IBMは米国時間5月24日、ビジネスソフトウェアインテグレーターSterling Commerceを14億ドルで買収することについて、親会社のAT&Tとのあいだで合意が成立したと発表した。
オハイオ州ダブリンに拠点を置くSterlingは、異なる業務システムからの情報を、企業がより簡単にパートナーや顧客、サプライヤーと共有できるよう支援するための製品を販売している。その狙いは、企業がこうしたシステムを構築しカスタマイズするのを支援し、サードパーティーとのコミュニケーションや協業を円滑にすることにある。
IBMによれば、Sterlingは全世界に約1万8000の顧客を有し、分野も金融サービス、小売、製造、通信、流通と多岐にわたっているという。Sterlingはとりわけ、自社製品の提供においてクラウドサービスに注力している。
IBMの「WebSphere」担当ゼネラルマネージャーを務めるCraig Hayman氏は、声明で次のように述べた。「この買収によって、顧客がパートナー、サプライヤー、顧客を結びつける動的な業務ネットワークを構築し、チャネル全体にわたる一貫性のある顧客体験を実現できるよう支援する、新たなツール群がIBMにもたらされる。さらに、この大部分がクラウドで実現できるという事実は、当社顧客の大多数にとって説得力を持つだろう」
IBMは、Sterlingの技術が自社のミドルウェア製品を補完するものだと考え、この新たな組み合わせが、小売、製造、通信、ヘルスケア、銀行における自社の顧客に、より多くの機能を提供するものと見込んでいると述べた。
IBMはさらに、Sterlingの既存顧客へのサポートを継続するとともに、Sterlingの技術をさらに発展させることで、IBMの既存製品を活用していくと述べた。IBMとAT&Tは、規制当局の承認と必要条件に従ったうえで、全額現金による手続きを2010年下半期に完了させる見込みだ。Sterlingの従業員2500人は、IBM Software Group内のWebSphere部門に統合される。
AT&TがSterlingを買収したのは10年以上も前で、SBC Communicationsの時代だった。このときの39億ドルという買収金額は、今回のIBMとの合意金額に比較すればかなりの高額だ。だが、AT&Tの関係者はCNET Newsの取材に対し、今回の取引は適正価格であり、Sterlingの売却はビジネス上の観点からAT&Tにとって正しい判断だと考えていると述べた。この数年間を経て、そして今回の新たな取引に応じることで、AT&TはSterlingへの投資の大部分を回収できると、同関係者は述べた。
AT&Tは、取引が完了する四半期に約7億5000万ドルの特別税引き前利益を計上することを見込んでいる。
今回の買収は、IBM側にとっては、立て続けに進めている大型買収の最新事例ということになる。同社は過去1年間で、クラウドインテグレーションプロバイダーCast Iron Systems、企業向けソフトウェアメーカーLombardi、データベースセキュリティ企業Guardium、データ分析企業Exerosなどを買収している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ