ハイパーコネクティビティの時代、そのとき何が起こるのか--企業ネットワークの近未来(1)

犬塚昌利(ノーテルネットワークス) 2007年10月18日 08時00分

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 ハイパーコネクティビティの時代がやって来る。ただ、薔薇色の未来とはいきそうにない。そこには、いまから解決しておかなければならない問題があるようだ。

 と、唐突にスタートしたが、今回から新しい連載としてハイパーコネクティビティというネットワークの新しい時代について解説をしていきたいと思う。初回は、私がノーテルネットワークス日本法人の良心、いや、エンタープライズ部門の技術責任者をしている立場から、特に企業ネットワークに起こりつつあるトレンドについて、北米本社のCTO John J. Roese(ジョン・ローズ)のブログを引用しながらご紹介していく。

 ハイパーコネクティビティとは何だろう。Johnは、自身のブログ「John Roese's Blog」で、ハイパーコネクティビティについて次のように定義している。Johnは、ノーテルに所属するサイエンティストや技術者、デザイナーら約1万2000人のリーダーである。

I define hyper-connectivity as a state in which the number of network connections exceeds the number of humans using it.

 つまりJohnの定義によれば、ハイパーコネクティビティとは、ネットワークの接続数がそれを使用する人の数を上回った状態のことだ。私たちは過去に何度か類似の現象を目撃してきた。

コネクション数が人の数を上回った状態

 1994年、エンタープライズLANに接続している人はごくわずかで、ましてインターネットに接続している人はもっと少なかった。2000年になると、北米、欧州、アジア太平洋地区の先進地域では、ネットワーク接続を必要とする人のほとんどがネットワーク接続できるようになった。2001年には、ネットワーク上のデータトラフィックが音声トラフィックを上回るという実に画期的な出来事が起こった。Johnは次のように述べている。

 「いま私たちは、ネットワーク上のノード数が、ネットワーク接続する人の数をはるかに上回るハイパーコネクティビティの段階に入ろうとしている。ノーテルの分析では、3年から5年以内に機械の発するトラフィックが、人の発するトラフィックを上回るという結果が出ている。これは2001年の出来事に匹敵するほどの、重大な変化をもたらすことになるだろう」

 ハイパーコネクティビティの状態をイメージするのは、それほど難しいことではない。すでに読者のほとんどの方が、携帯電話やスマートフォン、PDA、ノートPC、ポータブルゲーム機、iPod touchなど、通信機能付き端末を持ち歩いているのだから。さらにJohnは、ネットワークに接続する恩恵を考慮すれば、それらの端末だけではなくホームセキュリティシステムや自動車、冷蔵庫、冷暖房設備システムなど、あらゆる機器がネットワーク接続できる状況を想像してみて欲しい、と述べている。

避けられないメガトレンドのインパクト

 Johnはこのメガトレンドは避けられないものであり、その世界はもう目の前に来ていると語る。ただ、「議論すべきは、今日のネットワークに対するインパクト、複雑な運用モデルやセキュリティパラダイム、さらにはネットワーク接続に費やされる時間や予算に対し、このトレンドがもたらすインパクトについて私たちが考えてきたかどうかだ」とも指摘している。

 ハイパーコネクティビティの世界とは、人と人のコミュニケーションだけに留まらず、人と機械、機械と機械がネットワーク接続し、様々な情報がリアルタイムにやり取りされる世界だ。ある調査会社は2010年に、1ユーザーが身につけるネットワーク接続デバイスの数が10個になり、地球上に50億ものネットワーク接続ポイントが構築されると予測している。

 あらゆる機械がネットワークにつながり、自律的にコミュニケーションを始めるようになる。そんなハイパーコネクティビティのインパクトについて考えを巡らすと、現在のネットワークの運用モデルやテクノロジーのままでは、とても耐えられないことに気がつく。

 Johnはこのことについて長年考えてきた。「考える度に、ハイパーコネクティビティの潜在的影響力の大きさに恐れを抱いた。それと同時に、目の前にある技術革新のチャンスに心躍らせた」と打ち明けている。

 別の日のエントリーには「取り組んでいる課題が何であろうと、複数の課題について、それ自体で一貫して完全に解決してくれる単一製品というものはほぼ存在しないと思われる。もし、私の仮定が正しいなら、私たちは通信業界として重大な課題に直面している」という記述もあった。

 私もJohnのいう課題を身の周りの変化として感じつつある今日この頃。さて次回は、Johnが感じているハイパーコネクティビティの影響力の大きさと、企業ネットワークには何が必要となるのか、について考えていくことにしよう。

犬塚昌利
筆者紹介

犬塚昌利(いぬづか まさとし)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
テクニカルセールス&マーケティング ディレクター

経歴: 外資系通信事業者に勤務の後、1998年ベイネットワークスヘ入社。ルータ製品のテクニカルサポートエンジニア、Broadband Access Server、L4-L7スイッチ、ファイアウォール等セキュリティ製品のプレセールスエンジニアを経て現職へ。
一言: どんな技術も1、2年もすると陳腐化していく、スピード感のあるこのネットワーク業界ですが、ほとんど趣味の延長の感覚で楽しみながら付き合っています。今後の注目キーワードは仮想化? 数年前のトレンドを繰り返している気も少し感じる今日この頃です。

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