IDC Japanは1月11日、オープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態調査の結果を発表した。国内ユーザー企業312社と国内のSIerやサービスプロバイダーなどベンダー企業204社を対象にした。
ユーザー企業が使用しているOSSの種類では「オペレーティングシステム(OS)」が59%で最も多く、「ウェブサーバ/アプリケーションサーバ」「メール/グループウェア/コラボレーションツール」「データベース管理システム」が30%以上となっている。
OSSを使用するメリットとしては「導入コストを削減できる」が53.2%と最も多く、次に「運用保守コストを削減できる」が32.7%となっており、コスト削減に対するメリットが評価されている。
デメリットとしては「緊急時のサポートが迅速に受けられない」が34.0%で最も多い。「ベンダーやSIerのサポートが継続して受けられるかどうか不安」が25.6%と3番目に挙がっており、OSSのサポートに対する懸念が大きいことが明らかになっている。2番目に多い回答は「OSSを管理できる社内のエンジニアが少ない」(27.6%)となっている。
ベンダー企業を対象にした採用動向を見ると、過去3年間でOSSを使用したプロジェクト数が「非常に増えている」と「増えている」をあわせると37.3%に達している。減っているという回答は少なく、OSSプロジェクトが増加している傾向が見て取れる。
OSSの使用実績と過去3年間のビジネスの売上高の変化の関係を分析すると、OSSの使用実績が多いと回答したベンダー企業の37.2%は過去3年間の売上高が増加している。反対にOSSの使用実績が少ないと回答したベンダー企業では増加が15.2%にとどまり、減少が40.5%となっている。これらのことから、OSSの活用がビジネスの成長につながっていると見ている。
IDC Japanのソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリストの入谷光浩氏は「OSSの活用はユーザー企業のコスト削減効果だけでなく、ベンダー企業のビジネス成長にも寄与していることが明らかになった。両者ともにOSSを積極的に活用することが、今後のビジネスを成長させていく重要な要素となる」と説明する。
その上で「サポートに対する懸念やエンジニア不足など、解決していかなければならない課題も多い。国内のIT企業全体に突き付けられている課題であり、業界を挙げて取り組んでいく必要がある」と指摘している。