本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
「PaaSはIBMが競合他社に対して最も差別化できる領域だ」 (日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員)
日本IBMが先ごろ、2014年のソフトウェア事業戦略について説明会を開いた。同社の専務執行役員でソフトウェア事業を統括するVivek Mahajan氏の冒頭の発言は、その会見で、ミドルウェアを中心としたPaaS型クラウドサービスにおけるIBMの優位性を強調したものである。
日本IBM 専務執行役員 Vivek Mahajan氏
Mahajan氏は2014年のソフトウェア事業の重点領域として、「SMACSへのさらなる注力」「IBMソフトウェアのクラウドへの対応」「ビッグデータとアナリティクス基盤であるWatson Foundationsの活用促進」「System of Interation(相互作用のシステム)の実現」の4つを挙げた。ちなみにSMACS(スマックス)とは、Social、Mobile、Analytics、Cloud、Securityの頭文字を取った造語である。
これらの重点領域それぞれの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではその中からクラウドへの対応に注目したい。
Mahajan氏によると、IBMソフトウェアのクラウド対応としては、システム基盤からミドルウェア、アプリケーション、ビジネスプロセスの最適化に至る広範なサービスをパブリッククラウドで提供していく構えだ。
具体的には、垂直統合型システム「IBM PureApplication」のパターン技術をIaaS型サービス「SoftLayer」に適用することで、ハイブリッドなアプリケーションを提供するほか、BPaaS(Business Process as a Service)では、業務プロセスの定義や実行サービスの「IBM Business Process Manager on Cloud」、業務ユーザー向けのプロセスの定義や簡易ワークフローを実施する「IBM BlueWorks Live」などを提供する。
また、SaaSでは、コラボレーションサービスやSNSを融合させたソーシャルプラットフォーム「IBM SmarterCloud for Social Business」、人事管理アプリケーション「Kenexa」、分析アプリケーション「IBM Analytical Decision Management」、マーケティング業務を自動化する「IBM Marketing Center」などを提供。PaaSでは、インメモリ技術を活用した分析処理エンジン「IBM BLU Acceleration」にビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Cognos Business Intelligence」の機能を統合したデータウェアハウスなどを提供する。
Mahajan氏はPaaSについて、「特に日本のお客様が非常に高い関心を持っている。PaaSを構成するミドルウェアは、IBMが長年にわたって市場をリードしてきた分野だと自負しており、今後もお客様のニーズに応じてサービスの強化に努めていきたい」と力を込めた。