどで積極的に採用されているという。PCの管理はアウトソースされるケースが多く、まとまった数のPCを遠隔管理できるという点が、アウトソーシングサービスプロバイダにとって「よりよいサービスをより安価に提供できることにつながるからだ」とKilroy氏は説明する。「遠隔管理機能は今後も強化していく。現在は企業の環境によってリモートアクセスが一部制限されるケースもあるが、今後はその制限をなくすための機能も搭載する予定だ」(Kilroy氏)
なお、デスクトップPC向けのvProと、ノートPC向けのCentrino Proという名称は、「2008年にはより簡素化したものになる」とKilroy氏。同氏は、「ブランディングについて担当していないので詳細は語れない」としたものの、企業向けの機能が入ったPCにすべて「with vPro」とわかりやすくつけるなど、「混乱をなくすようなものになる」としている。