日本HP、「Ubuntu」搭載サーバ提供--クラウドなどの「新スタイルIT」向けに

怒賀新也 (編集部)

2013-10-04 14:54

 日本HPは10月4日、クラウドやビッグデータ、ソーシャル、モバイルなどの用途を「New Style of IT」と位置づけ、この市場向けにコスト面の効果が高いLinuxディストリビューション「Canonical Ubuntu Server」の販売を開始すると発表した。併せて、この環境を前提としたマルチノードのサーバ機「HP ProLiant SL2500」の提供も発表した。システム負荷の増大に応じてサーバを追加していくスケールアウト型の製品群として、市場にアピールしていく考えだ。

 HPは、Canonical Ubuntu Serverを提供する英Canonicalと協業している。Ubuntuは、x86とARM搭載サーバで稼働するオープンソースOSで、Amazon EC2上でも広く利用される。Canonicalは、デスクトップ、モバイル、サーバ、クラウドの各分野でUbuntuを提供している企業だ。

日本HPのサーバ&ネットワーク製品統括本部の統括本部長を務める橘一徳氏
日本HPのサーバ&ネットワーク製品統括本部の統括本部長を務める橘一徳氏

 今回の発表の背景に、ここ数年、クラウドサービスやeコマース、オンラインゲームなどインターネット経由で大規模な処理が発生するサービスが増えており、サービス提供者はサーバ単価を抑えながら、増設しやすいシステムを求めていることがあるという。

 その際に、ライセンス費用がかからないLinux系OSを利用することによるコスト効果が魅力になってくる。日本HPのサーバ&ネットワーク製品統括本部の統括本部長を務める橘一徳氏は「ビッグデータにおけるHadoopなど新たなコンピュータリソースの使い方が広がりつつある」と指摘。こうした新たなニーズを満たす際のハードウェア要件がスケールアウトの手法だった。HPはここに目をつけ、OSと自社サーバを開発し、市場に訴求する。

 Linuxサポートでのこれまでのサポート実績が豊富である点も強みと判断した。Canonical Ubuntu Serverの提供にあたり、同日から日本HPのLinuxサポートチームが対応する24時間365日のテクニカルサポートを提供。HPのマシンを利用することで、ユーザー企業はサーバとOSのサポート窓口を1本化できるなどの利点があるという。

スケールアウト向けマルチノードサーバを提供

 Ubuntuを採用し、スケールアウト型のシステムを組むために、この日発表されたマルチノードサーバ機がProLiant SL2500。日本HPがスケールアウト向け製品ポートフォリオ内の1カテゴリとして位置づけるマルチノードサーバだ。

 ProLiant SL2500の特徴は、1Uサーバの2倍の高密度設計、高変換効率パワーサプライ電源と冷却ファンの共有による省電力、各サーバノードが独立していることによる管理、メンテナンス性の高さなど。

 構成は、2Uラックマウント型のシャーシであるProLiant t2500に、最大4台の独立したサーバノード「ProLiant t2500シャーシ」を搭載する。IntelのXeon E5-2600 v2ファミリーのプロセッサを最大2基搭載。従来モデルの2倍にあたるノード当たり最大512GBバイトのメモリ容量を備えるなど、高密度設計による省スペース性を特徴としている。

 スケールアウト向けの他のカテゴリには、1シャーシに45ノードの高密度実装と省電性を特徴とする「Moonshot System」、HPC向けの「ProLiant SL6500」、1台で180テラバイトの内蔵ストレージを実装するビッグデータ向けストレージサーバ「ProLiant SL4500」、コンテナ型データセンター向けの「HP POD」がある。

ProLiant t2500 Scalable System
ProLiant t2500 Scalable System

 具体的な用途について、日本HPインダストリスタンダードサーバ&ネットワーク製品本部の岡野家和氏は「Hadoopでビッグデータ分析するような用途が圧倒的に多い」と話す。英Canonicalのクラウドチャネルとアライアンス担当のバイスプレジデント、John Zannos氏はCanonical Ubuntu Serverの視点から「従来はゲームなどが多く、最近はOpenStackでクラウドを提供したいなど、新規のサービス提供のために採用する企業が多い」と述べた。

 また、橘氏は「ゲーム、音楽などがこれまで多かったが、今後はFactory Automation」や、公共建築物のメンテナンスなどにセンサを用いるケースに利用されるケースが増えてくる」との見通しを示す。クラウド、ビッグデータ、ソーシャル、モバイルといった比較的新しいIT活用方法に、どのようなOS、サーバ、ストレージが最適であるかはまだはっきりとしていないため、製品面での工夫などが今後も進んでいくと考えられる。

 Canonical Ubuntu Serverの価格は、1年標準時間サポートのStandardが7万1400円。10月4日から販売を開始する。一方、 ProLiant SL2500 Scalable Systemは4ノード構成で141万8550円からとなっている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]