ZDNet Japan スマートデバイスセミナー

儲かるスマートデバイス活用法を探る--USENによるiPad導入秘話も

吉澤亨史 2013年07月19日 18時36分

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 朝日インタラクティブは7月11日、セミナーイベント「ZDNet Japan スマートデバイスセミナー~実例で分かる!導入・活用の成功ノウハウ~」を開催した。基調講演、特別講演を含む6つの講演が行われた。船井総合研究所による基調講演、USENによる特別講演の模様を中心にダイジェストでお伝えする。

 最初に登壇したのは、船井総合研究所の経営コンサルタントである江尻高宏氏。「儲かるスマートデバイスのビジネス活用法」をテーマに講演した。


船井総合研究所
江尻高宏氏

 2012年に業績が好調だった企業には「マーケティング(集客)の勝ちパターンがある」と言う江尻氏は、その例として「セミナーや展示会、ウェブマーケティングなどといった集客の柱が多い」「独自の強み、空白マーケット、時流に乗ったサービスを提供している」「不況をチャンスと捉え、積極的に事業展開した」などを挙げる。

 その上で、スマートフォン、タブレットを活用したビジネス戦略のポイントは、「デバイスの特徴をうまく活用すること」「ターゲットとする顧客層を明確に絞り込むこと」「スマートデバイスから利用できる各種クラウドサービスを上手に活用すること」と強調した。

 その具体例として江尻氏が紹介した事例はいずれもユニークだった。ある県で、在宅介護の顧客向けに宅配弁当を展開する企業は、弁当を手渡す際、利用者の元気な姿をスマートフォンで撮影するようになった。撮影した写真は、離れた家族に即座にメールで届けられる。このサービスが評判を呼んで大いに「儲かり」、すぐ隣の県にも進出したという。

 江尻氏は「この例には、スマートフォン活用を成功に導く、重要な仕組みが複数隠されている」と強調。詳細を解説すると参加者は納得した様子だった。


講演資料より抜粋

 続いてのセッションでは、具体的な課題の解決方法への考え方、具体的なソリューションなどが各社より示された。下記がプログラムだ。こちらも別途、ZDNet Japan上で紹介していく。

  • 「スマートデバイスで営業を変える!~SFA活用とデータ営業への変革」(ソフトブレーン)
  • 「その選択、正しいですか? スマートデバイスの業務利用に必要なこと、教えます」(レコモット)
  • 「タブレットを活用したワンランク上のワークスタイル実現の極意、教えます!」(富士ソフト)
  • 「企業におけるスマートデバイス導入の問題点と解決方法~BYOD時代のリモートセキュアアクセスとスマートデバイスマネージメント~」(フォーティネットジャパン、図研ネットウエイブ)

特別講演は、USENがリアルな導入の「裏側」を語る!


USEN
営業企画部担当部長
野村拓史氏

 そして特別講演では、「導入から7カ月が経過した今だから分かる、iPad企業導入のポイント」と題し、USENの営業企画部担当部長である野村拓史氏が登壇。実際の導入事例がリアルに語られた。

 USENは国内最大のシェアを有する音楽放送事業を柱に、昨今では法人向けICTソリューションサービス、集客支援事業、業務用システム事業などと幅広く展開しているが、iPadを導入したのはコア事業である音楽放送事業の営業現場だ。最大532ものチャンネルを誇る音楽放送を営業先でデモンストレーションしたり、音響機器など多岐にわたる膨大なカタログ類を格納するのに、簡単な操作で手軽に情報を呼び出せるタブレットは最適と判断した。

 搭載するツールは、必要な機能を絞り込み、極力シンプルに仕上げた。電子カタログ、USENのチャンネルや内容を実際に視聴できるプログラムを基本に、タブレットならではのインタラクティブ性も加味。訪問先のエントランスやロビーなどの写真を撮影し、それを視聴画面の壁紙にすることもできる。これなら実際にUSENの音楽放送を導入した場面もイメージしやすい。


iPadで動作するデモンストレーションツール

撮影画像を壁紙に、導入イメージを確認できる

 特にカタログの閲覧性には大きな期待をした。理由の一つに、新規にオープンする店舗に必要な音響機材やサービスを一括して取りそろえる「開業支援パック」に同社が注力し始めたこともある。一口に開業時に必要となる機材といっても、各種メーカーの音響機材一式から、店内の様子をモニタリングする監視カメラ、インターネット関連の機材などなど、あまりにも幅広い。そのカタログすべてを持ち歩くのは不可能だ。電子データで閲覧する以外は考えようがない。監視カメラのデモ映像を見ることも、インターネット接続があれば簡単だ。

 しかし同社には、過去にもノートPCで同じような情報ツールを整備したものの、結局現場で使われなかった失敗が過去にあった。いくら素晴らしいものを作っても、実際に使ってもらうには別の努力が必要と、身をもって経験しているのだ。だからこそ今回は、営業現場に浸透させる入念なシナリオを描いた。それは「非常にアナログな、地道な作業の果てしない積み重ね」だったと野村氏は振り返る。

「R-1グランプリ」の様子
「R-1グランプリ」の様子

 プロジェクトは、全国500人の直販営業社員にiPadを持ってもらい、まずは自発的に使ってもらうことから始めた。野村氏が直接、全国50の拠点を回り、営業スタッフひとりひとりに説明。「人と人との信頼関係」を入り口に、さらに端末を使い込みたくなる仕掛けも社内に展開した。それが全社的なロールプレイングのコンテストだ。各店舗で、iPadを使ってどのような営業ができるかロールプレイングを行い、その動画をアップして営業技術を競い合う「R-1グランプリ」を開催。大会終了後も自主的なグランプリが各地で開催されるなど、大いに盛り上がったという。

 こうした地ならしの努力は、現実の数字として、大きなリターンをもたらした。電子カタログは、紙のカタログは絶対に持ち歩かないであろう高額商品も、お客さんが勝手に画面上で探し出し、注文してくれる効果もあった。紙ベースの営業では、取り扱いがあることも分からなかったはずだ。ライブで動作確認ができる監視カメラも大幅な売上増を実現し、「営業担当によっては、従来比200%の売り上げも達成」(野村氏)したという。

 最後に野村氏は、iPad導入における10のポイントを挙げ、これから導入を考える企業に声援を送った。同時に今後の展望も披露。現状をフェーズ1とした上で、フェーズ2と3の概要を参加者に示し、特別講演を締めくくった。

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