消費者が不況の影響を受けて、財布のひもを締め始めた2009年は、PCメーカーにとって最も落胆させられた年の1つだった。
しかし、2010年は2009年の衰退から大きな回復を見せている。Gartnerが米国時間5月25日に発表したデータによると、2010年第1四半期にモバイルPCの出荷数は5000万台弱まで増加したという。これは前年同期比と比べると43.4%の増加で、モバイルPCメーカーにとって8年間で最高の成長率となった。
このカテゴリの成功は、Intelが4月に発表した決算報告とも合致している。Intelの第1四半期の利益は前年同期比で433%増加したが、これを後押ししたのはモバイルチップの販売だった。
小型ノートPC(ネットブック)も2010年第1四半期に健闘したが、同カテゴリが成長を謳歌できるのはこれが最後かもしれない。小型ノートPCは前年同期比で71%の増加を記録したが、いくつかの地域では、既に売上高が鈍化し始めている。GartnerのアナリストであるMikako Kitagawa氏はその理由について、消費者が「通常のノートPCの急激な値下げが起きる中、小型ノートPCの限界に気付き始めている」ためだと述べた。2010年第1四半期のモバイルPCの平均販売価格は732ドルだったが、前年同期はこれが868ドルだった。
しかし、安価なノートPCだけが、小型ノートPCの衰退の原因ではない。小型ノートPCは似たような価格帯のタッチスクリーンタブレットにもシェアを奪われる可能性がある。Appleの「iPad」の人気ぶりも、この消費者向けの新しいフォームファクタへ大きな注目を集めるのに一役買っている。5月上旬現在、Appleは既に100万台のiPadを販売している。IDCの予測によると、2010年の終わりまでに760万台のタブレットが出荷され、2014年には同カテゴリの出荷台数が4200万台に達するという。
ただし、GartnerはiPadのようなデバイスをモバイルPCのカテゴリに含んでいない。iPadは「メディアタブレット」として見なされており、モバイルデバイスに関する統計調査の対象となる。iPad、さらにはDellやHewlett-Packard、Asusなどによる競合製品がこれから順次発売されていくため、このカテゴリは今後1年間に急激な成長を遂げると見られている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ