BCP:震災以前の策定率はわずか7.8%--ノウハウがないために策定できず

富永恭子 (ロビンソン)

2011-06-28 20:44

 帝国データバンク(TDB)は6月27日、事業継続計画(BCP)についての企業の意識調査の結果(PDF)を発表した。東日本大震災で改めてBCPの必要性に注目が集まっているが、調査では、震災の前後で意識がどう変わったかをまとめている。

 BCPの策定状況では、震災以前に「BCPを策定していた」企業は1万769社中837社で、7.8%にとどまった。企業規模別にみると、大企業が908社中195社で21.5%だったのに対し、中小企業は9861社中642社で6.5%と3倍以上の開きがあった。一方「BCPを知っていたが、策定していなかった」企業は3150社で29.2%となったという。

 震災以前のBCPの認知度は「BCPを策定していた」企業と「BCPを知っていたが、策定していなかった」企業をあわせて3987社で全体の37.0%となった。企業規模別にみると、「知っていた」企業は大企業は480社で同52.9%と過半数だったのに対し、中小企業は3507社で35.6%だったとしている。

 「BCPを知っていたが、策定していなかった」のは3150社で、BCP未策定の理由は、最大3項目の複数回答の結果、「ノウハウがない(策定方法がわからない)」が最も多く、42.0%(1323社)に及んだ。規模別では「自社には不要」が大企業で285社中23.9%(68社)だったのに対し、中小企業は2865社中35.3%(1010社)と10ポイント以上の開きがあった。

 震災を受け、BCPで特に必要と考える対策については、「事業所、工場との緊急連絡体制、従業員の安全確認」が46.2%(4975社)と最も多かった。次いで「指揮系統の明確化、権限の委譲」が34.6%(3728社)、「ライフライン(電力・水道・ガス)の確保」が34.5%(3713社)と続いた。規模別では、「事業所、工場との緊急連絡体制、従業員の安全確認」は大企業が55.8%、中小企業が45.3%、ほかに「資金調達(資金繰り計画)」でも大企業が5.6%、中小企業が14.0%など規模による選択率の差が目立ったという。

 BCPの今後については「分からない」が6005社、55.8%と最多だった。「新たに策定する(した)、見直す(した)」は25.9%(2789社)。「策定する・見直す予定はない」は18.3%(1975社)となった。震災前のBCPの策定有無別にみると、「新たに策定する(した)、見直す(した)」は、「BCPを知っていたが、策定していなかった」企業(3150社)では同37.1%(1170社)だったのに対し、「BCPを策定していた」企業(837社)では同68.2%(571社)だった。

 調査結果からTDBは、震災以前のBCPについての認知度、策定状況はともに低く、特に中小企業への浸透、取り組みの遅れが顕著に見て取れるとし、今後のBCPの普及には中小企業への対応がポイントになると説明している。調査は、TDBの景気動向調査に登録した企業に対して、4月18~30日にネットで実施し、1万769社から有効回答が得られた。

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