日本ビューホテルが、NECの「ホテル総合クラウドサービス」の採用を決定した。まずは2011年4月より、宿泊システムや宴会システムなどの営業系システムと、売上分析や会計などの管理系システムといったホテルの基幹業務に関わるシステムをサービスとして利用する。NECが7月27日に発表した。
NECは6月23日、ホテルの予約システムや顧客管理システムなどをSaaS形式で提供するホテル総合クラウドサービスを発表。当時の記者説明会で、NEC 流通・サービス業サービスソリューション事業部長の石井力氏は「100室程度のホテルの場合で、初期費用が約540万〜550万円、月額費用が約25万〜26万円となるだろう」と述べているが、これは同サービスの全メニューである業務システム、デジタルサイネージ、音声サービス(PBX)のすべてを利用する場合の価格。今回、日本ビューホテルではまず業務システムのみを採用している。
日本ビューホテルのケースでは価格が非公開となっているが、業務システムのベーシックプランを利用する場合、システム設計などを含む初期導入費が100室程度のホテルで150万円(参考価格)、月額使用料が6万円となっている。今回の採用はベーシックプランではなく、さらに導入も主要8ホテルでの展開という規模であるため、より高額になることが見込まれる。
NECのホテル総合クラウドサービスは、ホテルの宿泊予約システムや顧客管理システムなど、ホテルビジネスを支える様々な業務システムを提供するもの。また、デジタルサイネージや音声サービス(PBX)などの付加価値サービスもメニュー化、それらをネットワーク経由で提供する。
今回の採用にあたっては、ホテル総合クラウドサービスが、宿泊、宴会、レストラン、顧客関係管理の営業系システムから、売上分析、売掛、購買、会計、債務、人事給与、固定資産などの管理系システムまで、ホテル業務に必要なシステムをフルサービスで利用できることがポイントとなった。これによりシステムの運用管理費を抑え、本業であるホテルのホスピタリティ向上に注力することが可能になるとしている。また、業務システムだけでなく、音声サービスやデジタルサイネージなどの周辺ソリューションもサービス型で利用できることや、サービスメニューの拡張性も評価されたという。
日本ビューホテルでは数年後の株式上場を計画しており、経営可視化と内部統制強化の一環として基幹業務システムの見直しを進めていた。その中で、できる限り資産を持たない形であることと、最新のシステムをサービス型で継続的に利用できること、そしてホテルごとに個別導入していたシステムを統一してグループで共通のシステムを利用できる環境を模索していた。