「ソフトウェア開発の潮流に3つの変化が起きている」――11月18日に開幕したAdobe MAX 2008の基調講演において、Adobe SystemsでCTOを務めるKevin Lynch氏はソフトウェア開発の現在と変革を説明した。
Lynch氏が挙げた変化とは下記の3点。
- Client+Cloud(クライアントとクラウドコンピューティング)
- SocialComputing(ソーシャルコンピューティング)
- Devices+Desktop(デバイスとデスクトップ)
本稿ではクライアントとクラウドコンピューティングについて紹介する。
- ソーシャルコンピューティングについては「アドビ、ウェブアプリの告知をデスクトップに届ける「Adobe Wave」を公開」を参照
Linuxから始まったFlash 10の64bit対応
これまでのコンピューティングは、プログラムをデスクトップあるいはノートPC上で展開し、ローカルアプリケーションとして動作させる形式が主流だった。しかしLynch氏は、ローカルコンピューティングがクラウドに統合されていく最中にあるのが、現在なのだと指摘する。
Adobeが用意するクライアント側の技術には、Flash Player 10がある。開幕の前日には、64bit版Linux対応のAdobe Flash Player 10(アルファ版)をリリースすることも発表した。
Flash Player 10の64bit対応は、WindowsプラットフォームとMac OSプラットフォームに先駆けて、Linuxが先陣を切った。このリリースは「アドビのオープン性の現れ」(アドビ システムズ)だという。
「Flashの次のレベルの能力はAIRが実現する」とLynch氏は続ける。「ローカルでアプリケーションを走らせ、それと同時にさまざまなサービスを取得、ブレンドすることができる」(同)
クラウド側の技術にはFlexがある。Lynch氏はFlexを学習するためのAIRアプリケーションとして「Tour de Flex」を紹介。Tour de Flexにはソースコード付きのサンプルが200以上も同梱されており、Flexのコアコンポーネント、データアクセスコンポーネント、Cloud APIなどのドキュメントも参照できる。
このAIRアプリケーションは、Flexに触れたことのない開発者向けにはその概要を示すものとして、Flex開発者のためにはビジュアル化されたリファレンスツールとして提供されている。
Lynch氏はローカルコンピューティングとクラウドコンピューティングをうまく統合することで、「インフラに力を入れるのではなく、イノベーションに注力することが可能となる」と話している。
